第117回 玉せせり

©All rights reserved to RENCLUB
©All rights reserved to RENCLUB

第117回 玉せせり

明けましておめでとうございます。

旧年中は何かとご教授賜りまして誠に有難うございました。本年も変わらずご支援賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

ご機嫌いかがですか、れんです。

2018年が始まりました。今年はどんな年だろうと調べてみると、関門トンネル開業60周年、青函トンネル、瀬戸大橋開通共に30周年。九州と本州が、そして北海道、四国がつながってこんなに経つんですね。

また歴史的には明治維新から150年。維新の際の壮絶なドラマは小説や映画で知るところ。ちょんまげと刀の世界から抜け出して、技術大国として世界をリードする国になった現在を西郷や大久保、桂や坂本はどう思うのでしょうね。

また皇太子殿下と雅子妃殿下、成婚25周年で銀婚式をお迎えになります。そして2月から3月にかけては冬季オリンピック・パラリンピックも開催され、にぎやかな年になりそうですね。

さて、全国には大小含め10万社を超える神社がありますが、その中で八幡(はちまん)神(=応神天皇(誉田別命(ほんだわけのみこと)))を祭神とする神社を八幡宮(ぐう)と言います(約4万4,000社)。

日本三大八幡宮の1つとされた福岡の筥崎宮(はこざきぐう)(後の二宮は本宮である大分の宇佐神宮と、京都の石清水八幡宮。近年は鎌倉の鶴岡八幡宮を入れる場合も)では、正月3日に「玉取祭(玉せせり)」の神事が開催されます。「せせり」とは「触れる、競う」という意味で、玉を奪い合ってその年の吉凶を占うのです。約500年前の室町時代に始まったとされる、博多の新年の風物詩です。

触れると悪事災難を逃れて幸運を授かると言われるこの玉の由来には諸説あります。『古事記』『日本書紀』に記される第14代仲哀天皇の妃である神后皇后が、夫の急死(200年)後に行った三韓征伐の際に龍神に借りた満珠干珠にあやかったとする説(この仲哀天皇と神后皇后の間の子が応神天皇です)。また室町時代中期、戦国時代に突入したころの1494年、博多上須崎の原田某が筥崎宮に詣でた際にお潮井浜で拾った2つの光る玉を奉納したという説などです。

午後1時、陰陽2つの木の玉(直径約30センチ、重さ約8キロ)が玉洗い式で清められた後、玉取恵比寿神社に運ばれてお祓いを受けます。そしてまずは陽の玉が締め込み姿の競り子たちに手渡されて祭りが始まります。

陸側と浜側に分かれた競り子たちは、勢い水を浴びながら玉をめぐって争奪戦を繰り広げつつ本宮に向かって進みます。陰陽の玉が再びそろって神前に納まれば神事は執り納め。陸側が玉を上げれば豊作、浜側なら豊漁です。「玉せせり」は7月の「博多祇園山笠」に負けないくらい勇壮で、九州三大祭りにも数えられています。

それでは作品をご覧ください。行書の「玉せせり」です。漢字と仮名の入り混じった言葉を作品にする場合、直線的で強いイメージの漢字と曲線的で柔らかいイメージの仮名を調和させるには、そのどちらかに寄せて書くことになります。この作品では仮名の方に「玉」の字を寄せました。また同じ字が重なる場合、互いの雰囲気を違えるとより面白みが増します。ここでは2つの「せ」を狭硬黒と、広柔白とにしました。「玉」を強い直線で構成して漢字としての存在感を主張させ、「せせり」もそれに倣って太くて厚い線でまとめることも可能です。何気ないことのようですが、どのように調和させるかにはいつでも一考が必要なのです。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る