第49回 豪日交流基金助成企画公開講座に参加して

JFPピースフル通信

 

オーストラリア国内の平和への動き、
メンバーの平和への思いをお伝えするコラム
 

第49回 豪日交流基金助成企画公開講座に参加して 
松岡智広(JfPメンバー)

 

1月9・10日、「ポスト311期の日豪市民社会対話と協働の可能性を探る」というテーマで、豪日交流基金助成企画の公開講座が慶応大学と福島大学で開催された。核戦争防止国際医師会議の共同代表で、長年核兵器廃絶に取り組んできたメルボルン大学准教授の医師ティルマン・ラフ氏が、医学者の立場から放射線の健康への影響と福島第1原発事故の影響について講演し、私は豪州のウラン採掘と日本の原発産業の関わりについてお話した。

福島第1原発事故以来、核燃料サイクルの最上流にあたるウラン採掘について日本でも関心が集まり始めた。しかし豪州のウラン採掘と日本の関わりについては、まだまだ知られていないことが多い。

もともと豪州では英米の核開発のために50年代にウラン採掘が本格化し、英国の核実験も南豪州を中心に繰り返し行われた。その後、世界の原発への供給を目的としたウラン生産へと移行し現在に至る。日本にとって豪州は長年にわたるウランの主要調達先であり、福島第1原発で豪州産ウランが使われていたことを連邦政府も公式に認めている。北部準州カカドゥ国立公園のど真ん中に位置するレンジャー鉱山は、日本へのウラン供給を名目に開発された。豪州各地の新たなウラン探鉱プロジェクトにも日本企業が出資している。こういったさまざまな情報を駆け足で一気に紹介した。

中でも私は2つの点を強調した。1つは、実際のウラン採掘に至るまでには巨額の初期投資が必要であり、ウランは原子炉の燃料ではあっても、突き詰めて言えば、原発にとっての本当の燃料はお金であるという点。豪州は埋蔵量世界最大、生産量第3位のウラン産出国であると同時にウラン探鉱・採掘のために企業が資金を調達する金融市場でもある。

もう1点は、ウラン採掘地の先住民の悲しみと原発事故の被害を受けた福島の人々の悲しみの繋がりである。福島第1原発事故発生後、ウラン採掘問題に取り組む先住民の方々は、直ちに悲しみや謝罪を表明した。先住民にとって“our land”である豪州のウランが引き起こした惨事は他人事として片付けられない。

先住民が“our land”と言う時、それは単に所有を示す言葉ではなく、自分たちが属する大地という意味を持つ。原発事故で住む地を追われた人々が失ったのは、単に所有物としての資産ではない。自分たちが生きてきた、自分たちの属する地だった。だからこそ先住民は被災者の痛みをいち早く、深く感じ取ったのだ。


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Japanese for Peaceプロフィル
2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。毎年8月に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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