【シドニー虹色通信】「一筋の光」

東日本大震災・被災地を想う シドニー虹色通信

プロフィル◎JCSシドニー・レインボー・ステイ・プロジェクト
2011年3月11日東日本大震災発生の年、被災児童を支援する目的でシドニーで発足した保養プロジェクト。毎年夏休み期間中に、10人の小中高校生を東北からシドニーにホーム・ステイ招待している。また毎年3月11日前後には、震災復興支援とファンド・レージングの目的で「3.11震災復興支援イベント」を開催している。シドニー日本クラブ(JCS)傘下団体。
www.jcsrainbow.com

文:Yukiko Salisbury(プロジェクト代表)

第9回 「一筋の光」

3月11日、12日の2日間にわたり、シドニー郊外のマンリーで、東日本大震災復興支援5周年イベントが開催されました。11日は黙祷や災害レスキュー隊の表彰式などが中心の追悼式典、12日はたくさんの出演者が集結してのチャリティー・コンサートでした。

今回のシドニー復興支援イベントには、日本からの特別ゲストも2人参加してくださいました。1人はポケモンの主題歌を歌い、サトシの声優を務める歌手の松本梨香氏、もう1人は世界的に活躍するプロ・バイオリニストの石川綾子氏です。

松本梨香氏は、ポケモンの主題歌を歌われる歌手だけあって、元気な歌や踊りで会場を盛り上げてくれました。オーストラリアでも大人気のポケモン歌手をひと目見ようと、現地の若者たちもたくさん集まってきていました。

石川綾子氏は震災直後、東北地方を音楽によって励まそうと、復興支援曲「希望」を作曲し、バイオリン演奏で被災各地を巡業しました。

その特別な曲である「希望」を、11日のステージでは、心を込めて弾いてくださいました。ところが12日最後の演目の際、会場ステージの音源が全てダウンするという未曾有のアクシデントが起きてしまいました。会場音響担当や、スタッフの私たちが、必死で復旧作業を試みましたが、一向に回復しません。10分の時間が1時間も過ぎたような気分でした。

2日間にわたり渾身の力を込めて演奏した石川綾子氏
2日間にわたり渾身の力を込めて演奏した石川綾子氏

そんな、マイクも伴奏も光もない中、石川綾子氏は意を決して「バイオリンを生で演奏します」とおっしゃったのです。

長年、日本を代表するプロ・バイオリニストとして完璧な表現を目指し、凄まじい努力をしてこられた彼女にとってその決断は、大変な勇気が必要だったと思います。そんな中で彼女は全身全霊を込めてバイオリンを弾き始めました。教会の静けさの中、ただただ、生バイオリンの音色だけが響き渡り、それはそれは神々しく、魂が震えてくる気がしました。その時私は、暗闇の中にさした、一筋の光を見たような気がしました。震災直後、被災地を元気付けるためにバイオリン演奏で各地を巡業した石川綾子氏は、まさに東北地方の一筋の光であったことと思います。

どんな困難や苦境にも負けず、乗り越えようとするその姿もまさに東北被災地を象徴しているかのようで、感動しました。

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