第124回 輪島大祭

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第124回 輪島大祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

昨年の会員作品展でオーストラリア人男性会員がペン字作品を出品しましたが、その達筆ぶりに皆が驚きました。字はうまく書けるようになります。というわけで「字うまセミナー」を今年もやろうと思います。変な名前ですが、要は「ペン字がうまくなるための勘どころを学びませんか」という場です。

書家は言ってみれば「言霊使い」ではありますが、魔法使いではありません。ですから1回話を聞いてたちまち字がうまくなるなんていう魔法は掛けられません。何事も修得し達成するには自らの努力が必要です。またそれにはある程度時間が掛かりますが、闇雲に進もうとすれば更に時間を無駄にすることになります。ですから「字がうまく書けたらなあ」と日頃考えておられる方、一度専門家の話を聞いてみてはいかがでしょう、というわけです。スタートとしてはそれが一番だと思います(詳細は直接お問い合わせください)。

さて毎年8月22日から25日の4日間、能登半島にある石川県輪島市で「輪島大祭」が行われます。これは22日の奥津比咩(おきつひめ)神社、23日の重蔵(じゅうぞう)神社、24日の住吉神社、25日の輪島前神社の各々の大祭の総称で「能登のキリコ祭り」の代表とされています。「キリコ祭り」は日本遺産に認定されていて、この4社以外にも7月から9月の間に能登半島各地で開催されます。

九州出身の私などはキリコと言えば薩摩“切子”で、江戸“切子”などと共にカット・グラスを思い浮かべるのですが、こちらは漢字で“切籠”と書き、正式には切籠灯籠(とうろう)という巨大な灯籠です。上部に屋根が付いた直方体状の物で、前後に絵や文字が書かれています。キリコは神輿の足元を照らす御神灯として担ぎ出されますが、大きい物は重さ2トン、高さ15メートル。また担がずに押し曳きするキリコは重さが4トンにもなるそうです。

起源は舳倉島(へぐらじま)(奥津比咩神社)に鎮座した女神と、輪島(重蔵神社)の男神が年に一度松明(たいまつ)を目印に浜辺で逢瀬した神話です。二神によって新たな神が誕生する生命力を授かることが厄払いとなり、疫病退散、豊漁豊作を願う神事となりました。

神話が基になってはいるものの文献による記録が少なく、江戸時代の1647年、住吉神社の祭礼定書にようやくキリコの記載があるようです。御神輿入水神事は女神が男神に会いにきたところを表現していて、顔に紅を塗った若衆がカラフルな腰巻姿で神輿を担いで海中乱舞します。

キリコ巡行では各町内から出るたくさんのキリコが太鼓やお囃子などと共に町を巡回します。民家の屋根より高い巨大キリコが連なって海沿いの道を進む姿は圧巻です。松明神事では、火の粉降る高さ12メートルほどもある大松明の下を厄年の男たちが神輿を担いで渡御。大松明の上の3本の竹には神様のお祓いを受けた御幣(ごへい)が付いていて、手に入れたものは大漁を授かるということで、松明が倒れると若者たちが群がってそれを激しく奪い合います。

北陸の夏の終わりの夜を彩る祭りには来るべき冬への決意のようなものが含まれているのかもしれません。

では作品を。行書の「輪島大祭」です。筆がよく動き、リズムよく一気に書き上げることができました。好物を食べる時には箸がよく進むと思いますが、そんな感じをイメージして頂ければ良いでしょうか。どれもよく書く文字で、その度にいろいろアレンジもしてきていますから、組み合わせる時もやりやすいのだと思います。日頃の地道な積み重ねがいかに大事か、ふと振り返ってしみじみ考えてしまいますね。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub

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