シャープ 「オンリー・ワン」の開発哲学編 第3回

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シャープ
「オンリー・ワン」の開発哲学編 第3回
自然界の鮮やかな色を忠実に再現
「クアトロン」搭載、新型アクオスの秘密

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 約10年前の発売開始以来、日本では液晶テレビのトップ・ブランドとして親しまれているシャープの「アクオス」。この9月にオーストラリアで発売されるその最新モデルは、カラー・テレビの歴史を塗り替えるほどの革新的な技術「クアトロン」を搭載しています。従来のカラー・テレビは赤、緑、青3原色で色を再現していますが、クアトロンはこれに第4の色「黄」を加えているところに高画質のカギがあるのです。
 オーストラリア中がシドニー・オリンピックの熱狂に包まれていたちょうど10年前の2000年9月。皆が白熱した試合を観戦していたのは、今ではすっかり古めかしくなった大型のブラウン管テレビでした。その年の12月、シャープは液晶テレビ「アクオス」の第1号モデルを発表します。当時はパネルのサイズが現在より非常に小型でずっと高額でしたが、21世紀のテレビとして大きな注目を集めたのです。
 今ではどの家庭でも薄型テレビが当たり前になったことを考えると、つくづく時代の流れを感じさせます。リビング・ルームの一角をかさ張るテレビが占領していたのが、遠い昔のように感じられますね。
 そんな薄型テレビですが、大きく分けて「液晶」と「プラズマ」の2つのタイプがあります。初期のころはいずれの方式も一長一短があり、液晶は小型画面、プラズマは大型という住み分けを考えるメーカーがほとんどでした。
 そんな中、シャープは2005年までにすべての新型テレビを液晶にすると宣言したのです。シャープには薄型テレビの主役は間違いなく液晶になることが見えていたのです。
 1973年に世界初の液晶表示付きポケット電卓を発売するなど、シャープは40年以上も前から「オンリー・ワン」の技術として液晶の開発に力を注いできました。電卓の時代から、小型化や薄型化、省電力設計など長年にわたって技術を蓄積し、テレビについてはデジタル化、大型化、高速化、高精細化、高輝度化を追求するなど、将来テレビに求められる機能を予見し、液晶の可能性を熟知したシャープだからこそできた宣言でした。
 そうした先進的な液晶技術の開発が、現在では日本市場で約40%と断トツのトップ・シェアを確保しているアクオスの成功につながっているわけです。

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自然の色をありのままに再現
 そして、アクオス第1号の発表から10周年を迎えた今年、シャープは画期的な「クアトロン」技術を搭載したアクオスを発売しました。1月に欧米で発表して好評を得て、7月に日本で発売。この9月からは、満を持してオーストラリアでも販売をスタートします。「液晶テレビは近年、高精細(HD)化やLEDバックライトによる薄型化、インターネット接続などさまざまな多機能化が進みました。しかし、ここで原点に立ち戻り『自然の色を再現する』というテレビ本来の価値を創出することにこだわったのです」と話すのは、おなじみのシャープ・オーストラリア内山雅司社長。カラー放送の開始から半世紀を経て、テレビが色を再現する原理を根本から変革する技術なのだそうです。
 つまり、従来のテレビはRGBといって赤、緑、青の3原色を組み合わせることですべての色を再現していますが、クアトロンはこれに「黄色」を加えて4原色としました。これにより、黄色はもちろん、ゴールド(黄金)、シアン(明るい青)、アクア(エメラルド・グリーン)など、RGBの限界を超える領域にある鮮やかな自然界の色を忠実に表現することができるようになったのです。
 ただ、開発段階では、4原色技術は「パネルの透過率を上げる」(明るくする)ために研究していたものの、開発陣は4つ目の色の選択に悩みました。試行錯誤の末、鮮やかな黄色や輝く金色、澄んだ空や海の色など、従来は忠実に再現できなかった色域が広がり、LEDバックライトの光をムダなく使える黄色を探し出したそうです。
 映画やHDのテレビ番組だけではなく、オーストラリアの大自然を写したDVDや自分で撮影した映像作品を再生するのにも最適だと、内山社長は指摘しています。「従来のテレビでは必ずしも再現できない、自然界にある色をそのまま映し出しますから、グレート・バリア・リーフのコバルト・ブルーの海、ウルルの赤い大地、陽光にあふれた日常生活の映像なども、リアルに楽しめるでしょう」
 また、開発段階では4原色にすると光が強すぎてどうしても電力消費量が増えてしまうことが分かったそうですが、「UV2Aパネル」などのオンリー・ワン技術を駆使して、本来なら色の再現範囲の拡大と相反するはずの省電力化も同時に達成できるようになったといいます。

 オーストラリアで最初に発売するクアトロン搭載アクオスの商品名は「LE820」シリーズ。画面サイズは40インチ、46インチ、52インチの3種類があります。まずは「百聞は一見にしかず」。9月にはハービー・ノーマンなど全豪の量販店に並ぶそうなので、その真価を実際に目で見て確かめてみてはどうでしょう。クアトロンで自然の色再現にこだわったシャープ。ここからどのような進化を遂げるのか。しばらくシャープから目が離せそうにありません。
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