サリー・マクマナス書記長

政界こぼれ話人物編 その197

サリー・マクマナス書記長


政界にも大きな影響力を持つ、労働組合の頂上組織である豪州労働組合評議会(ACTU)のサリー・マクマナス書記長は、シドニーの西部地域で育っている(45歳)。父親は家具職人で、母親は製薬工場の事務員であった。男の兄弟が2人いる。

マクマナスは14歳のころからさまざまなアルバイトを経験しているが、高校を卒業後はシドニーのマッコーリー大学に進学して哲学を専攻し、しかも優秀な成績を収めている。家族の中で高校を卒業したのは、マクマナスが初めてであった。

学生自治会運動にも熱心で、弱冠19歳で学生自治会の議長に就任している。大学卒業後はACTUの若手スタッフとなり、労組専従員としての訓練を受けたが、当時ACTU書記長であったのが、現在でもマクマナスが「師匠」と仰ぐケルティーである(注:第2次世界大戦後の豪州では、最高のユニオニストと評される労働界の巨人)。その後、豪州サービス組合(ASU)の専従員となり、22年間にわたり活躍したが、ASUではNSW州支部の書記長を務めている。メルボルンに本部のあるACTUの副議長となったのは2年ほど前のことである。

そして今年の1月に、オリバーACTU書記長が突然同ポストを辞任し、労働運動、労組活動からも引退する旨を表明したことを受け、下馬評通りにマクマナスが後任の書記長に選出されている。ACTUで実権を握るのは議長ではなく書記長の方だが、女性がトップとなるのはマクマナスが初めてのことである。ちなみにACTUの「表の顔」「対外スポークス・パーソン」のキーニー議長も女性で、ACTUの書記長/議長がそろって女性というのも、もちろん今回が初めてのことである。

信条や思想、人柄だが、マクマナスは労働党では左派に所属し(注:労働党は「派閥政治」の党で、労働党とは密接な関係にある労組幹部も党の派閥グループに所属している)、それも相当に強硬な左派のメンタリティーを持つ。財界や保守政党が懸念するのは、マクマナスの過激な姿勢や信条、そして、何よりもその対立的(「Them vs Us」)な姿勢である。

実際にマクマナスはACTU書記長に就任するやいなや、早々に舌禍事件を起こしている。それは、国営ABC放送の時事番組に出演したマクマナスが、好戦的な左派系大労組の建設・森林・鉱業・エネルギー組合(CFMEU)の違法行為に関連して質問された際に、「不当、不公正な法律に関しては、当該法律を破ることに問題があるとは思わない」云々と発言したことであった。マクマナス発言については、民主制度や法治主義を否定するものと、各層より強い批判が惹起された。

しかもマクマナスは、労働者の権益/権利の擁護や増進が最優先、中核的使命とはしつつも、これまで「政治活動家」としても鳴らしてきたという、相当に広範な分野、社会問題にまで関心を抱く労組幹部である。

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