第95回 帆手祭

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第95回 帆手祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

今月11日で東日本大震災から丸5年を迎えますね。復興庁のウェブサイトで各被災地の復興事業計画とその実施状況を見ることができます。例えば岩手県陸前高田市の海岸、河川、下水道、交通網、農地などの復興事業の完了予定は平成30年度もしくはそれ以降。また災害公営住宅と民間住宅等用宅地の供給も、岩手・宮城・福島の3県について、公営住宅供給が平均で50パーセント以下、宅地となると平均30パーセント(平成27年12月末現在)という状況です。5年経っても解決しない問題は少なくないようで、完全解消への道のりはまだまだ長そうです。

シドニーでは11日(金)と12日(土)の両日、マンリーのセント・マシューズ教会とその周辺で、JCSレインボー・プロジェクトとシドニー日本クラブが主催する追悼復興祈念イベントが行われます。11日の追悼式典に加え、バイオリニストの石川綾子氏の特別公演を目玉に、さまざまなプログラムが予定されています。私も参加致しますので、どうぞお誘い合わせて見にいらしてください。

さて、宮城県塩釜市も東日本大震災の被災地ですが、彼の地の塩釜神社では3月10日に日本三大荒れ神輿(みこし)の1つ『帆手祭(ほてまつり)』が行われます。幸い津波は神社の参道までは来ず、神社自体は無事だったようで、震災の翌年も祭りは開催されました。帆手とは船具で、帆を帆桁(ほげた)に結ぶ縄、もしくは帆網。荒れ神輿とは神意のままに奔放に動き回る神輿です。

祭の起源は江戸時代5代綱吉の御世(1682年)。大火で衰退した奥州一宮の塩釜で、火災の鎮圧と景気回復を塩釜様に祈ろうと始まりました。当時は若者中心に「倅まつり」という名称で正月20日に行われていましたが、2年後の1682年に代官からの「毎年行うのはぜいたく」という通達で中断。しかしその年再び大火が起こったために正月28日開催で復活しました。1733年吉宗将軍の時代に神輿ができて「神輿の町内渡御」が始まり、1872年、明治になって「帆手祭」と改称し時期も3月10日に移行。それ以降戦時中も中止することなく続けられているようです。

最大の見所は、雅楽の演奏の中、重さ1トンもある神輿が、16人の担ぎ手によって202段の急な表参道(男坂)を下りていくところ。担ぎ手たちの必死な顔に、見ているほうにも緊迫感が伝わって手に汗握ります。神輿は昼の12時半に神社を出発し、市内を渡御して午後8時に参道を上って神社に帰ります。

それでは作品を。行書の「帆手祭」です。文字を構成するのに絶対必要な線画を実画といいます。楷書で書かれた文字は全て実画で成り立っているわけです。それが行書になると画と画とが繋がってきます。その繋げる線画のことを虚画といいます。虚画はあってもなくてもいい画なのでどう活用するかは書き手のセンスです。

「帆」には虚画を多用しています。虚画が多いということは文字の中の空間がより細切れになるわけで、それをどのようにコントロールするかが表現のポイントになります。「手」「祭」には1本ずつ虚画を入れました。神意のままに動き回る神輿になぞらえて筆の動きもなすがままにしました。穂先の多少の乱れは気にせずそのまま進めます。筆が立っていれば運筆に問題はなし。いちいち硯で筆を直す必要がないように、収筆で筆を立てる所作を怠らないようにしましょう。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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