第109回 青柏祭

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第109回 青柏祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

サマータイムが終了して約1カ月が経ち、刻一刻と私の苦手な寒い季節が近づいてきます。寒いと動く気力が削がれるし、動かないと体が硬くなってしまいます。物事は進みにくいし、体調も今ひとつになるし、私にとって冬はなんとも厄介な季節なのです。

けれども今年はそんな憂鬱を吹き飛ばす出合いがありました。それは早朝20分間のトレーニング、「NBI Academy Power Morning」。福岡県福岡市にあるNEXT BODY INNOVATION(神経可塑(そ)性に着目してポテンシャルを引き出し、能力向上に寄与する研究教育機関)がFacebookを通じて日本時間の朝4時30分から毎日配信している番組です。「健康的で最高の1日のスタート」が目標で、所属する先生方が日替わりで指導します。「手や指の緊張おさらば体操」は書道教室の皆さんにもさっそく勧めました。

激しい運動では全くないのですが、汗をかき、動きもスムーズになって、朝から清々しい気持ちで1日がスタートできます。興味のある方はぜひFacebookで検索してみてください(無料=掲載時点)。

さて、石川県は能登地方の中心である七尾市の大地主神社(おおとこぬしじんじゃ)では、毎年5月3~5日の3日間、例大祭である「青柏祭」が開催されます。神様への供物を青柏に盛って備えたのが名前の由来と言われています。この祭礼は国の重要無形民俗文化財に指定されており、またユネスコの無形文化遺産にも登録されています。この青柏祭に七尾祇園祭(7月)、七尾港まつり(7月)、石崎奉燈祭(8月)を加えて七尾四大祭です。雪の無い初夏から夏にたくさんの楽しみが凝縮されているんですね。

昔々、七尾の山王神社に毎年若い娘を人身御供(ひとみごくう)として差し出す習慣がありまして、悪猿がその娘を喰っていたのです。娘を助け悪猿を倒すために立ち向かったのが越後の白狼のしゅけん。壮絶な両者の戦いの結末は相打ちによる死亡。村人は白狼を祀(まつ)り、また猿の祟(たた)りをも恐れて3台の山車(だし)(曳山(ひきやま))を奉納したのだそうです。これを、平安時代中期・円融天皇の御代の981年に、能登国国主であった源順(みなもとのしたごう)が祭りと定めたのが起源とされています(室町後期の能登国守護・畠山義統(はたけやまよしむね)の治世が始まりなど諸説あり)。源順は平安時代の和歌の名人・三十六歌仙の1人としても有名です。

歌舞伎の名場面で装飾されている曳山は北前船を模したもので「でか山」と呼ばれています。高さは約12メートルで4階建てのビルくらいあり、重量(約20トン)、体積とも日本一。これを直径約2メートルの車輪4つで支えていますが、とにかく圧倒的に大きいのです。

上に乗っている木遣(きやり)衆が木遣唄で囃(はや)しながら、梃子役(てこやく)が巨大な「でか山」を豪快に方向転換させる「辻回し」が見どころです。曳山付近こそ地元の若衆が曳(ひ)きますが、綱の先は子どもたちや観光客でも曳くことができ、参加の楽しみも味わえるようになっています。

では作品を。行書の「青柏」です。普通、文字の構成要素である“実画”同士をつなぐ“連綿線(虚画)”は実画より控えめに書きます。しかし、それを踏まえた上で敢えて強調する場合もあります。ここでは「青」の月部分のハネや「柏」の木へんの3・4画から5画目への連綿線を太く書いています。可読性のことを常に頭に置きながら、連綿線で余白を刺激することによって全体のバランスをとることも作品を作る作業には必要なことだろうと思います。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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