第122回 芒種

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第122回 芒種

ご機嫌いかがですか、れんです。

仕事が進まず困る時は誰にでもあると思います。その原因には内的要因もあれば、外的要因もあります。頭が痛かったり、腹が減りすぎたりすると集中できないし、近所の道路工事や、草刈機の轟音も気が散る原因です。

いろいろな要因がある中で最近の私の仕事を何より進みにくくしているのはロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の大活躍です。現地のナイト・ゲームはシドニーの昼間。ありきたりの活躍なら結果のチェックで十分ですが、それこそ「目が離せない」大活躍ぶりなのです。投げては最速101マイル(約163キロ)を記録するなどして順調に勝ち星を重ね、打っては3試合連続本塁打を放つなど打撃も絶好調。こんな選手はアメリカでも100年間出てこなかったと言うんですから、毎回彼が歴史を作るのを見ている気分になるのです。本当に凄いので、知らなかった、という方はぜひチェックしてみてください。

さて二十四節気(にじゅうしせっき)をご存知でしょうか。1太陽年を24等分してそれぞれに季節を表す名称を付けたもので、最初は「立春」です。

毎年6月の5日か6日(2018年は6日)は「芒種(ぼうしゅ)」に当たります。これは二十四節気の9番目(ちなみに次の10番目は「夏至」)です。あまりなじみのない字ですが、「芒」は訓読みで「のぎ」。イネ科の植物の穂の先の尖った針の部分の毛のことです。「芒種」とはその種を蒔くころ、の意味です。この季節になると全国各地の寺社の領田で豊作を祈念する御田植祭が行われます。

6月14日の住吉大社(大阪府大阪市)の御田植祭は「住吉の御田植」と呼ばれ、重要無形民俗文化財に指定されています。住吉大社の御田(みた)(皇室や寺社が所有する領田)の歴史は非常に古く、神功(じんぐう)皇后が水田を設けたことに由来するとされています。神功皇后は第14代仲哀天皇のお后で、15代応神天皇の母君です。仲哀天皇が香椎宮(現福岡市香椎)で急死(西暦200年)した後、神功皇后は住吉大社で神託を授かると、応神天皇を妊娠したまま自ら三韓征伐に出向いたという凄まじい逸話のある人物です。

また6月24日の伊勢神宮別宮の伊雑宮(いざわのみや)(三重県志摩市)の御田植祭では平安時代から続く田楽(でんがく)である「磯部の御神田(おみた)」が披露されます(重要無形民俗文化財)。田楽とは元々耕田儀礼の伴奏と舞踊だったものが芸能として格式を整えたものです。

11代垂仁天皇の皇女で、日本武尊(やまとたけるのみこと)の叔母に当たる倭姫命(やまとひめのみこと)の巡幸のあったこの日、7匹のサメが伊雑宮の鎮座地を示したという「七本鮫」の伝承が基になっているそうです。倭姫命は日本武尊に草薙剣(くさなぎのつるぎ)を与えた人物であり、伊勢で天照大神を祀る最初の皇女として「斎宮」の起源となった人でもあります。日本三大御田植祭のうちのこれら2つ、いずれも女性によるところが興味深いですね。もう1つは香取神社(千葉県香取市)のものですが、これは4月に行われます。

では作品「芒種」をご覧ください。草冠は現在は3画ですが、元々は4画。縦横横縦の順で書きます。禾偏(のぎへん)の書き順も続け字ですと楷書とは違う場合があります。この場合は「ノ」の後に縦画を書いてから横画へと進みます。なじみがないと思うかもしれませんがそんなことはありません。幼いころから知っている平仮名の「わ」。その基になったのは「和」です。この禾偏がこの書き順で書かれたからこそ「わ」という平仮名の形が生まれました。普段何気なく接しているものでも、ちょっと深く関わると興味深い事実が見えてきますね。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub

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