第40回 国民の95%が幸せと感じるブータンを旅して

JFPピースフル通信

 

オーストラリア国内の平和への動きについて、
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第40回 国民の95%が幸せと感じるブータンを旅して

プレストン香寿代(JfP代表)

 

ヒマラヤの麓ふもとにひっそりと存在し、独自の伝統・文化を堅持しながらも環境や生態系を守る国、ブータンを訪れた。 国営ドゥルックエアーの機体がヒマラヤの山間をすれすれに通過して高度を下げ、世界で最も着陸が困難な空港と言われるパロ空港に到着した。寺院のような伝統様式の空港では、民族衣装を着たガイドとドライバーが4WDの専用車で出迎えてくれた。パロから首都ティンプーに向かう途中、山と谷と川を越え、視界には緑豊かな田園地帯が広がり、ブータン人は日本人と顔が似ていることもあり、郷愁感でいっぱいになった。

ブータン労働人口の9割が農業従事者で、ほぼ全体が自給自足生活を送る。農業と言えば、西岡京治氏が1964年から28年間、ブータンの農業発展に大きく貢献し、80年に国王から「ダショー」と呼ばれる最高の称号を受け、92年に亡くなった際には国葬で見送られた。ブータンでは、彼を知らない人はいない。 第5代国王は東日本大震災発生翌日、被災者の安全を祈る式典を主催するとともに義援金も即座に寄せられた。また昨年11月には新婚の国王夫妻が国賓として来日され福島を慰問されたことからも、2国間の深い友好関係がうかがえる。

1974年に第4国王が、GDPなどの経済的発展を示す指標より、国民の幸福度を表すGNH(国民総幸福量)を重視すると提唱。1999年にテレビ解禁、インターネットと携帯電話の利用も可能になったことは近代化への大きな躍進で、2008年には新憲法の採択により、民主主義を導入。一方、教育も医療も無料で、世界唯一の禁煙国。国家の大きな収入源は、水力発電による余剰電力の隣国への輸出である。 生活習慣の中でチベット仏教を厚く信仰しているブータンでは、至るところに経文が書かれたカラフルな旗が風ではためき、寺院ではまだあどけない少年僧たちが修行する。日本は長寿国であり、GDPも世界第3位だが、未だ自殺者が年間3万人と減らない。ブータンでは、殺人も自殺もほぼないそうだ。また日本のお寺や神社では、商売、学業、健康など個人的な祈願をする人が多いのに対し、ブータン人は「地球上生きとし生けるものすべてのために」祈るという。そこに死生観や宗教観の違いを感じた。

ブータンは目に見えない精神的な豊かさをとても大切にしている国である。日本は戦後、経済成長や物の豊かさを追求してここまできたが、東日本大震災以降、真の意味での人間の豊かさ、家族のつながり、エネルギーや環境について考えさせられる大きな転換期にあるのであろう。


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Japanese for Peaceプロフィル

2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。毎年8月に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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