Canon Australia Pty Ltd  キヤノン・オーストラリア

企業研究
アマチュア向けデジタル一眼レフ・カメラ上級機「EOS 5D」

Canon Australia Pty Ltd
 キヤノン・オーストラリア
地域に愛される企業目指し
顧客満足度を重視

 日本を代表する精密機器メーカー、キヤノン(Canon Inc.)の豪州現地法人、キヤノン・オーストラリア(本社・シドニー)は、カメラやプリンターなどの一般消費者向け商品から、ネットワーク複合機などのオフィス製品、プロダクション・カラー複合機などの産業用製品までを提供する販売会社として、創立30年を迎えた。今年7月にシドニーに赴任したばかりの小林健治社長に同社のビジネス戦略について話を聞いた。


豪州法人はオセアニア地域統括の拠点
 代理店経由での製品販売を自社で直接行うことを目的に各国に現地法人を設立していったキヤノンのグローバル化の中でも、豪州現地法人は欧州・米州に次いで、1978年と比較的早い時期に設立されている。
 シドニー本社を中心に、メルボルン、ブリスベン、キャンベラ、アデレード、パースの5都市に支店を置き、従業員1,000人体制でキヤノン製品の販売およびサービスを提供。展開する製品は、デジタル・カメラ、カメラ・レンズ、デジタル・ビデオカメラ、インクジェット・プリンター、インクジェット複合機、スキャナーなどの一般消費者向け製品をはじめ、オフィス・ネットワーク複合機、レーザー・ビーム・プリンター、液晶プロジェクターなどのオフィス製品、放送機器、プロダクション・カラー複合機などの産業用製品まで多岐にわたり、各分野でトップ・レベルのシェアを誇る。
 管轄するニュージーランド市場を含めた2007年度の年商は約10億豪ドルと、キヤノン全体の売上比率で2%強を占める。同社について小林氏は「欧州、米国、アジア、日本と並び、オセアニアという一地域を統括する重要拠点」と位置づけており、また、豪州市場のビジネスや文化の先進性にも着目、「隣接する国のない1つの単独市場として、先進諸国向け事業展開のテスト・マーケティングが行える」ことでも意味のある市場と説明する。
 また、同社に隣接するCiSRA(Canon Information Systems Research Australia)は、キヤノン本社の研究開発部門で、豪州屈指の研究開発所としてソフトウエアおよびハードウエアの研究開発を行う。CiSRAが取り組むコア技術の1つ、UFR(Ultra Fast Rendering)は、高性能RIP(ラスター画像処理プロセッサ)として、高速印字を実現するキヤノンのプリンターや複合機の多くにコア・コンポーネントとして使われている。

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個性豊かなカラーに包まれたコンパクト・ボディに最新のテクノロジーが凝縮コンパクト・カメラ「IXUS80IS」

為替動向に左右されない事業展開が急務
 豪州市場の特徴について小林氏は、国土が大きい点、密度が分散している点、先進的部分が多い点を挙げ、ブランド力、商品力、サポート力といったメーカーとしての総合力が求められる市場と分析している。また、豪州人については欧州人に近い価値観を持っていながらも低価格志向が強いという印象を持っており、「本来なら顧客ニーズに合うさまざまな商品ラインナップを組みたいところだが、意外にも市場は低価格志向が強く、当社の技術や機能を打ち出しにくい」ことが課題の1つと言う。
 さらに、日本で開発した製品を日本円を基軸として輸入・販売する同社は、昨今の為替の急変がコストにダイレクトに影響するため、為替の変動への対応策も今後の大きなテーマと語る。
 これらの課題を踏まえた上でのビジネス戦略として同氏は、ハードウエアの台数販売への過度の依存からの脱却が必要と指摘。「コストが上がる中で、たとえ価格競争で市場シェアを獲得しても結果的に体力が続かなければ意味がない。単に台数シェアを追うのではなく、安定的な事業の拡大が必要」と力を込める。
 テクニシャンが顧客の必要に応じオンサイトで対応したり直接に出向いて製品メンテナンスを行うアフター・サービス事業や、ソフトウエアとパッケージで事務機器を納入しテクニシャンがサポートしていくソリューション事業、商品販売時にリース機能を持つ子会社のファイナンス・ツールを提供するファイナンス事業などを拡大させ、安定的な収入を確保していきたい考えだ。これらの事業割合をさらに高めるため、今後より積極的な投資を行っていきたいと言う。

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オフセット印刷に迫る高画質・高精細を実現するプロダクション複合機「imagePRESS C6000」

キヤノン・ファンの増加を目指す
 レーザー・プリンターに使うトナー・カートリッジを回収し、中国・大連の工場でリサイクル加工するという環境保護活動や、シドニー大学でマーケティングを学ぶ学生への奨学金制度の提供など、同社は豪州社会への貢献活動にも力を入れている。「事業云々の前の大前提として、地域社会に貢献することが我が社の企業ポリシー。コーポレート・スローガンである“共生”の理念のもと、キヤノンは技術面で永遠に貢献し続け、世界各地で親しまれ尊敬される企業を目指している」(小林氏)。
 また、事業面でもキヤノン・ファンを増やしたいと意欲を見せる。「当社はブランド力はそこそこあっても、それを十分に生かし切れたマーケティングができていない。もっとオーストラリア人に愛される企業にしたいと強く思う。たくさんの人にキヤノンのことをよく知ってもらい、商品を好きになってもらい、そしてキヤノンのファンになってもらいたい。そのために最も大切なのは顧客の満足度。お客様を満足させないで“共生”も“社会貢献”もない。まずはそのためにサービス体制をより拡充してきたい」。


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小林健治社長
1981年、慶應義塾大法学部卒。同年キヤノン入社。本社企画部門配属。事務機・複写機事業のメンバーとして、89〜95年にオランダ・アムステルダム、95〜99年にイタリア・ミラノに勤務。事務機事業部長として2001年からキヤノン香港、03年からキヤノン北京勤務。07年1月、キヤノン香港の社長就任。08年7月より現職

<小林健治社長に聞く10の質問>
①座右の銘:将棋の言葉で「一歩千金」。歩のない将棋は負け将棋とも言うが、1人ひとりの人材がとても大切。
②今読んでいる本:「篤姫」宮尾登美子・著
③豪州の好きなところ:空気が綺麗なところ、大らかで人柄がよい
④外から見た日本の印象:日本人は一所懸命で世界的に見ても経済的に恵まれているが、本当の意味での豊かさを味わえていないという印象。生活の楽しみ方を豪州人から教わってみては。
⑤好きな音楽:好きな音楽:荒井由実時代からユーミン。女性の情緒のあるボーカルが好きで、BGMとしてさらっと聞けるのが良い。同じ意味で平原綾香の曲も好き。
⑥尊敬する人:ヤマト運輸創設者の小倉昌男氏。「経営はロマンだ!」で感銘を受けた。官の壁がありながらも信念を貫いて宅配便事
 業を確立させた。また第一線を退いた後、障害者自立のための支援など社会貢献活動を行ったことも素晴らしい。
⑦有名人3人を夕食に招待するなら:棋士の谷川浩司名人、羽生善治名人、森内俊之名人と食事をしてお酒を飲みながらいろいろ話し
 たら楽しそう。1つの道を究めた人の言葉は飽きることがありません。
⑧趣味:将棋
⑨将来の夢:どこかの国でシニア・ボランティアをして社会貢献ができたら本望
⑩カラオケの十八番:テレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」を中国語で歌うこと

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