第5回 「自宅で」開業する

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豪州でビジネスを始めるには?

第5回 「自宅で」開業する

オーストラリアでビジネスを行う際に通常、最も大きな出費となるのは、人件費と事業所の賃貸料と言えるでしょう。起業初期の段階で、この2項目の出費をいかに抑えながら売り上げを伸ばすかということが、事業の成功のカギを握ります。

そこで、賃貸料などの固定費を抑えるために、可能であれば「自宅でまず起業してみる」ということが考えられます。

この場合、自宅の家賃や光熱費が税控除の対象になるのかというと、答えとしては、対象にはなり得ますが、税控除の範囲などは個別の状況により異なる、ということになります。

まず、自宅でビジネスを行う場合の出費を、以下の2種類に大別してみましょう。

1…自宅でビジネスをする、しないにかかわらず生ずる出費(家賃、住宅ローンの利子、火災保険代、水道代や住民税などの支払い)
2…自宅でビジネスをすることによって、追加で生じる出費(電気代、清掃代、自宅オフィス内の家具の修繕費など)

上記の2を経費として計上することは容易ですが、1を計上する場合は、国税局の厳しい基準に沿った「オフィス」を自宅に設ける必要があります(※1)。

ビジネスのためだけに使う部屋をひと部屋設け、誰が見ても、仕事以外には使えない状況に整え、できる限りビジネス以外の目的で使わないように心がけなければなりません。朝起きてその部屋に「出勤し、仕事が終わり次第その部屋を出て「帰宅」するような感覚を、徹底するといいかもしれません。

上記の国税庁のガイドラインに沿う場合であれば、1と2の両方が税控除の対象になりますが、控除額は床面積などによって算出されますので、税理士などに相談されることをお薦めします。

また自宅が持ち家で自宅開業する場合は、自宅売却の際に得られるはずの譲渡益税免除が、一部適応されない場合がありますので注意が必要です(※2)。

自宅が賃貸の人にとっては、将来の売却益などの心配がないため、自宅開業はビジネスを始めるにあたって、たいへん有効な方法であるとも言えます。

故松下幸之助氏は、事業をダムに例え、ダムに入り切らないあふれた水を使って事業を拡大していく「ダム式経営」を薦めていますが、自宅開業は、将来の事業拡大のための資金を早くダムに貯めるための選択肢の1つだと言えるでしょう。

(※1)税法では「Places of business」と呼ばれます。

(※2)通常、自宅売却時に生ずる譲渡益は無税です。


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【プロフィル】
渡辺哲(わたなべてつ)

●豪州CPA、税理士。不動産管理業、個人会計事務所経営、大手監査法人勤務などを経て、2010年5月よりヴィンセンツ公認会計事務所にて日系企業の会計、税務、経営の総合的アドバイスを提供するジャパニーズ・ビジネス・ソリュルーションズを設立。

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