第45回 蘇民将来

書家れんのつきいち年中行事
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第45回 蘇民将来

ご機嫌いかがですか、れんです。

新年明けましておめでとうございます。旧年中はたくさんの皆様とたいへん良いご縁をいただきありがとうございました。本年も変わらず、どうぞ宜しくお願いいたします。

昨年はいろいろな意味で本当に大変な1年でしたね。日本も大きな不幸に見舞われました。そしてその復興にはまだまだ時間がかかるようで、多くの支援を必要としている状況は変わっていません。今年も引き続き援助の灯を消さないように頑張りましょう。

さて、その被災地岩手県では毎年1月から3月にかけて、千年以上の歴史をもつ裸祭り、「蘇民祭」が行われます。これは「岩手の蘇民祭」として国の選択無形民族文化財(重要無形民俗文化財以外で文化庁長官が選択した文化財)になっています。

中でも奥州市の黒石寺蘇民祭は日本三大奇祭(ほかの2つは秋田県のなまはげと山梨県吉田市の火祭り)にも名前が挙げられています。薬師信仰下の男と炎の祭りで、裸参り、柴燈橙(ひたきのぼ)り、別当登り、鬼子登りなどが夜を徹して行われますが、翌日未明からは東西に別れた褌姿の男たちが蘇民袋(護符の入った麻袋)を取り合います。これを最後につかんだ者の住まいの方角がその年に豊穣多福となるとされているんだそうです。

今年2012年は1月29日〜翌30日の日程で開催されます。また、花巻市の胡四王神社の蘇民祭は1月2日、江刺市の伊手熊野神社では第3土曜日の21日に予定されています。

この祭りの由来となった蘇民将来の逸話は、鎌倉時代末期に卜部兼方(うらべのかねかた)によって記された釈日本紀(日本書紀の注釈書)内の『備後国風土記逸文(きびのみちのしりのくにのふどき)』にあります。

『備後国風土記』は奈良時代初期に編纂されたもので、逸文とはかつては存在したが伝わっていない文章のことです。

「昔、北の海にいましし武塔の神、南の海の神の女子をよばひに出でまししに、日暮れぬ。その所に蘇民将来二人ありき」と話は続くのですが、あらましはこんな感じです。

人間に化身した武塔神が裕福な兄の巨丹将来(備後風土記ではこの表記)と貧乏な弟の蘇民将来のところに一夜の宿を求めます。兄は拒みますが、弟は受け入れてもてなします。この数年後に妻子のできた蘇民将来のところに武塔神が再び現れ、正体(武塔神の正体については建速須佐之男命や薬師如来など諸説あり)を明かし、茅の茎で作った輪を身に着けて『我は蘇民将来の子孫である』と唱えれば無病息災でいられると約束した、ということです。この話をもとに平安時代中期には蘇民祭の原形ができていたと考えられているようですね。

調べているといろいろな裸祭りが日本各地で行われているようですが、写真を見るまでもなく、「冬」の「野外」、しかも「日暮れ以降」というのはかなり過酷な状況が容易に想像できます。風邪を引かないように気を引き締めて頑張ってほしいですね。

では作品の説明に入ります。「蘇民将来」と行書体で書きました。強めにグッと入れ込む部分と柔らかめにフッと抜く部分をミックスしてあります。男の祭りなので強い印象を与えることは大事だと思いますが、パワーだけというのも芸がありません。軽くいなすテクニックも必要です。メリハリをしっかりつけて、全体をまとめるといいでしょう。

さあ、1年の計をしっかり立てて、実りある良い年にしましょう。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権を取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日豪およびドバイで作品展示多数。在豪日本大使館、在オークランド日本総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館、Channel 7などさまざまなスペースで大書パフォーマンスやワークショップを展開。書団れん倶楽部主宰。チャツ ウッドで書道教室運営(月〜土)。東日本復興支援「プロジェクト名もない絆」のメンバーとして支援地と被災地を繋ぐ活動中。

Web: http://renclub.net
E mail: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub
UST:ustream.tv/user/obiyoshiyuki

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