第85回 浜松まつり

書家れんのつきいち年中行事
© All rights reserved to RENCLUB

 

第85回 浜松まつり

ご機嫌いかがですか、れんです。

ご存じの方もおられると思いますが、毎年5月、シドニー中心部から西へ30キロメートル弱のところにあるフェアフィールドにて、全豪錦鯉品評会が開催されています(今年は17日の日曜日)。広い会場にぐるりと置かれた水槽の中にはオーストラリア全土から集まった大小さまざまな錦鯉たちが優雅に佇んでいて、なかなか見ごたえがあります。場内にはマーケットも併設され、食べ物から日用品、盆栽やペットまでバラエティに富んだお店が並びます。

そしてその一角に、KSA(オーストラリア鯉協会)の協力により、東日本大震災の復興支援スツールが作られ、鯉関連のグッズ販売や、着物や抹茶が体験できるコーナーがあります(今年で5回目)。さらに中央のステージを中心に、日本文化関連のパフォーマンスが行われます。どうぞ今年はご家族お友達お誘い合わせの上、是非お運びください。

さて、ゴールデン・ウィーク終盤の5月3~5日の連休中に、静岡県浜松市では「浜松まつり」が開催され、150万人にもおよぶ人出で賑わいます。元々、端午の節句にちなんで長男(初子)の誕生を祝うお祭りでしたが、近年になって次男以降の男児や女児にも広げられました。昼間は凧合戦、夜は祭車である御殿屋台の引き回しと練りが行われます。

今からおよそ450年前、室町時代の永禄年間(1558-1569)に、浜松を治めていた弘間城(現・浜松城)主の飯尾豊前守の長男・義廣の誕生を祝って、その名前を記した凧を揚げたことが起源とされていました(大正時代の創作という説あり)。現存する資料で確認できるのは江戸時代の寛政元年(1789年)徳川家斉の御世のようです。

その後、明治・大正時代に町人の間で機運が高まり、統監部が結成され、歩兵第67連隊の和地山練兵場(現・和地山公園)にて勇壮な凧揚げ合戦が行われるようになりました。戦後は昭和23年、中田島を凧揚げ会場として浜松市連合凧揚会主催で第一回の凧揚げ合戦開催。25年に「浜松まつり」と改名して現在に至ります。戦前は50カ町程度の参加でしたが、今では174カ町(御殿屋台の引き回しには83カ町)が参加しているそうです。

大凧は2~10帖まで、かなり大ぶりな物もあります(1帖は237mmx393mm)。凧揚げ合戦には4帖(2.4m四方)から6帖(2.9m四方)のものが最適だそうで、他地方の物より頑丈で重く作られ、相手の糸を切るのにガラスの粉を凧糸に吹き付けるなどの工夫がされていました(現在は禁止事項)。太鼓やラッパの音で湧き上がる地上と、色とりどりの大凧たちが悠々と青空に浮かぶ姿の対比が実に素晴らしいです。見ていると自分も凧揚げをやってみたくなること間違いなしです。

今月の作品は行書の「浜松まつり」です。漢字は太細の変化を極端に付けつつ、いい具合にバランスを取るように書きました。どの線を太くするか、どの線を控え目にするかは、平時に行っている古典の臨書などからヒントを得ます。時代によって形は変わりますが、「美しさ」自体には恒久性があるように思います。「まつり」は仮名ですが、張りのあるしっかりとした線で書いています。柔らかいイメージのある仮名のそのしなやかな曲線の芯はとても強いのです。あと1点、「ま」は「末」からできているので、1画目が2画目より長いです。逆になれば誤字ですのでご注意を。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る