Toyota Material Handling Australia 豊田自動織機オーストラリア

企業研究
バッテリー式フォークリフト「7FBE」

Toyota Material Handling Australia
豊田自動織機オーストラリア
フォークリフトの世界トップブランド
「環境」「安全」キーワードに豪州市場で攻勢

 豊田自動織機は、日本のエジソンといわれる豊田佐吉の発明した自動織機を製造・販売する会社として80年前に設立された。トヨタ自動車の母体となった会社としても知られている。社名にもある繊維機械をはじめ、自動車製造、フォークリフト、カー・エレクトロニクスまで多岐にわたる事業を展開。繊維機械、フォークリフト、コンプレッサーでは世界No.1のシェアを誇っている。2003年に在豪現地法人である豊田自動織機オーストラリア(英文名:Toyota Material Handling Australia)を設立し、物流機器を販売している。同社の雲内崇会長にオーストラリアでのビジネス戦略について話を聞いた。

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エンジン式フォークリフト「8FG/8FD」

幅広い物流商品をラインアップ
 豊田自動織機(以下織機)が製造する「TOYOTA」ブランドのフォークリフトは1968年に豪州市場に輸出され、販売開始40周年を迎えた。長年にわたり製造は織機、販売はトヨタ自動車という形態で事業を展開してきたが、2001年に事業統合が行われ、現在は織機が開発、生産から販売までをカバーしている。オーストラリアでもこれを機に、トヨタ自動車オーストラリアから分離、独立。織機100%出資の現地法人となった。
「当社が販売するのは“マテリアル・ハンドリング”と呼ばれるフォークリフトをはじめとした物流商品。お客様のあらゆるニーズに応えられる幅広い商品ラインナップが強み。そのために織機は、補完物流商品を製造するヨーロッパのBT社、アメリカのレイモンド社を買収し、全世界に『TOYOTA』『BT』『RAYMOND』の3ブランドを展開しています。従業員のなんと40%は外国人というグローバル企業です」と雲内氏。
 積載量1〜24トンのエンジン式フォークリフト、1〜3トンのバッテリー式フォークリフトのほかに、「スキッド・ステア・ローダー」と呼ばれる土木・建築に使われるショベル・カーや、「トーイング」と呼ばれる航空貨物運搬車を輸入・販売している。07年は年商約3億ドル、販売台数5,600台、08年は6,000台と2年連続の販売新記録を達成。国内シェア30%と不動のトップ・シェアを誇っている。
 シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、パースの5直営支店に加え、ダーウィン、ホバート、タウンズビルの3つのディーラー、合計8拠点体制で全豪をカバー。従業員は全支店合わせ700人を数える。

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スキッド・ステア・ローダー

輸入市場ならではの課題
 同社の海外法人の中では米国に次いで販売台数が多く、小売までカバーしている現地法人としては最大の事業規模を誇るオーストラリアは、同社の海外販売の5%を占める重要なマーケット。「小売を通じてお客様と直に接しているので、貴重な声を日本の製造・販売部門へフィードバックするという役割も担っている」と雲内氏。豪州市場についてはユニークな地理的特徴とインポート市場ならではの特徴があると指摘する。
「全マーケットの9割を占める主要都市が沿岸にあり、5支店でほぼカバーできるものの、鉱山や資源産業で需要のある内陸までは遠い。一番近い当社の営業所が1,000キロ先などという笑えない話もあり、お客様にいかに迅速にサービスを提供できるか、が鍵。この点については、辺境をカバーできる地元サービス工場とタイアップし、質の高いサービスを心がけている」
 そして、商品についてはインポート市場のオーストラリアは、日本以上に為替の影響を受けやすいという。「昨今のような豪ドル安の状況はインポートの会社にとっては大変。為替に影響されないビジネス展開が重要になってくる」

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オーストラリアではカンタス航空に納入されているトーイング・トラクター

強みを生かしたマーケティング戦略
 同社の最大の強みは、大小のフォークリフトから、倉庫で使う物流ラック商品まで、「ワンストップ・ショップ」でどんなニーズにも応えられるだけの商品をそろえていること、そして技術力。雲内氏はこの強みを最大限に生かしたマーケティング戦略を積極的に行いたい考えだ。
「TOYOTA」というと自動車のイメージが強いが、マテハン機器は全商品の50%が排気ガスを出さないバッテリー車であることはあまり知られていない。また、重要コンポーネントのエンジンも含めて機能部品を開発・製造している企業だけあって、過重積載による転倒を防止する独自の横転防止機能(SAS)など世界初の技術を盛り込んだ安全装置の充実度も高い。この「環境」「安全」をキーワードとした商品構成で環境保護意識や安全志向の高いオーストラリアのユーザーに「TOYOTA」ならではの商品を訴求していくという。
 また、同社は1万2,000台のレンタル・フォークリフトを自社保有する豪州最大規模の物流レンタル会社でもある。短期から長期(5年)までのレンタルを扱っており、景気の影響の少ないレンタル事業を強化し、為替の変動を吸収していく。
「購入しなくても月極、あるいは週極でレンタルできるので、お客さまは本来の事業に資金を使うことができ、また、アフター・サービスも含まれているので、メカニックの人件費など余分な支出も抑えることができる」
 現在は売切りと同程度のレンタルだが、将来はもっと伸びていくと予想している。
 昨今の世界的な経済不安にも適切なビジネス戦略で対応し、日本的な真面目さや緻密さ、そしてオーストラリア的なダイナミックさと、両国の良い面を融合させるという当地でしかできないような経営で、09年もさらなる業績アップを狙う。


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雲内崇 会長
1981年早稲田大学法学部卒、同年トヨタ自動車に入社。入社以来フォークリフトを担当。90年から米国に4年、98年から欧州に6年勤務(ドイツ2年、ベルギー4年)。2001年に豊田自動織機に移り、07年1月より現職。

<雲内会長に聞く10の質問>
①座右の銘:「敬天愛人」西郷隆盛の言葉。自分に与えられた使命を自覚して行動し、なおかつ人に対して思いやりを持って接すると解釈している
②今読んでいる本:「戦略の本質/戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ」
③豪州の好きなところ:こせこせせずダイナミックなところ
④外から見た日本の印象:良い意味できちっとしていて細かい。逆の見方をするとこせこせしすぎ
⑤好きな音楽:ジャズ。特にピアノが好きでビル・エバンスをよく聴く
⑥尊敬する人:西郷隆盛
⑦有名人3人を夕食に招待するなら:豪出身のカイリー・ミノーグ、ニコール・キッドマン、ケイト・ブランシェット。世界で上り詰めるまでどんな人生を歩んだかを聞きたい
⑧趣味:ゴルフを頑張っている
⑨将来の夢:通算12年の海外暮らしの体験を元にした異文化論の本を書く
⑩カラオケの十八番:ルイ・アームストロングの「What a Wonderful World」

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