縦の意識

ケアンズ風物記
豪州最北端の町、木曜島。その背後に あるのがハモンド島。この島の裏側に 死んだクジラが打ち上げられたのが2 年ほど前。つい最近、島へ戻って行っ たら、その骨がまだあると聞いた。 早速拾いに行くと、何と、全骨格、 完全に残っていた。クジラはミンクか な。6メートル前後らしい。素晴らし い立派な骨格なのに、クジラにうるさ い豪州人は、全く興味を示さないのだ ナァ。写真は集めてきたクジラの骨 格。数個は骨を抜いてある

ケアンズ風物記
南緯17度の太陽
其の117 松本主計

縦の意識



チョイトやり方があくどいナァ、と思った。まァ それが狙いだろうけどネ。最近ネットに大量に流れ ている写真。見た時、コリャヒドイ、と誰もが思う はずだ。地面に累々と並ぶパンダの死骸。船底の冷 凍庫の中に山積みにされた死骸。クレーンに吊り下 げられて陸揚げされる死骸。正視できないような写 真だが、添えてある記事を読んで、ナンダ、と思うと同時に、不快感が込み上げてきた。パンダの死 骸、実は全部人形なのだ。こんな手の込んだ質の悪 い嫌がらせを、巨額の金をかけてできる国は、もう 中国しかない。その通りだった。しかし、何のため に。どうやら裏がありそうだ。まァ、憶測の域を出 ない個人的な意見だと思って聞いてくれんかナァ。
  このチョット前、中国の四川省からパン ダが日本にやって来た。たったパンダ1頭 で、日本中は大騒ぎだったそうだ。民放は 1日中、パンダ一色。中にはパンダの飼育 されていた場所を、四川省まで取材に出か けた局もあったという。要人の来日じゃ あるまいし、少々やり過ぎじゃないのか ナァ、と思うけど、どうやらこれにも仕掛 人がいるのだろう。
  覚えているかナァ、2、3年前。同じパン ダかどうか知らないけど、日本にパンダが 来るはずだった。ちょうどその折、河北省 の天洋食品とかの毒ギョーザ事件。中国側 の対応の仕方に腹を立てた国民や、石原都 知事の反対もあり、何やらうやむやになっ てしまったようだ。
 昨年の総選挙で民主党が大勝。革新政党が 圧勝するということは、それだけ保守系の自 民党がだらしなかった、ということで、民主 党のような政党を選んだ国民に責任がある、 とも一概には言えないような気もする。
 しかしこの民主党、当選するとすぐに党 のマニフェストになかった外国人参政権、 夫婦別姓、人権擁護法案を押し出してき た。コリャまるで詐欺のようなものだ、と 思ったヨ。財源の見通しのない子ども手当 てなどのバラ撒きで票を釣り上げないで、 働く両親たちのために、全国に無償の保育 所でも設置した方が、ずっと金が生きてく ると思うんだけどナァ。
 それにしてもこの民主党、まったく話題 には事欠かない政党だ。自国の建国記念日 には何もしなかったのに、中国人民共和国 の50周年記念には、600人もの議員と随員 を連れて参加した幹事長。これはもう朝献 だネ。おまけに税金。
 たぶん去年の3月の議会だったと思う。ど んな形であれ日本に入国し、5年以上過ごし た外国人には、日本人と同等の権利が与えら れる、という法案を提出した議員がいた。さ すがに彼女の案、通院しなかった。日本は日 本人だけのものではない、という首相の下、 すごい議員が出てくるものだ、と信じられな かった。韓国の反日デモに参加し、韓国の日本大使館の前に座り込んだ議員もいた。後で 彼女は国家公安委員長に就任。自分の立場が 判っているんだろうかナァ。
 最近唖然としたのは菅首相の取り巻き議 員の1人、土肥隆一。何とこの人、韓国で 日本の竹島の放棄を求める、という書類に サインして帰国している。国を代表する議 員なら、国家の主権と領土、そして国民の 利益を第一に考えてこそ議員と言える。こ の人は全くそうとは言えない人だネェ。
 こんな話、民主党議員の間では捨てるほ どあるヨ。菅首相自体若い時に、日本解体 を叫んでデモった連中の1人だから、彼の 根底には今でもそのプロパガンダが薄目を 開けて出番を待っているような気がする。 国民も今ではこの政党のプロパガンダが、 日本の利益よりむしろ中国と韓国に傾いて いることを感じ始めてきたのではないか。
 そのきっかけがあの尖閣諸島での中国の 挑発事件。捕まえた船長はすぐに釈放する わ、日本の巡視艦の撮ったビデオはひた隠 しにするわ。でもそのお陰で国民の不信感 を招き、日本のナショナリズムが少し盛り 上がってきた。中国に感謝。
 毒ギョーザに次いでまた、中国への風当 たりが強くなってきた。ホンナラ動物に弱 い日本国民に再度パンダを出して懐柔策と しよう、と中国共産党宣伝部は考えたので はないか。それを大々的にサポートするの が日本の民放。私の単純な頭にさえこんな 図式が浮かんでくる。
