第112回 花輪ばやし

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第112回 花輪ばやし

ご機嫌いかがですか、れんです。

書道教室をやっていて、お稽古の時に話題になることの1つに「書き順(筆順)」があります。毛筆だと、私が朱墨で毎回手本を書き、また硬筆(ペン字)だと既に書いてある手本から選んでもらい、それを皆さんが練習するわけですが、その時に必ず文字の書き順の確認をします。

興味深いのが、皆さん長年の思い込みで書いている文字が結構あることです。かくいう私も書き順を間違って覚えてしまっていた漢字がありました。それが複雑な漢字ではなく、小学1年生で習うような簡単な文字でも勘違いしたままの場合があるので侮れません。

例えば「田」の字。「書き順を間違えようがないじゃないか」と思われた方、本当に大丈夫でしょうか。

この字の書き順の正誤を分けるポイントは1つ。2画目の外枠まで書いたあと3画目にどの線を書くか、です。①残りは「土」と同じだから横縦横、つまり3画目は「横」。②行書の際の連綿の仕方からも縦線を引いてから横横、つまり3画目は「縦」。さて、どちらだと思いますか。

正解は②です。この字は〝案外″間違っている人がいるので、これでご確認頂けたら幸いです。書き順の話は奥が深いので、興味のある方は書道教室に通って頂くと良いかと。

さて、秋田県鹿角(かづの)市で毎年8月19日、20日に開催されるのが『花輪ばやし』です。古くは金や銅の産地として栄えた鹿角市。その中心市街地である花輪地区の総鎮守として産土神(うぶすながみ)を祀る幸稲荷(さいわいいなり)神社に奉納される祭礼のお囃子(はやし)です。

1978年に秋田県無形民俗文化財に指定された後、2014年に「花輪祭の屋台行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されました。

室町幕府8代将軍足利義政の治世、火災に遭っていた幸稲荷神社が再建されました(1470年)。以前の記録が無くなったために、正確な起源や歴史的背景は不明ですが、囃子の起源は平安時代末期に京都から流れてきた貴人の笛の曲に、太鼓、鉦(しょう)(平たく丸い蓋(ふた)形の金属の打楽器)、三味線が付いたものだろうと言われ、現在のような祭礼の形になったのは江戸幕府11代将軍徳川家斉の治世(文化文政期)とされています。

10町内からそれぞれ「腰抜け屋台」と呼ばれる屋台の底に床が無い山車が出ます。私は初めて見ましたが、楽器の演奏者が屋台の動きに合わせて歩きながら演奏するのです。煌(きら)びやかな屋台の下から、ぞろぞろ歩く足が見えているのは何とも面白く思えました。

最大の見所は20日未明に行われる「朝詰(あさづめ)」です。提灯など電飾映える屋台がにぎやかに町内を練り歩き、枡形(ますがた)と呼ばれる神輿の控え所に詰めます。パレード中は威勢の良い躍動的なお囃子ですが、枡形の奉納演奏では一転して荘厳な雰囲気の伝承曲が奏でられ、厳粛な神事へと変わります。

では、作品をご覧ください。太細を織り交ぜ、リズムよく軽快な雰囲気にしてみました。「花」の草冠は1画目の横画に2、3画目を交差させなくてもこのように崩すことが出来ます。ここでは「イ」まで続けてあるので横画がちょっと見にくいかもしれませんが、ひと揺れさせてあるので誤字ではありません。この際草冠の書き順が変わっています。「や」は「也」、「し」は「之」の草書体から出来ています。「や」と「し」の継ぎ目でひと区切り付けてあるのは「之」の1画目を意識したものです。すきっとキレのある線が引けるといいですね。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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