第126回 新居浜太鼓祭り

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第126回 新居浜太鼓祭り

ご機嫌いかがですか、れんです。

来月後半から毎年恒例のRENCLUB会員書道展をチャッツウッドのコンコースにあるアート・ギャラリーで開催する予定です。そのため、会員の皆さんは真剣に自分の作品に向き合っています。

筆、墨、空間のコントロールそして精神のコントロール。もっと細かく言えば時間や高低のコントロールまで、その各々のクオリティーを高めていき、イメージの具現化を実現させねばなりません。書道は消したり、戻って重ね書きしたり、塗ったりできませんから、一度で全部のことに対して瞬時の判断が求められます。

書の稽古とは無造作に字を書くことではありません。“上手い”字がどう構成されているのか、それを理解し、どうすれば実現できるのかを模索します。そこで習得したものを自らの作品にぶつけるのです。情熱の込もったすばらしい作品群になると思いますので、どうぞ楽しみにしていらしてください。

さて、毎年10月中旬の3日間、愛媛県新居浜市で「新居浜太鼓祭り」、別名「男祭り」が行われます。徳島の阿波踊り、高知のよさこい祭りと共に四国三大祭りと呼ばれ、また日本三大けんか祭り(諸説あり)にも名前が挙げられています。毎年数十万人の観客動員があります。

この祭りの歴史は古く、平安から鎌倉時代には既に存在していたようです。

神社祭礼の神輿のお供の山車(だし)である太鼓台ですが、文政年間(江戸後期)の記録には「神輿太鼓」とあります。後に「太鼓台」や「太鼓」と呼ばれて祭りの中心的存在になりました。瀬戸内海沿岸の祭りに似た山車があるようですが、中でも新居浜の物が巨大で豪華絢爛。市内にはこの巨大太鼓台が53台あります。高さおよそ5.5メートル、長さおよそ12メートルで重さは3トンにもなる太鼓台を150人もの男衆「かき夫」が担いで練り歩くのです。

見どころは、複数の太鼓台が集まって技を競う「かき比べ」です。太鼓の絶妙な合図で太鼓台をかきあげたり、太鼓台の房の揺れ具合の美しさを競い合ったりします。言わば男衆の力比べであり、技比べでもあります。華やかな太鼓台ですが、男の力比べでもあるわけで、危険なけんかが絶えずたくさんのけが人や死者が出ていたのが「けんか祭り」たるゆえんです。盛り上げを目的としたなれ合いのようなものもありますが、従前からの因縁の対決や、突発的な発生もあります。一部のかき夫が暴徒化して警察官と衝突したり、太鼓台や自治会施設を破壊したりするケースもあり、毎年愛媛県警の機動隊が厳戒態勢をとっているほどです。

新居浜出身者の同祭りに対する思い入れは非常に強く、盆正月は帰らなくても祭りには休暇を取って帰省する、何よりも祭りを優先する、という人が少なくないそうです。祭りが行われる10月から始まるカレンダーが毎年作成されていることからもそれをうかがい知ることができますね。

では作品をご覧ください。行書の「新居浜太鼓祭り」です。書を見る時の1つの方向として「筆遣い」があります。書いた人が筆を使っているかどうかは線を見れば一目瞭然で分かりますが、そういうことではなく、筆が高技術で使えているか、ただ筆に使われているだけか、ということです。細い線でも太い線でも、圧の掛かった良い線が引けているかどうかは書いた人の腕によります。筆の一面だけをズルズル引きずっているだけでは決して良い書にはならないのです。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub

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