第93回 面様年頭

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第93回 面様年頭

新年明けましておめでとうございます。旧年中は何かとご教授賜りまして誠にありがとうございました。本年も変わらずご支援賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ご機嫌いかがですか、れんです。

2016年が始まりました。今年はオリンピック・イヤーですね。第31回夏季オリンピックがブラジルのリオデジャネイロで8月5日から21日まで開催されます。南アメリカ大陸では初、南半球では3回目。夏季オリンピックを冬の南半球で行うのも変な話なのかもしれませんが、リオの平年の日平均気温は22度前後だそうなので、いい気候なのかもしれませんね。

もちろんどの競技も日本代表選手に頑張って欲しいのですが、アテネ五輪から3大会連続金メダリストの女子レスリング・吉田紗保里選手や、前回ロンドン五輪で男子体操個人総合で金をとった内村航平選手には個人的に注目しています。陸上も卓球も水泳も、今からすごく楽しみです。けがをしないように十分注意し、実力の全部が出せる精神的・肉体的コンディションで臨んで欲しいですね。

さて今回は石川県輪島市の「面様年頭(めんさまねんとう)」の行事をご紹介します。能登半島の北の地・輪島市の輪島崎町輪島前神社と河井町の重蔵神社では1月の14日と20日にそれぞれ、山から下りて来る面様に対して「おいで面様」、山へお戻りになるときに「お帰り面様」の行事が行われます。400年以上もこの地に伝わる年始の厄除け神事で、国の重要無形民族文化財に指定されています。

「面様」とは夫婦神様です。ペアになった小学6年生が男面「くしがき」と女面「女郎」の奇面をつけ、狩衣(かりきぬ)姿に大黒頭巾で夫婦神に扮し、榊(さかき)を手に無言で氏子の家々を回ります。訪れた家では神様として丁寧に迎えられ、神棚を背に座って主人から年賀のあいさつを受けます。そして神前や家中をはらって、家内安全を祈るのです。

このお面、奇面と言いましたが、そう呼ばれるのも納得出来るなかなか恐ろしいお顔をしています。これをつける小学生も勇気がいるのではなかろうか、神聖な行事に参加する覚悟のようなものを感じるのではなかろうか、とそんな想像をしてしまいます。面様は幸福を持って里に下りて来ると言われているようですが、とてもそんな表情ではありません。自然環境の厳しい土地での生活で、神様というのは本来恐ろしく、人間が拝し奉る存在だと、みんなが感じ、確認できる行事なのかもしれません。

では作品の方をご覧ください。行草(行書と草書の混合)の「面様年頭」です。草書体は元字とは似ても似つかない形になってしまう場合もあり、知識として知っていないと推測もつきにくいものです。

2文字目の「様」、手へんに見えるかもしれませんが左下へ引っ掛けがあるので木へんです。次の「年」は一見「手」にも見えますが横線が1本多いので「年」なんです。書き順が変わっているので更に混乱させますね。「頭」は他に似た字が無いので読めると思いますが、「頁」単独だとどうでしょう。

中国から伝わったものだとはいえ、草書体は長く日本文化を構成する一部だったわけで、読める人がいなくなっていくのはとても残念なことです。しかしですね、女子高生が使うようになったら復活するんじゃないかと思っているんです。私は密かに、かつ大いに期待をしているんです。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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