第115回 神迎

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第115回 神迎

ご機嫌いかがですか、れんです。

11月21日(火)から12月4日(月)までの2週間、シドニー北部のチャツウッドのコンコース、「THE ART SPACE」で毎年恒例のRENCLUB会員書作展を開催いたします(11時〜17時オープン)。漢字作品では楷書体、行書体に加えて隷書体(木簡)の物、また平安朝の仮名、そして現代の漢字仮名交じりの作品もあり、非常にバラエティーに富んだ見応えのある書作になりました。ペン字の力作もそろっています。

英語がメインの豪州生活ではなかなか書く機会の少なくなった縦書きの日本語。清少納言の『枕草子』や夏目漱石の『草枕』などの美文を手書きの文字で視覚的に眺めると、改めて日本語の文字やその流れの美しさに気が付くはずです。毛筆硬筆とも日本語を母国語としない生徒の作品もあって、その見事さにはきっと驚くと思います。

購入できる小作品、カードなどもあります。クリスマス・プレゼントでお悩みの方も、お誘い合わせてぜひ会場に足をお運びください。

さて旧暦10月の古称と言えば神無月(かんなづき)。中学校の古典の時間に習ったのでよくご存知だと思います(現在は新暦10月の異称で用いられる)。ただ全国で1カ所だけそうでない所があるのはご存知でしょうか。

そもそもどうして「神無月」と呼ばれるかと言えば、全国各地の八百万(やおよろず)の神々がミーティングに出掛けてしまうためにいなくなるからです。しかし、だからこそそうでない場所があります。そう、そのミーティング場所である出雲大社のある〝出雲国″はこの月は神様たちで一杯なのです。ですからここだけは10月を「神在月(かみありづき)」と呼ぶのです。

今年は11月27日が旧暦10月10日。その午後7時、出雲大社から1キロメートルほど西にある稲佐浜では全国の神々をお迎えする「神迎(かみむかえ)神事」が執り行われます(この稲佐浜は神道神話の中で「国譲り」が行われた場所です)。神々は2本の神籬(ひもろぎ)に宿られ、そして絹垣(きぬがき)に包まれて、御使(みつかい)神である龍蛇神(りゅうじゃじん)の先導で出雲大社まで御神幸(ごしんこう)されます。

神々の神籬は神楽殿(かぐらでん)にお入りになり、出雲大社の千家宮司や神職がお迎えして「神迎(かみむかえ)祭」がご奉仕されます。この宮司の家系ですが、天照大明神の次男アメノホヒノ命を始祖としています。天皇家は初代の神武天皇が天照大神から5代下るので、天皇家よりも歴史の古い家系なんですね。

翌日旧暦10月11日から17日(新暦12月4日)まで、出雲大社では御祭神(ごさいじん)である大国主命(おおくにぬしのみこと)が主宰となり、上宮(仮の宮)で大会議「神議(かみはかり)」をなさいます。その間「神在祭」が行われ、龍蛇神と御神縁を結ぶ「龍蛇神講大祭(りゅうじゃじんこうたいさい)」や「夜神楽(よかぐら)」の奉納などがあります。

18日(新暦12月5日)には神々を見送る「神等去出祭(からさでさい)」が出雲大社拝殿で行われます。

それでは作品を。行書の『神迎』です。「神」という字は比較的よく書くので自分なりのリズムが存在します。示偏(しめすへん)の2画目からトントンと下がり、そこからズンズーンズゥーンと上っていき・・・・・・という具合です。人によって書き易い字、書き難い字は違うと思いますが、リズムが合うと運筆の具合も良いですね。

「迎」など之繞(しんにょう)のある字のポイントは、その上に荷物(この場合は「卬(ごう)」)を上手に乗せられているかどうかです。荷物を先に書くのでその場所が難しいのですが、右に書き過ぎて落ちそうになっている字をよく見掛けます。それでは文字が美しくは見えません。

リズムとバランス、どちらも大事にしたいですね。


著者プロフィル

れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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