第59回 春の全国火災予防運動

書家れんのつきいち年中行事
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第59回 春の全国火災予防運動

ご機嫌いかがですか、れんです。

今月11日で東日本大震災から丸2年ですね。その間、各被災地で実際にどの程度復興が進んだのか、報道も少なくなった現在では把握するのが困難です。関心の薄れから「まだやっているの」という声さえあると聞きますが、完全復興まではまだまだ時間がかかりそうです。

復興庁の今年1月10日付の報告によりますと、いまだ行方不明者が2,712人、公民館や学校などの避難所におられる方が159人、仮設住宅では11万2,330人の方が生活されているようです(昨年12月現在)。

電気やガス、通信サービスはほぼ復旧ずみとされていますが、水道事業や農地、魚港の復旧、沿岸部の鉄道の全線開通に向けた動きはかなり遅れており、また岩手・宮城・福島3県の沿岸部でも、災害廃棄物の処理・処分は34%しか行われておらず、津波堆積物も85%(昨年11月末日現在)は未処理・未処分のままのようです。

政権も変わり、3年目に突入する復興事業で、少なくとも避難所や仮設住宅で次の冬を迎えなくてすむように期待したいですね。

さて、地震も津波も恐ろしい災害ですが、火事もまたたくさんの人命や財産を奪います。その予防意識を高めるために、毎年3月1〜7日には「春の全国火災予防運動」が実施されています。

木と紙でできた日本の家屋は燃えやすく、徳川時代の江戸では270年の間に約1,800件の火事が発生。「火事と喧嘩は江戸の花」とまで言われました。そのうち「振袖大火」と呼ばれる明暦の大火(1657年)では死者10万人強、江戸の大半が被災し、江戸城の天守も消失しました(以後天守閣は再建されず)。焼失町数934、死者1万4,700人を出した目黒行人坂の大火(明和の大火・1772年)、80あまりの諸侯藩邸、同じく80の寺社を焼き、530あまりの町が焼失した丙寅の大火(文化の大火・1806年)と合わせて江戸三大大火と呼ばれています。

放火も多かったようですが、急激な人口増加で町人の家屋が密集したことや、江戸特有の冬の季節風が大火に及んだ原因とされています。

幕府は消防対策として火消し制度を設けます。大名による「大名火消し」、旗本の「常火消し」、そして名奉行・大岡越前守忠相が組織させた、いろは47組(のちに48組)による「町火消し」がそれです。また火除地や広小路を確保する都市計画を実行したり、法による放火の抑止を図ったりして、火災の予防に努めました。作家・池波正太郎の人気時代小説『鬼平犯科帳』の主人公である“鬼の平蔵”こと長谷川平蔵は、その火付け(放火)などを取り締まる「火付盗賊改方」の長官ですね。

現代でも放火は大きな問題です。総務省消防庁発表の前年1〜月の火災概要によると、発生件数3万3,571件、死者1,265人。火災原因は1位が放火、2位がタバコです。火災予防には社会全体の道徳意識の向上が必要なのは言うまでもありません。「全国火災予防運動」の浸透と成果が期待されます。

作品は今回『火の用心』にしました。行意を含んだ楷書です。印象付けのために少し荒目にしてみました。筆がもつれてもそのまま運筆を続けます。乱暴に書いているようでも「文字の中の白」には十分に配慮することが大切です。これを怠ると単なる落書きになってしまいますので気を付けましょう。

「火の用心」、みんなで徹底したいですね。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。東日本復興支援「プロジェクト名もない絆」のメンバーとして支援地と被災地をつなぐ活動中。

Web: renclub.net
Email: renclub@gmail.com
動画:youtube.com/user/renclub
UST: ustream.tv/user/obiyoshiyuki

 

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