第103回 妙見祭

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第103回 妙見祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

今、シドニーのNSW州立美術館において“One Hundred aspects of the moon(月百姿)”が展示公開されています。私も先日観に行って参りました。幕末から明治初期にかけて活動した浮世絵師、月岡芳年(本名:吉岡米次郎)の作品群です。芳年は1885年(明治18年)当時の東京府における人気番付だった「東京流行細見記」でも筆頭に挙げられるほどの、名実ともに明治浮世絵界の第一人者です。

浮世絵版画ができあがるまでの過程はと言えば、まず版元の企画立案で浮世絵師(絵師)が墨1色の線書きによる版下絵を作成。そこで出版許可をもらってから彫師へ渡ります。彫師は版下絵を桜の版木に裏返しに貼って主版を彫ります(この時、絵師の描いた版下絵は彫られて無くなる)。この主版で今度は摺師(すりし)が墨摺りを10枚ほど刷って浮世絵師に渡し、絵師は色指定をするとともに、着物の模様などを書き込みます。それを再び彫師に持って行って色版が作られ、最後に摺師が仕上げて店頭に並ぶわけです。

その絵師、彫師、摺師の高度な技術と、それが一体となった驚くほど精密な作品は時間を作って観に行く価値が間違いなくあります。日本人としての誇りが芽生える展覧会です(今月20日まで。入場無料)。

さて熊本県の八代では11月22、23日、九州3大祭りの1つ「八代妙見祭」(2011年に国の重要無形民俗文化財に指定)が開催されます。
 妙見とは「妙見大菩薩」のことです。妙見大菩薩とは真言密教の仏様で、北斗七星を象徴とした天空の中心を司っています。

八代神社の御神体である妙見神は、飛鳥時代、天武天皇の御世(680年)に中国から海を渡って九州の八代神社にお越しになりました。その時に乗ってきたのが頭が蛇で胴体が亀でできている亀蛇(きだ)と言う神獣で、地元の人は「ガメ」と呼んでいます。どうしてこんなものに乗ってきたのか首をかしげてしまいますが、パレードの中ではこのガメが1番人気なんだそうです。

歴史的には16世紀から祭礼が行われていた記録があるようで、のちに肥後細川家初代の細川忠興が妙見祭を復興させ今日の神幸行列の原型を作りました。八代妙見宮の神紋と細川家の家紋である九曜紋が偶然同じだったことに因縁を感じたのだそうです。

22日は八代神社から塩屋八幡宮まで神幸行列が下る「お下り」、また23日はその逆の「お上り」が行われます。チャルメラや銅鑼(どら)が鳴り響く中で舞い踊る獅子。奴(やっこ)、木馬(きんま)、笠鉾、ガメ、飾り馬など、およそ1キロにもわたる行列は見ものです。そしてフィナーレは砥崎河原でガメが迫力満点に水しぶきをあげながら走り回って観客の大歓声を湧き起こします。

では作品をご覧ください。「妙見祭」で、行草の書です。平仮名の「め」が「女」の草書体からできていると言えば「妙」のスタートがこんな形になっている見当がつくでしょう。「少」のクルッと輪になったところは少しでもいいから中の白い部分を残しましょう。ここに「白」があるかどうかで文字の明るさが随分変わってきます。

「見」の3本の横画は下から上にグルンとひと回りさせればおしまいで、そのまま足につなげます。行書や草書っていまひとつ分かりづらいところですが説明を聞きつつ見ていくと、理解できる部分もあるかと思います。もちろん草書には全くお手上げなものも少なくないのですけど。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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