第39回 中元

書家れんのつきいち年中行事
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第34回 時の記念日

ご機嫌いかがですか、れんです。

2011年も早7月になって、いよいよ後半戦に突入してしまいました。正月に立てた目標の達成具合はいかがでしょうか。大きな区切りでいったん全体を見直してみることは大事です。ゴールまでこれまで同様に進めばいい人もいるでしょうし、大幅な軌道修正が必要な場合もあるでしょう。

でも一直線だけがゴールへのラインとは限りませんから心配無用です。大事なのは現状把握。その上で「次」を見定めることができれば、自ずとゴールの光は見えてくるものです。気合いを入れつつも、肩の力は抜いて、しっかり頑張りましょう。

さて今月の年中行事は「中元」を取り上げてみました。日本人の感覚では、「中元」といえば夏の贈り物ではないでしょうか。しかし、残念ながら本来は贈答を示していたわけではありません。その起源は古代中国にさかのぼります。

道教に「三元節」という行事があります(道教は不老不死の仙人になることを理想とする漢民族の土着的な宗教)。三元とは上元、中元、下元の3つで、各々が竜王の孫の3兄弟の誕生日。三元節はそれを祝い、3人を祭る行事でした。

1月15日生まれの長男は上元一品の天官(天官大帝・賜福大帝)、7月15日生まれの次男は中元二品の地官(地官大帝・赦罪大帝)、10月15日生まれの三男は下元三品の水官(水官大帝・解厄大帝)として、天地を災いから守っていました。この次男の地官大帝が人間の罪を許す神で、しかも地獄の帝でもあったので、7月15日は食物をお供えして贖罪(しょくざい)する日とされていました。そしてこれが、この日に祖霊を供養する盂蘭盆会(うらぼんえ)を催していた中国仏教と習合して一体化したのだそうです。

また、この日は陰陽道で太乙星(だいいつせい/北天で兵乱や災害、生死をつかさどる星)を祭る日で、燈明を供えて夜通し遊楽に耽(ふけ)る習わしだったのが、仏教の盂蘭盆会と合わさった、とする説もあります。

 日本にも道教文化とともに三元節が伝わりました。それが神道の御魂祭(年2回、先祖の霊を迎えてお供え物をした習わし)と仏教の盂蘭盆会と重なったようです。そして江戸時代、商取引の決算を盆と大晦日にするようになったことから、商人が取引先に上半期の挨拶として贈り物をするようになり、世話になった方への“夏のご挨拶”、贈り物としての「お中元」が定着することになりました。

では左の書にいきましょう。分類すると行書に当たりますが、「中」の最終画には木簡調に筆を開いた思い切った線を使いました。木簡は紙のなかったころに木の板に墨で文字を書いたもので、その筆致は実に奔放です。開放感に富んだ1画1画が伸び伸びと走り、固定観念から解き放ってくれます。「元」は最終画を、スッと入った細い線から一転した力強いハネで収めました。しっかり決まると作品全体がギュッと締まってまとまりますね。

書道教室にお稽古に来られる皆さんの作品を展示してあるのですが、それらを眺めていると楽しく温かい気分になります。素直さや、明るさや、大胆さ、優しさ…そんな雰囲気が溢れているんですね。お時間ある時にどうぞ眺めにいらしてください。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権を取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産としてキャンベラの在豪日本大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展をはじめ、日豪両国およびドバイで個展・グループ展を多数開催。在豪日本大使館、在オークランド日本総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館、Channel 7などさまざまなスペースで大書パフォーマンスを展開。日本文化紹介のワークショップにも多数参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室を運営。

Web: http://renclub.net
E mail: renclub@gmail.com
動画: http://www.youtube.com/user/renclub

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