第65回 岸和田だんじり祭

書家れんのつきいち年中行事
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第65回 岸和田だんじり祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

おかげさまで、チャッツウッド・ザ・コンコースのアート・スペースでの個展が無事に終了いたしました。お忙しい中わざわざ足をお運びくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。またお手伝いいただいた皆様にも心より御礼申し上げます。

今回は新作を含む40点あまりの大小さまざまな作品を展示。漢字、仮名、漢字仮名混じりの書があり、その中に楷書、行書、草書、木簡調と、普段あまり馴染みのない書体にも触れていただきました。たくさんのメッセージにたいへん感謝しております。ますます精進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

さて、毎年9月は「岸和田だんじり祭」が行われます。岸和田市は大阪府の南西部に位置する人口20万人弱の都市ですが、この祭りの2日間でおよそ60万人もの観光客が集まります。山車がコーナーを荒っぽく曲がるシーンが有名ですね。

祭りの起源は、江戸は元禄の1703年まで遡(さかのぼ)ります。岸和田藩主岡部長康が京都伏見稲荷の城内三の丸に勧請し、五穀(米、麦、豆、粟、ひえ)豊穣を祈願して行った稲荷祭がその始まりとされています(1745年に茶屋新右衛門が岸城神社への献上提灯を藩主に願い出たのが始まりとする説もあり)。最初は「にわか」や狂言などの芸事を演じた後に、三の丸神社と岸城神社へ参拝していました。「にわか」とは宴席や路上で行われた即興の芝居です。

現在の祭りは2日間。初日(宵宮)は岸和田港交差点に向かってだんじり(山車)が一斉に出発する「曳(ひ)き出し」でスタートし、午後からはパレードが行われます。総欅(けやき)のだんじりを、和太鼓、鉦(かね)、篠笛の囃子とともに、100メートルほどもある2本の綱で500人にものぼる人たちが曳いていきます。

2日目(本宮)は、午前9時過ぎから岸城神社、岸和田天満宮、夜営神社で「宮入り」が行われます。中でもかつて「城入り」と呼ばれた岸城神社への宮入りは必見です。神社前の小半坂を一気に駆け上がっていく豪快な「やりまわし」がメイン・イベントの1つになっています。豪快さゆえに非常に危険でもあり、家屋への衝突や破壊、また転倒事故などが発生していますが、その危うさもまた人気の理由の1つでしょう。

そして2日とも午後7時からは、たくさんの赤提灯を纏(まと)っただんじりがゆっくりと移動する「灯入れ曳行」が行われます。威勢のいい昼間の動きとはまた違った、明るく美しい姿を楽しむことができます。

では作品をご覧ください。仮名漢字混じりの行書体です。こういう雰囲気を重視した書になると、文字をデフォルメする必要が出てきます。潰したり、伸ばしたり、膨らませたりとその手段はいろいろありますが、この場合に大事なのは文字が文字として成り立っている最低限のルールを守るということです。例えば「た」は元の漢字が「太」ですので、3画目の書き始めが1画目の横線より高い位置から始まるとおかしいし、例えば「ま」は「末」ですので2画目が1画目より長いとやっぱり変なのです。「アート」と言いさえすれば「何でもあり」という姿勢はいただけません。背景をきちんと勉強してから臨みたいものですね。

街はすっかり春の装いです。色とりどりの花々が陽に照らされて輝いている光景はいつみても心が和みますね。一句浮かんだら、ぜひ毛筆で書いてみましょう。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。東日本復興支援「プロジェクト名もない絆」のメンバーとして支援地と被災地をつなぐ活動中。

Web: renclub.net
Email: renclub@gmail.com
動画:youtube.com/user/renclub
UST: ustream.tv/user/obiyoshiyuki

 

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