第59回 ヨーコ・オノ「War is Over!(If You Want It)」

JFPピースフル通信

 

オーストラリア国内の平和への動き、
メンバーの平和への思いをお伝えするコラム
 

第59回 ヨーコ・オノ「War is Over!(If You Want It)」 
プレストン香寿代(JfP代表)

 

ヨーコ・オノさんが、シドニーのオーストラリア現代美術博物館(MCA)で11月15日から開催されている個展「War is Over!(If You Want It)」のオープニングに出席するため来豪し、17日のトーク・ショーを知った。私の中で、ヨーコさんは刺激的で影響力の大きな存在。憧れの人に会えるチャンス、チケットを得た時の興奮はひと言では表せないほどの感動だった。講演前日、胸をときめかせ、ヨーコさんの個展に向かった。展示は期待通り「Think peace, act peace, spread peace Sydney. I love you」というメッセージがふんだんに散らばっていた。

翌日、オペラ・ハウスのホールは満席。照明が落ち、黒ジャケット、サングラスに帽子姿のヨーコさんが突然ステージに現れた。マイクで「あー」「うー」と声を出して舞台を歩みつつ、苦しそうな呻き、笑い声、悲しみの声を出す。その声が幾重にもループして響き、不思議な世界へと観客を魅了していった。この前衛的ボイス・パフォーマンスの最後に「wish, wish, wish」と囁き声で願いを連呼。フェードアウトしたところで、にっこりとお辞儀。会場は大きな拍手で包まれた。華奢なヨーコさんは80歳。しかし、そんな年齢には見えない。柔らかい声で、50年間のアート、音楽、活動家としての人生を語った。

1933年に生まれ、幼少時代は父の仕事で米国に住み、戦時中は日系人排斥に遭遇し、祖国との間に揺れた。帰国後は戦火を逃れ東京から東北に疎開、限られた食糧と恐怖の中で過ごした。家族、愛と平和、ジョンとの出会い。ベトナム戦争中、彼と巻き起こした平和アクションの数々。途中、ヨーコさんは真っ黒な袋にすっぽりと入ったまま、マイクで10分ほど喋り、同様のアクションをジョンとした時の逸話を披露。彼女のウィットとユーモアで笑いに包まれた。ジョンは、ヨーコを「世界で一番有名な無名アーティスト」と表現した。彼女はガーディアン紙で「オペラ・ハウスと私は似ている。最初に現れた時、皆好きじゃなかったけど、年数が経ち理解が深まり受け入れてもらえた」と話す。

1時間半があっと言う間に終わり、スクリーンに若き日のジョンとヨーコが「イマジン」を歌うビデオが流れた。この曲をここで憧れの人とともに聞けて、説明できない感情で胸が押しつぶされ、涙が溢れた。ジョンがまだ生きていたら、今の世界を何と言っただろう? 

アンコールの拍手は鳴り止まず、アラーム・クロックを持ち舞台に戻って来た彼女は、「アラームが鳴ったら、皆帰ってね」。チャーミングで温かい人柄が溢れるイベントだった。


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Japanese for Peaceプロフィル
2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。毎年8月に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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