雨

第45回

文=加納寛之
 復活祭も終わり、朝晩の風がずいぶんと秋めいてきました。しかし、この夏を振り返って思うのは、暑さよりも、雨が本当に多かった、ということです。2年前には大干ばつでクイーンズランド中の誰もが天に向かって雨乞いをしていたというのに、今年はひと度降り出したと思ったら、一向にやむ気配を見せず、いつまでも降り続きました。この雨で洪水も起きました。しかし、一時期には2割まで落ち込み深刻な状態だったダムの水量がようやく回復したのは、喜ぶべきことではないでしょうか。
 とは言っても、やはり雨が続くと、日常の生活が少しばかり面倒になるのも事実です。今年学校に上がったばかりの小さな娘にとっては、この雨はまだ慣れぬ学校への道をいっそう遠く感じさせるものだったはずです。ぬかるんだ道を通って通勤する私も、気分爽快というわけにはいきません。たくさんの洗濯物を回しては、常に乾いたかどうか気にしなくてはならない妻にも、雨で満足な散歩にも出られないモモにも、みな同じようにストレスはたまります。戸外での仕事を持つ人たちにとっては、さらにうっとうしい日々だったことでしょう。
 思えば、日本にいたころには多少の雨は当たり前でした。美しい桜を最後に必ず散らしてしまう雨、日本列島の大部分では避けられない梅雨、紅葉のころの長雨、雪のゆるんだ大きなしずくの雨。傘や長靴、レインコートといった雨具も、日本に住む人なら何種類か持っているはずでしょう。
 ブリスベンに住むようになってからの数年で、雨が少ないことと、車での移動に慣れてしまった自分がいます。しかしこの夏は、何度雨に降られながらゴルフをしたことでしょう。モモを連れて近所の公園まで遊びに行った折は、あっという間の土砂降りに遭い、家族(+1匹)で、ずぶ濡れになって帰って来ました。庭にはびこる雑草、芝に張った菌糸やキノコをとり、湿気を体で感じた夏でした。
 これから来る冬の間は、穏やかな日々が続くといいですね。


プロフィル
かのうひろゆき●ブリスベン歴7年半。日・米・豪3カ国の弁護士。弁護士歴12年NY留学中の2001年に9・11テロを体験後、ブリスベンの青空に心を癒され永住を決意。モットーは仕事も遊びも全力投球!週末は妻、娘(5歳)と一緒に愛犬モモの散歩でリフレッシュ。犬連れのアジア人家族を見かけたらそれが僕たちかも ?

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