 しかしナ、もうチョット考えてみやンセ、 と私は言いたい。パンダの生息地は四川省の 山岳地。この土地の半分は以前チベットだっ た。中国が侵略し、多数のチベット人を虐殺 して自分たちの領土とした地域だ。パンダは 中国のチベット侵略の1つの象徴的動物なの だ。当然、日本のチベット・サポーターたち は、そんな動物を利用しての日本懐柔策に抗 議し、デモもした。日本のマスコミはこれを 完全無視。何やら恐いネ。
 サテ、ちょうどこの後くらいだナァ。日 本国農水省が捕鯨船団引き上げを決定。 サァ日本を負かしたと跳び上って喜んだのは、シーシェパードの連中とそのサポー ター。何が自然保護者だと正直私はそう 思った。法規を守り操業している日本船 に100本以上の酸化物混入の火災ビンを投 入。むしろ環境テロリストと言うべきだ。
 しかし、日本側にも不透明な部分があ る。調査捕鯨、という建て前なのに、鯨肉 は日本国内で市販されている。おまけに 6,000トンもの冷凍肉がストックされてい るという。日本政府はただ尻尾を巻いて下 がるのみならず、日本の捕鯨産業を踏ま え、文化的歴史的に基づいたしっかりとし た釈明を全世界にするべきだった。弱腰ま る出しの引っ込み方が、次の災難を呼びつ けはしないか、と心配だ。
 あのシーシェパード、米国でアニマルプ ラネットというケーブル・テレビ番組で、 日本船との正義の戦いを売り物にしている 抗日団体だ。日本を叩いてそれを放映し、 収益を上げる。ハッキリ言って彼らには鯨 の保護、なんてものはそのための手段に過 ぎないのではないか。
 推測が当たっていれば、彼らがこのまま 引っ込むはずがない。日本という悪者が消 えると、テレビ番組も続けられない。サ テ、次は何で日本を叩くか。金をかけた高 速艦が残っているので、やはり海の、そし てインパクトのある巨大生物がいい。とな ると答は1つ、巨大黒マグロ、しかない。
 アッソーカ、と思った。あのパンダ虐殺 の写真の数々。冷凍庫から陸揚げされ、整 然と並べられて競りにかけられる黒マグ ロ。日本民族は世界の海産資源を食い荒ら す、何と残虐な国民であることヨ、という ことをパンダの人形を使って宣伝している のだ。その前に日本は生きたパンダに大喜 び、と民放が煽っていただけに、ドキリと させる効果があったかもしれないが、何と も卑劣なやり方だナァ。
 シーシェパードの資金源はテレビの放送 収入とスポンサーの豪州とオランダの保護 団体、と思っていたが、抗日という同じ趣 旨で、もしかしたら中国の金も入っている のかも知れないナァ。まァこんな恐れ多いことは大っぴらには言えないんだけど、あ れこれと事実から考えていると辿りつい た。日本政府の弱腰が、黒マグロの妨害作 戦を引き起こすことになるということだ。 黒マグロの世界的漁場は西アフリカから地 中海にかけて。シーシェパードは必ず次の 妨害に出る、と思っていたら、先日彼ら自 体が、次の戦いは地中海での日本船撲滅、 と宣言したというニュースを聞いた。日本 船以外は黒マグロを捕っても文句はないら しい。泣かせるゼ。
 こんな話や戦争談、国旗国歌、日本兵の 遺品なども集めているヨ、などと日本人に しゃべると、若い人たちは全く興味を示さ ないのは当然として、貴方は右寄りですネ とか右翼のように見られてしまう。
 私自身、私を全く平凡な日本人、だと 思っている。豪州国籍を持ち、豪州の法に 従うのは当然の義務だけれど、それでも、 日本人だ。日本人ならば誰でも自分の国を 愛し、国旗、国歌を尊重し、自国の歴史を 知り、その文化習慣を誇りに思い、そんな 国を守るために死んだ数多くの若い人た ちの魂を弔うことは、ごく当たり前のこと だ。世界120カ国の中で、どこの国が国旗 や国歌を恥かしめ、自分の国が悪いと教育 する国があるだろうか。日本だけだ。
 この教育の歪みが右だの左だのと区別 し、日本をおとしめる人材を創り出してき たのだ。普通の日本人ならば、右も左もな い。真ん中なのだ。
 今回の東日本大震災で世界が感嘆した日 本人の秩序を形成する能力の高さ。一朝一 夕で備わってきたものではない。日本の長 い歴史の中から年月をかけて形成されてき たものだ。戦後の日本人の未熟さは、やり たいことをし、物質を得ることが幸せの道 と勘違いし、やるべきこと、すなわち、現 在近年という横の意識に対処するだけでな く、正しい国の歴史を学び、民族がどんな 倫理観で生きてきたかという縦の意識を学 ぶ努力を怠ってきたことにあるのではない か。サァ、普通の日本人になる努力をしよ う。日本は素晴しい国なのだ。


まつもと・かずえ●
昭和17年2月1日生まれ。東京水産大学増殖学科卒業。1966年木曜島でPearls Pty Ltdに勤務。75年に退社。その後ケアンズに空手道場「Matsumoto Karate Academy」を開く。現在、オーストラリア空手連盟ノース・クイーンズランド代表

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