旦那はオージー「就職活動編 ~妻編4~」

第8回
就職活動 ~妻編4~ もう日本に帰る!

【前回までのあらすじ】家族で豪州へ移住し、日本語教師を目指してIELTSの勉強を始めたがなかなか合格しない。とりあえずと就いたマッシュルーム農場の仕事では、多くの勤勉で誠実なアジア人女性たちに出会い、社会の楽しさと厳しさを学んだ。

 

さらなる時給アップを求めて

時給アップを目指して、今度はクリーナーの仕事に就いた。顧客は裕福な個人ばかりで、職場は彼らの邸宅となる。日本ではまず見たことがないような、けた外れの豪邸をたくさん目にすることができた。プールがあるのは当たり前。トレーニング・ジムかと見まがうようなトレーニング機器が充実した家もあった(それにしても、トレーニング機器がある家の住人の方が、ない家より肥満度が高い気がするのは私だけか?)。立派なテニス・コートがある、とあるご家庭のご子息はプロのテニス・プレーヤーになったそうだ。また、S邸では、プライベート・ビーチがついている総2階建て。床は大理石で、玄関には多くの石像があり、「ここはギャラリーかホテルなの?」と思うほどの豪華絢爛な作りだった。しかも「一体どこを掃除したらいいの?」と思うくらいどこもピカピカ。寝室は6つ、バスルームは4つ、バー、グランド・ピアノが置いてあり、すべての部屋に掃除機をかけるだけでも1時間以上かかってしまった。

しかし「毎日豪邸が見られて楽しい!」「将来はこんな素敵な家に住みたいな」という気持ちは長くは続かなかった。ある日、汗だくでバスルームを掃除している自分の姿にハッとした。私は日本では高校教師で、生徒たちに「夢を叶えよう」などと偉そうに言っていたのではないか。それなのにオーストラリアに来て、なぜ他人のトイレを掃除しているのだ?肉体労働の辛さもさることながら、夢からは後退している状況に「もう嫌だ。こんなことを続けるくらいなら、日本に帰る!」と夫に宣言したが、翌日は仕方なく仕事に出かけた。しかし、「もうこの仕事はしたくない」という気持ちがずっとあったせいか、なんと翌週には首になってしまった。
(続く)


<著者プロフィール>
ポップ登美子
◎北海道札幌市出身。教員経験を経て、現在オーストラリア人の夫と2人の子どもとノース・クイーンズランドに住む。本紙コラムのほかにも「地球の歩き方」海外特派員などでフリーライターとして活躍中。
Web: ameblo.jp/kangaroo777www.facebook.com/miffy777

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