アダム・バント・グリーンズ副党首

政界こぼれ話人物編 その146

アダム・バント・グリーンズ副党首

ナオキ・マツモト・コンサルタンシー:松本 直樹

ニュース/コミュニティー

環境保護政党グリーンズ(緑の党)のバント副党首は、1972年3月11日にSA州のアデレードで誕生している(40歳)。先祖は19世紀にドイツから移民してきた人々である。

バントが子どものころに一家はWA州のパースへと転居し、バントも大学を卒業するまではパースで過ごしている。大学は私立大学のマードックで、同大学より人文学士と法学士の学位を取得。学生時代には左派の活動家として活躍し、学生自治会の会長も務めた。

若いころのバントはグリーンズをやや小馬鹿にし、一時期労働党に入党していた。大学卒業後はVIC州のメルボルンへと転居し、12年にわたって労使問題を専門とする事務弁護士となっている。

所属した法律事務所は、かつてギラード首相も勤務した、労働党系とされる大手事務所スレイター&ゴードンである。バントはここでパートナーに昇格したが、その後事務所を辞めて法廷弁護士となっている。

初めて政界入りを狙ったのは、2007年11月の連邦選挙である。バントはグリーンズの候補としてメルボルン選挙区から初出馬し、敗北はしたものの、労働党の大物政治家で、屈指の経済通、論客でもあったタナーを向こうに回して善戦した(注:ラッド/ギラード政権で閣内の予算大臣を務めた左派の実力者)。翌10年8月の選挙では、そのタナーが政界から引退。そして同選挙区から再出馬したバントは、労働組合評議会(ACTU)の幹部であった労働党候補のボウテルを破り、見事当選を果たしている。ちなみに下院の本選挙でグリーンズ候補が勝利したのは、バントが初めてであった(注:02年にグリーンズ候補が下院補欠選挙で勝利した例はある)。

周知の通り、同選挙では70年ぶりに下院が「ハング・パーラメント」となり、ギラード政権は無所属やグリーンズの支持を得て辛うじて政権を維持している。要するに、1年生議員に過ぎないバントにも重い責任が負わされたのだが、法案を巡るこれまでの政府との交渉ぶり、メディアでの発言ぶりなどは、新人議員とは思えないほど堂々としたものであった。

こういった活躍が評価された結果、また次期選挙でのバントの再選を支援する意味もあってか、バントは今年の4月には、先輩のハンソン−ヤングやルドラム上院議員を破って、グリーンズの副党首に選出され、現在に至っている。

なお、バントは最近、モナッシュ大学より法学の博士号を取得している。グリーンズ議員だけに環境保護問題はもちろんのこと、バントは人権問題にも強い関心を抱いている。誠実、真面目、沈着冷静な人柄で知られる。

バントには、ギラード首相や労働党閣僚のスタッフであったクラウディアというパートナーがいるが、10年選挙の直後にバントがクラウディアを自身の公設スタッフとして採用したことから、一部から情実人事との批判を浴びた。

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