第106回 わんこそば

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第106回 わんこそば

ご機嫌いかがですか、れんです。

先日カヤック体験をして参りました。シドニーCBDから近いウルムルの海軍基地の戦艦を右手に見ながら進み、左に曲がってハーバー・ブリッジを正面にしてオペラ・ハウスの真下まで行って戻るというコース。

ある人から話を聞いて軽い気持ちで申し込んだのですが、元来金づちの私はその日が迫るにつれて段々と恐ろしくなってきました。海底の有名巨大生物といえばゴジラ。そんなのが海から上がってきたらどうしよう。私のカヤックのすぐそばの海面が徐々に盛り上がってくるのに抗えず「ギャー」と叫びながら転覆する夢まで見る始末。

そもそもそのカヤックですが、大きめの笹かまぼこの上に大きめの耳かき(両端仕様)を持ってただちょこんと座って乗る感じ。良くも悪くもそれだけで、落ちるなら落ちろと言わんばかりです。そしてその下に広がるのは海中生物が支配する未知の世界。もしゴジラが下にいても当方は知る由もありません。恐ろしいから帰ると言っても陸までは自力で行かかねばならず、その間はずっと恐怖にさらされたまま。やめるにやめられない、後に引けない現実っていつも身近にあるんですね。

さて2月11日は「建国記念の日」ですが、「わんこそば記念日」でもあります(2015年に日本記念日協会より登録認定)。岩手県花巻市で「わんこそば全日本大会」が行われ(今年は第59回)、約2,500人もの参加者が大食いを競います。

「わんこそば」は岩手県の名物です。まず客の横に給仕がスタンバイ。そして熱いつゆをくぐらせたひと口大のそばを客の椀に入れます。客がそれをズルッと食べると給仕がまたそばを入れる。これが、客が椀にふたをするまで続きます。と、さらっと書けば簡単のようですが、実際は戦いです。

私は大学生の時の盛岡旅行で先輩に連れて行ってもらいましたが、給仕さんのそば入れが鬼のようで全然ふたを閉めさせてくれません。泣こうが喚こうが自分でふたを閉めるまでは続きます。これもやめるにやめられない現実でした(客のペースに合わせておいしく食べられる店もあるそうです)。

わんこそばはその起源の一説「花巻起源説」によると、約400年前の江戸慶長時代、南部藩主が江戸に向かう際に花巻城で食べたそばがひと口大で、殿様がそれを何度もお替わりしたのが始まりだそうです。明治になって花巻市の「大畠家」がそのスタイルで市民にそばを振る舞うようになって人気に。

1957(昭和32)年12月には嘉司屋で「わんこ相撲冬場所」が開催され大食いを競う大会が始まります。その後何度か名称や競技内容を変え、現在は「わんこそば全日本大会」になっています。最高記録は5分間(300秒)で258杯(2,580グラム)。1秒ちょっとで1杯、それを5分間食べ続けるってすごいですね。経験の無い方はぜひどうぞ(楽しいかどうかはあなた次第です)。

ちなみに盛岡市でも1986(昭和61)年から11月に「全国わんこそば選手権」が行われています。

では作品を。スピード感のあるせわしない雰囲気の中にピンと張った緊張感が出せればと思って書きました。文字の中に入る「かすれ」や「そ」の弓形の細線がそれを引き出してくれるでしょう。文字の形を伸ばしたり潰したりしながら紙面に当てはめていき、全体で上手くバランスが取れると良いですね。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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