Shiseido Australia 資生堂オーストラリア

企業研究

Shiseido Australia
資生堂オーストラリア
豪州の人をより美しく
和のおもてなしを伝える

 グローバル市場の完全攻略に向けた試金石として、オーストラリア市場を重要視する日本の大手化粧品メーカー、資生堂。100%出資する現地法人の資生堂オーストラリアは、2008年から09年にかけて新ブランドを相次いで投入、景気減速の中でも攻めの姿勢を貫いている。日本の先端技術を駆使したスキンケアやメーキャップの商品を紹介しながら、サービス面では店頭重視の方針を徹底し、販売スタッフや顧客に日本のおもてなしの心を伝えていく。

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同社がスキン・ケア分野で培ってきた技術が盛り込まれた保湿力・色持ちともに“パーフェクト”なリップ・スティック「Perfect Rouge」

 社史によると資生堂は1872年、漢方薬全盛の時代に日本初の洋風調剤薬局として東京・銀座で創業、1897年に化粧品市場に参入した。現在、日本市場では主軸の化粧品事業や美容室に商品を卸すサロン事業のほか、食品、薬品などの分野にも進出している。
 海外進出も台湾を皮切りに積極的に進め、現在では世界68カ国・地域にネットワークを構築、9割以上を占める化粧品事業を中心に展開している。
 豪州に現地法人を設立したのは1982年。同社としては11カ国目の海外拠点だった。進出以来、順調に規模を拡大し、現在の豪現地法人の社員数は事務系42人、販売系30人の合計72人。ほかに、小売店側が雇用する資生堂専属の販売スタッフが164人いる。販路も全豪の大手デパート約100店舗に加えて、ファーマシー(薬局)約100店舗にも販路を広げてきた。
 資生堂ブランドの化粧品を輸入し、大手デパートのマイヤーとデービッド・ジョーンズや、ファーマシーで直接消費者に販売するのがコア・ビジネスだが、08年には現地ヘア・サロン向けのブランド「資生堂プロフェッショナル」の輸入販売を開始、業務用製品の市場にも事業基盤を拡大した。
 また、08年はフレグランスの新商品「ゼン(ZEN)」、そして09年には間髪入れずにメーキャップ商品の新ブランド「パーフェクト・ルージュ(Perfect Rouge)」を投入する。大型商品を豪州市場に相次いで投入し、販売攻勢を強めている。

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オーストラリアで爆発的なヒット商品となったフレグランス「ZEN」

世界市場の完全攻略目指す
「ZEN」のアジア・オセアニア地域全体の報道関係者向け発表会は08年、シドニー・オペラ・ハウスで開催した。また、09年からは「Perfect Rouge」の発表に時期を合わせる形で、グローバルな資生堂ブランドのモデルとしてオーストラリア人のクリスティーナ・キャリーを起用している。
 こうした一連の動きは、オーストラリア市場で資生堂ブランドの認知度を向上させることだけが目的ではない。真の狙いは、グローバル市場の完全攻略を目指して、オーストラリア市場を欧米のアングロ・サクソン市場に向けた発信拠点とすることにある。
 資生堂オーストラリア取締役社長の永井達也氏によると、「グループの海外事業全体の中で豪州が占める割合は2〜3%にすぎない」という。国土が広く人口が分散しているため流通コストがかかる上、欧米の競合ブランドとの競争も激しく、世界有数の激戦区となっている。
 それでも「この市場を攻略することが、グローバルな成功のカギになる」と永井氏は確信する。
 世界的に見ると、資生堂はアジア市場で成功を収めているものの、英国・米国の市場はまだ開拓の余地が残されている。オーストラリア市場の最大のセグメントであるアングロ・サクソン系の消費者に資生堂ブランドをいかに愛用してもらい、「真のグローバル・ブランドとして飛躍していく」ための試金石としていくか。
 最大の強みは、高度なテクノロジーに立脚した日本発の唯一の化粧品ブランドであることだ。例えば、クレンジング・フォーム1つ取っても、泡のきめの細かさは、ほかのメーカーには決して真似ができない技術が詰まっている。商品の中身だけではなく、容器を開けた時の触感や使う時の心地良さなど、何千回もテストを行って非常に細かいところまで研究されている。
 また、店頭でのサービスでも、日本の「おもてなし」の心をいかに実現するかという点に注力している。現地販売スタッフを年2回、日本に派遣して集中的にトレーニングを受けさせ、おもてなし、コンサルテーションの方法、スキンケアおよびメーキャップの技術などを学ばせる。さらに、優秀な販売スタッフ数人については、年に1回、日本の資生堂の工場や店舗、企業資料館などを見学させたり、茶道など日本文化を体験させることで「和の心」の伝承にも努めている。
 こうした積極的な人材への投資、店頭重視の姿勢には、「お客様が美しくなってもらうことのお手伝い」という経営哲学が根底にある。「目先の短期的な売上や利益よりも、1人でも多くのお客様に喜んでもらうことが重要。それが、長期的視点に立って資生堂をさらに成長させていくための差別化だと考えている」と永井氏は強調する。

