水が出ない

まさこのメルボルンライフ

メルボルンの、とあるラテン系一家での
日本人主婦奮闘記!
まさこのメルボルンライフ
水が出ない

 先日のこと。朝、水道の蛇口をひねると、水が出てきません。家中の蛇口をひねってみましたが、やはり同じ。「どこかで水道工事でもしてるのかな ? 」と思い、外へ出てみると、案の定近所の人たちがパジャマ姿で、破裂した水道管から湧き出る水を眺めています。一瞬「困ったぞ」とは思ったものの、非常用のペットボトルのおかげで、何とか難を逃れました。


 この出来事で思い出したことがあります。南イタリアの田舎町に住んでいた時、水が突然出なくなるなんてことは日常茶飯事でした。町のあちこちでやたらと水道管が破裂していたのです。多分、管が古かったのでしょう。けれどもこんなことが頻繁に起こってはたまりません。だって小さな赤ん坊は、いつだろうと出すものは出すわけですから。
まさこのメルボルンライフ
 非常時のための貯水タンクがアパートの地下にあり、洗い物用の水はそれで確保できました。ですが水の入った重いバケツを持って、階段でアパートの3階まで昇る作業はかなりの重労働。これを何回も繰り返したら、もうへとへと…。「力仕事は男に任せれば ? 」と思うでしょうが、あいにくその時、夫は急な用事でオーストラリアへ帰っていて、残されたのはイタリアに来たばかりで言葉も分からぬ私と1歳の赤ん坊ばかり。貯水タンクの水が底を突いた時は途方に暮れて、泣き叫ぶ赤ん坊を横目に「泣きたいのはこっちよ」とトホホな気分でした。
 しかし泣いたって水は出ません。「そうだ、叔母の家に行ってみよう」と思い付きました。ベビーカーに赤ん坊とポリタンクを乗せて、近所に住む夫の叔母の家まで行きました。  私は叔母の顔を見るなり、かろうじて知っていた単語を使い「アックァ、ノー・アックァ(水、ない水)」と言いました。叔母は笑いながら「家も出ないよ、でも井戸水があるから汲んで行きなさい(と言ったと思う)」と、水を汲み上げ、ついでにもぎたてのオレンジもくれました。私はお礼を言うと、重くなったベビーカーを力いっぱい押しながら「捨てる神あれば拾う神あり」と感謝しつつ、水の大切さを実感したのでした。


まさこプロフィル
イラストレーター。96年結婚を機にメルボルンへ移住。99年より4年間南イタリアで暮し、その後再来豪。イタリアも好きだが、マルチ・カルチャーのメルボルンは居心地がよい。

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