第3回 有限株式会社を設立する

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豪州でビジネスを始めるには?

第3回 有限株式会社を設立する

豪州での日本企業の縮小化に伴い、自身でビジネスを始めようと考える人が増加中だ。しかし、一体何から手をつければいいのか分からないという人も多い。そこで、税金対策から経営アドバイスまでを手がける公認会計士が、豪州でビジネスを始めるための基本ノウハウを解説。

前号では個人事業主として起業する方法について述べましたが、今回は会社法人、その中でも有限株式会社を利用して起業する場合についてお話します。

店の入り口に「XXX Pty Ltd」と書かれているのを見たことはありませんか ? これは、その店が有限株式会社を介して運営されていることを意味します。このように、有限株式会社を設立すると、個人名ではなく会社の名前で契約を結んだり、売買したり、ローンを組むなどのビジネス業務を行うことが可能となります。

有限株式会社は出資者が資本金(1ドルから可能)を会社に出資することによって始まります。出資者は株主、つまり会社のオーナーとなります。そして株主は会社の切り盛りをする取締役(※1)を任命し、その人物に経営を任せます。もちろん、自分自身で株主と取締役を兼任することも可能です。

有限株式会社として事業を行うには、個人事業主同様、タックス・ファイル・ナンバー(TFN)とオーストラリアン・ビジネス・ナンバー(ABN)の取得が必要です。また、個人事業主が所得税の納税義務があるのに対し、有限株式会社では法人税(Company Tax)を納税する義務があります(今現在、税率一律30%)。さらに会社経営は会社法に従って運営する必要があり、このためASIC(www.asic.gov.au参照)と呼ばれる法人監督機関への報告義務なども生じてきます。

有限株式会社を事業体に選ぶ利点の1つは、会社の負債に対する株主の責任が出資額に限定される点です。例えば1ドル出資した株主の場合であれば、会社の負債額がいくらであっても最終的に株主として負担する額は1ドルです(※2)。

有限株式会社の設立は、会計士や弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。設立費用としては、1,000~1,500ドルが相場となっています(TFN・ABN取得代行業務、ASIC通達業務を含む)。

法人設立手続きは通常、数日間で完了します。設立時に発行されるオーストラリアン・カンパニー・ナンバー(ACN)と呼ばれる番号を、会社が発行するインボイスなどの各書類に記載し、事業を進めてください。

(※1)豪州では、取締役のうち最低1人は豪州の居住者でなければなりません。
(※2)これはあくまで株主としての責任であって、取締役や会社の保証人などを兼任する場合は違う責任が生じてくるので注意が必要です。


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【プロフィル】
渡辺哲(わたなべてつ)

●豪州CPA、税理士。不動産管理業、個人会計事務所経営、大手監査法人勤務などを経て、2010年5月よりヴィンセンツ公認会計事務所にて日系企業の会計、税務、経営の総合的アドバイスを提供するジャパニーズ・ビジネス・ソリュルーションズを設立。

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