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業界をリードする資生堂の紫外線ケア技術は豪州市場でも浸透

クリスマス商戦は2ケタ成長
 そうした地道な戦略は、既に効果を発揮しているようだ。オーストラリアの小売部門が景気後退局面に入ったにもかかわらず、昨年末のクリスマス商戦は絶好調だった。永井氏によると、ZENの新商品効果も手伝って、昨年11月と12月は前年比2ケタ以上の高い伸びを記録した。
 唯一のマイナス材料はむしろ、昨年後半から急激に円高豪ドル安が進んだ為替の先行きだ。豪ドルの価値は円に対して30〜40%下落しており、商品を輸入して販売する同社の収益に大きなインパクトを与えている。為替の変動によるダメージが、経営努力によって吸収できる範囲を超えたため、2月からは平均3〜4%の値上げに踏み切る。
 それでも攻勢の手綱を緩めることはない。2月8日には新しいオーストラリア人モデルを使った最初の新商品である「Perfect Rouge」を発売する。永井氏は「昨年の『ZEN』に続いて、新規顧客を獲得するブランド飛躍のアイテムになるのではないか」と強い期待を寄せている。
「1人でも多くのオーストラリア人のお客様に資生堂の商品やサービスを愛用してもらい、オーストラリアのお客様をより美しくする。それが私たちの戦略であり、目標であり、夢でもある」と永井氏。世界市場の完全攻略というグローバル的な責務をも担う資生堂オーストラリアにとって、今年は重要な1年となりそうだ。


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永井達也 取締役社長
1992年慶應義塾大学経済学部卒、同年資生堂入社。96年にベトナム・ハノイで海外研修。99年から本社国際事業部アジア・パシフィック企画部。2004年資生堂シンガポール社長、06年資生堂ニュージーランド社長、08年資生堂オーストラリア兼ニュージーランド社長。

<永井達也 取締役社長に聞く10の質問>
①座右の銘:「努力は不可能を可能にする」
②今読んでいる本:「鷲は舞い降りた」ジャック・ヒギンズ著
③オーストラリアの好きなところ:自然の美しさ、広大さ
④外から見た日本の印象:細かい点の工夫が素晴らしい。かゆいところに手が届くサービスが充実している。でも日本人のライフスタイルはオーストラリア人と比べて幸せだろうかと時々疑問を持つ。
⑤好きな音楽:邦楽全般だが、特にMr.Children、サザンオールスターズ、コブクロ
⑥尊敬する人:坂本龍馬
⑦有名人3人を夕食に招待するなら:オバマ大統領、サルコジ大統領、ラッド首相
⑧趣味:読書(1年100冊目標)
⑨将来の夢:生きた証が後世に残るような人生を送ること
⑩カラオケの十八番:郷ひろみ

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