クリケット観戦に行って来た!


編集部BBKの突撃レポート
不定期連載第12回

 

クリケット観戦に行って来た!

─多くの日本人には謎のスポーツ、クリケットの魅力を探る─

「日本映画祭」でも人気を博した、婚活から始まるラブ・コメディー映画『箱入り息子の恋』で協力プロデューサーを務めたオージーの映画マン、ケン・アイザックさんと昨年、僕はひょんなことから知り合いになった。スキンヘッドに黒縁めがね、穏やかな人当たりのケンさんは、映画を通じて日本とオーストラリアをつなぐという大志を抱く才気あふれる魅力的な人物だ。

そんな彼から「クリケットを観に行かないか」と誘われた。オーストラリア・クリケット協会、およびNSW州クリケット協会が日系コミュニティーに注目しているというのだ。なるほど、それならばぜひ行っておきたいというわけで2つ返事で快諾。

後日、ケンさんから電話がかかってくる。「チケットを渡したいからオフィス・ビルの前まで来た」とのこと。早速エレベーターで1階フロアに下りる。

ちなみに彼とのミーティングは普段英語で行われているが、ビジネス・シーンにおいても、丁寧に話してくれる彼の口調は非常に聞き取りやすく僕は大いに助けられてきた。「Hi Ken, How are you?」と挨拶をする。

するとケンさんは答える。「元気元気。いや〜、今日は暑いね〜」

ん?……………ケンさん今日本語しゃべったよね?え〜〜〜〜!?

なぜ今まで日本語が話せると言わなかったのか。驚きをあらわにしながら尋ねると「昔に比べて下手になったから」と言う。いやいや、すごい流暢なんですけど!かくして僕らのやり取りは丁寧な英語から日本語に変わり、よりいっそうスムーズなものになったのである。さて、そんなこんなで(どんなだ?)僕らはムーア・パークにあるクリケット・グラウンドで行われるクリケットの1戦を観戦しに行くことになったのである。

 


試合の中心となるピッチはフィールドの中央、長さ20メートルほどのエリアだ


左からジャパンファウンデーションの許斐雅文さん、在シドニー日本国総領事館の大塚恵理領事、牧野道子領事、ケン・アイザックさん、小林敏明総領事代理

野球と似て非なるもの

12月20日、クリケット・グラウンドに集合。当日は在シドニー日本国総領事館から、小林敏明総領事代理、牧野道子領事、大塚理恵領事、およびジャパンファウンデーション・シドニーから「日本映画祭」のプロデューサー・許斐雅文さんがケンさんに招かれる形で観戦に訪れていた。

クリケット大国の1つであるオーストラリアに暮らしていたとしても、おそらく大半の日本人はクリケットには馴染みがないだろう。一応、事前にネットで調べたところ、ルールの押さえどころとしては、大体以下のような感じだった。

ピッチャー(ボウラー)とバッター(バッツマン)が対峙する点は野球と同じ。しかし、大きく異なるのはボウラーはバッツマンをフライなどで打ち取ることと同時に、バッツマンの後ろにあるウィケットと呼ばれる3本の棒のようなものを倒すことを狙っている点。これを倒されるとバッツマンは問答無用でアウト。しかも1度アウトになると試合にはそれ以降出られない。

ボウラーはボールをワン・バウンドで投げる。ノー・バウンドだと簡単に打たれてしまうからだそうだ。バッツマンはアウトにならないよう、ウィケットを守ったり、360度どの方向にもボールを打つことができる。打った後は「ラン」といってボウラーがいる逆サイドに向かって走り(反対サイドにいるバッツマンと2人で走る)、規定の線まで行くと1点が入る。打球を遠くに打てば何往復もできる。野球で言えば、2つのホーム・ベースの間を往復しているようなものだ。このあたりまで頭に叩き込んでおけば後は試合を見ながら何となくルールが見えてくるし、実際それなりに楽しめた。


Sydney 6ersの応援グッズを身に着けご満悦の大塚領事


オーストラリア代表チームのキャプテンも務めた名プレーヤー、マイケル・クラーク選手と

僕らはビールやワインを片手に雑談を重ねながらゲームを観戦した。ボウラーがウィケットを倒しアウトにした際の盛り上がりはサッカーの得点シーンに匹敵するほど盛り上がった。それを見るに野球と大きく違う側面として僕が感じたのはボウラー側が攻め、バッツマン側が守るという野球とは逆の性質だ。バッツマンが打ち、得点を決めることは当然であり、重要なのは守備側がその失点をいかに少なくするよう攻められるかという点なのだ(と思う)。

クリケットには野球のようにイニングがあるわけではなく、またランナーがたまるという概念がない。そのため、いい意味でゲームの流れがシンプルであり、観戦への集中力もそれほど必要ないと言える。事実、僕と許斐さんはいつしかゲームもそっちのけでお酒を飲みながらの映画談義に花を咲かせ、知らぬ間に何十点も得点が入っていたりもした。ゲーム自体を楽しんだのか、そこから派生するコミュニケーションを楽しんだのか、境界は曖昧だが、ゲームの終わりごろには皆一様にほどよくでき上がり満足気。

こうしたゆったりとした楽しみ方ができるのがクリケット観戦の大きな魅力なのかもしれない。今後、ルールを詳しく把握すればさらなる楽しみ方が見えてくるにちがいない。クリケット、これを機に注目していきたいと思う。

<プロフィル> 編集部BBK
スキー、サーフィン、牡蠣、筋子を愛すシドニー新参者。常にネタ探しに奔走する根っからの編集記者。
齢30半ば♂ 妻あり。読書、散歩、晩酌好きのじじい気質。

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