第92回 秩父夜祭

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第92回 秩父夜祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

先月チャッツウッドのアート・スペース(コンコース)で行ったれん倶楽部会員書作展は、お陰様で大盛況のうちに幕を閉じました。訪れたお客様からは「楽しんで学んでいるのが作品からよく分かる」「すごい、皆さん本当にお上手」などといった感想が聞かれました。

また会期中はギャラリー内でお稽古をしました。ふらっといらしたお客様が、会員の皆さんが硯で墨を磨ったり筆で文字を書いたりするのを見て、いろいろ質問をしたり、「自分もやりたい」と筆を執ってみたりして、とても良い異文化体験空間になっていたと思います。

来年の開催日も決まりそうで、会員の皆さんは既に次の作品の構想に入っています。どうですか、来年は一緒に出品してみませんか。

さて毎年12月1日から6日にかけて、埼玉県秩父市の秩父神社で例大祭『秩父夜祭』が開催されます。その起源は江戸時代、4代将軍家綱の寛文年間にまでさかのぼるとされ、京都の祇園祭、飛騨の高山祭と並んで日本三大曳山祭(ひきやま)または日本三大美祭の1つとされています。曳山というのは車輪のついた山車(だし)のこと、美祭とは幻想華麗な、絵になるような祭りということ。この例祭では山車である2台の笠鉾(かさほこ)と4台の屋台(これらは重要有形民俗文化財)がたくさんの提灯によってそれは見事に飾りつけられます。

祭りのメインは2日の宵宮と3日の大祭。宵宮では屋台の宮参り、大祭では朝から6台の山車が秩父屋台囃子に乗って市街地を曳行されます。また4台の屋台では女子による「曳き踊り」が披露され、さらに当番の屋台町では「屋台芝居」が上演されます。当番制の屋台芝居は演目の決定や配役の選出に1年以上もかけるという本格的なもので、芝居そのものの芸術性もさるものながら、舞台の準備や撤収までの手際の素晴しさも見どころだそうです。そして両日とも、秩父神社の神楽殿では「秩父神社神楽」を観賞できます。これらは「秩父祭の屋台行事と神楽」として国の重要無形民俗文化財に指定されています。そして夜には、秩父では冬の風物詩である花火が、芝桜で有名な羊山から豪快に打ち上げられます。昨年は3日だけで20万人を越える人出となったそうです。

この祭りの由来で最も有名なのは、武甲山の男神である蔵王権現と女神の妙見菩薩の年に一度の逢瀬のため、という説です。実は蔵王権現には番場町諏訪神社の八坂刀売命(やさかとめのかみ)という正妻がいます。それで2日の「番場町諏訪渡り」は、蔵王権現が八坂刀売命に妙見菩薩との逢瀬の許可を求める祭礼だとされているのです。ですから山車が神社前を通過するときは、八坂刀売命を刺激しないように、屋台囃子の演奏を止めて数メートル進む風習が残っています。なかなかユニークな行事が信仰を伴って受け継がれているんですね。

では作品をご覧ください。平仮名の「ちちぶよまつり」です。今回はいつもと違って滲みやかすれが出やすい紙を使用しました。かすれがあるとその部分が明るく見えますね。「よ」の下部と「ま」の下部は形が似ていますが、かすれの有無で明るさが違うのが分かります。どんな紙を使うかで結果が全然違ってきます。よく滲む紙と全く滲まない紙では、後者は筆が紙と接触したところしか黒くならないのに対し、前者は墨がどんどん外に向かって広がっていきます。書き比べてみるもとても良い勉強になりますよ。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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