旦那はオージー「IELTS勉強編~個性的な生徒との出会い」

第11回
IELTS勉強編~個性的な生徒との出会いと気付き

【前回までのあらすじ】夫の故郷であるオーストラリアへ2005年家族で移住。日本語教師として登録されるには、IELTSのスコア・アップが不可欠だが、なかなか合格しない。2つめのバイトは3週間でクビになったり、あげくの果てに生活保護のお世話になる羽目に。お金なし、コネなし、仕事もなしのないない尽くしに、「どん底人生へ突入か?」と思われたが、捨てる神あれば拾う神あり。成人のための学校(LLNP)で、将来への展望が見えてきた。

M先生は個性的な先生だった。常に指輪やピアス、ネックレス、ブレスレットをたくさん着けている。服装にはテーマ・カラーがあり、それに合わせたピン・ヒールを履いている。この年代のオージー女性はわりとリラックスした体型が多いのに、彼女はスタイルが良く、教え方が上手かった。しかし独学も必要だと思い、同時に「トーストマスターズ」というパブリック・スピーチ・クラブにも入会。スピーチを10本以上書き、LLNPでも披露。外国人にも通じたことが自信につながった。

読み書きができないのに、計算だけは得意な若者の秘密とは?!

このLLNPで、Sさんという20代前半の若者と出会った時のこと。彼は自分の名前も住所も満足に書けなかったが、基本的な計算は問題なし。「計算が得意なのね」とM先生が感嘆すると、その秘密を教えてくれた。

「僕は学校には通っていたけれど問題児で、いつも怒られては教室の外に出されていた。反省していないと判断されると、校長室に呼び出された。ほとんど教育を受けず、中学で自主退学。なぜ計算だけできるかというと、ドラッグ・ディーラーになったから。『△グラムのコカインが○○ドルだからいくらで売るか?儲けはいくらか?』と常に計算しなくてはいけなかったせいで、自然に覚えたんだ」

学校教育には全く恩恵を受けていないSさん。読み書きのクラスにも初日、顔を出しただけですぐに来なくなってしまった。オーストラリアでは生徒の教育を受ける権利が保障されていない事実に衝撃を受けた。確かに問題児を教室の外に出してしまったら楽だけれども、オーストラリアはこんな教育でいいのか――。それでは問題が先送りにされるだけ。教師になった時の課題が見付かった。


<著者プロフィール>
ポップ登美子
◎北海道札幌市出身。教員経験を経て、現在オーストラリア人の夫と2人の子どもとノース・クイーンズランドに住む。本紙コラムのほかにも「地球の歩き方」海外特派員などでフリーライターとして活躍中。
Web: ameblo.jp/kangaroo777www.facebook.com/miffy777

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