第100回 五山送り火

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第100回 五山送り火

ご機嫌いかがですか、れんです。

皆様にこのコラムを読んでいただくようになって、今回で100回目。スタート時には思いもよらなかったご長寿コラムになりました。読者の皆様、掲載してくださっている日豪プレス様、本当にどうもありがとうございます。

そしてこの記念回に皆様にもう1つご報告があります。このたび在シドニー日本国総領事館より総領事表彰を頂戴しました。今年は日豪友好協力基本条約(奈良条約)締結から40周年を迎える記念の年。「豪州における日本文化の普及と日豪間の親善促進へ貢献」したとしてこれまでの書家としての活動を評価していただいたようです。伺った時は本当に驚きました。私にできることなどほんの微々たること。何をしたかと問われて困ってしまうほどで、貢献などと言われると恐縮します。

しかしながら「継続は力なり」の言葉の通り、1つのことを長く続けていると、いろいろなことが蓄積されて実になるのかもしれません。それが他の誰かの役に立つのなら、うれしいことです。たくさんの方々に支えられていることに心から感謝しながら、これからも自分にできることをやっていこうと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

さて毎年お盆の翌日にあたる8月16日、京都の夜空に「京都五山送り火」が輝きます。ご覧になった方も多いと思いますが、その名の通り京都五山の巨大なかがり火で冥府に戻る精霊(お精霊(しょらい)さんと言う)を送るのです。街の灯りが消える中で送り火がおよそ1時間静かに燃え続ける様は何とも幻想的です。

この起源は「平安時代に空海が」という説や「室町時代に足利義政が」「江戸初期に近衛信尹が」などと明確ではないようです。しかし近年大文字送り火に関する古文書が銀閣寺で発見され、大文字山も当時銀閣寺領であったことから銀閣寺創建者の足利義政説が現在有力のようです。

文字への点火は順番に実施されます。観光協会からの要請で東京オリンピック前年の1963年から「大文字から反時計回り」に固定化されました。

一番最初(午後8時)に点火されるのが最も有名な東山如意ヶ嶽(大文字山)の「大文字」。「大」の2画目の左払いはなんと160メートルもあります。

次(8時5分)が松ヶ崎西山(万灯籠山)の「妙」と松ヶ崎東山(大黒天山)の「法」。西山と東山で一山、「松ヶ崎妙法」と呼ばれます。

そして西賀茂船山の「船形万灯籠」(8時10分)。縦約130メートルx横約200メートルの巨大な船です。

その後(8時15分)に大北山左大文字山の「左大文字」。大文字は一斉点火ですが、左大文字は筆順に従って点火されるのが面白いですね。

最後(8時20分)は嵯峨鳥居本曼荼羅山の「鳥居形松明」。これは他と違って寺の檀家が保存会を世襲しているのではなく、有志によってなされているのだそうです。

では作品を。「五山送り火」です。連綿線がなく、少し堅めではありますが行書と言っていいかと思います(解釈の違いで場合によっては楷書に分類されるかもしれません)。「山」を1画多い古代文字の形にしました。元々この字は山の絵からできていますから現代でも分かりやすく比較的よく見かけます。山形県・月山酒造の「銀嶺月山」や秋田県・小玉醸造「太平山」などの日本酒ラベルの字にもこの形が使われています。送り仮名の「り」を添える程度で小さく入れました。もう少し大きくても良かったかもしれませんが、文字数とスペースの関係上、漢字のバランスを優先させました。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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