第58回 亀は万年

JFPピースフル通信

 

オーストラリア国内の平和への動き、
メンバーの平和への思いをお伝えするコラム
 

第58回 亀は万年 
与那覇麻紀(JfPメンバー)

 

沖縄本島から父方の先祖がいた宮古島へ、さらには隣の伊良部島へ船で向かった。世界屈指の透明度を誇る宮古の海を渡り、時がゆっくりと戻っていくような錯覚。「亀がいるよ」という妹の声に家族全員が身を乗り出したのは、とても印象的な瞬間だった。私は海や海の生物に、人によっては山や古寺にそれを感じるかもしれない。長くそこに存在してきたもの特有の懐かしさを感じ、「ああ帰ってきた」という実感が湧き上がる。

本島では連日、オスプレイ配備、米軍基地に関する賛否両論が飛び交っていた。「辺野古への新基地建設反対」の横断幕の横に「基地反対は中国政府の思うつぼ」「辺野古移設で仕事バンナイ(いっぱい)!商売繁盛!」という横断幕も見かけた。

平和や幸福を願う気持ちは同じでも、噛み合わない意見や異なる方法論、自分自身の理解不足を感じつつも、辺野古テント村や大浦湾へ何度か足を運んだ。また、『ひまわり』という米軍機墜落事故*を題材にした映画の自主上映会にも参加した。800席は満員、雨漏りしている会場で、傘をさしながら映画を見る老夫婦が印象に残った。

曾祖母が育った諸志区では、4年に1度の豊年祭にも参加した。地域の健康と五穀豊穣を祈願し「かぎやで風」で祭りは始まる。新興住宅街育ちの私には、このような祭りは新鮮に感じられた。劇場でのプロの演舞も素晴らしいが、こういった神や自然に捧げる音楽や踊りは、その芸能が持つもともとの意味を宿しているようで、言葉では表せない、深い記憶を引き出してくれた。少し大げさだが、このしびれ感を知ったら、コンピュータ・ゲームやショッピング・センターなんて不要と思えるほど、刺激と満足感に満たされた。締めの踊り「松竹梅鶴亀」は、普段はやんちゃ盛りであろう高校生の男女5人が、頭に鶴や亀の模型を載せ踊る。その姿を見ていたら、「今後4年間、諸志区はきっと安泰だろう(みるくゆがふ)」と心から思えた。

戦争で何らかの利益を得る一部の人を除き、「できるならば戦争はない方がいい」と皆言うだろう。戦争で壊されるのは私たちの生活だけではなく、自然そのもの。歓迎してくれた亀がいたあの海や、何万年も生きてきた山々、地域伝統までも消えるのか思うと、心底悲しい。そのためにも武力ではなく徹底した話し合いにより、世界均衡が保てる方法を今後も模索していきたい。

一読してくださった方へ、いっぺぇにふぇでーびたん(ありがとうございました)。

*1959年6月沖縄県宮森小学校に米軍ジェット機が墜落炎上、児童11人、住民6人が犠牲となった。


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Japanese for Peaceプロフィル
2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。毎年8月に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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