イタリアの母の味、絶品パスタ

それでも するメルボルン

マンジャーレ・カンターレ・アモーレ

新しい街に住むのは、恋の始まりに似ている。あちこち気になって、もっともっと知りたいと思いつつ、前の恋人と比べてみる。新しい発見に嬉しくなり、時には落ち込んだり。引っ越してしばらくの間、私はメルボルンと東京をことあるごとに比べていた。そんな時、私の心を一瞬にして虜にし、「メルボルンに長く住んでみよう」と思わせてくれたエリアが「カールトン」だ。

リトル・イタリーと言われるこの地区の歴史は1851年からと古く、多くのイタリア系移民によりメルボルンのコーヒー文化発祥の地として知られる。プラタナスに縁どられたライゴン・ストリートにはイタリアン・レストランが並び、ここがオーストラリアだと忘れそうになる。


イタリアの母の味、絶品ナポリ・ソースを使った「Spaghetti Don Giovanni」

この通りを北へずっと行ったところに「ティアーモ・クッチーナ」がある。この地で40年近く同じ家族が経営していて、常連客が多い。このレストランのナポリ・ソースは絶品だ。トマトの旨みとハーブの香りが凝縮されたあっさりとしたソースで、なぜ同じトマトから、こんなにおいしいものとそうでないものができるのか?と考えさせられる味だ。トマト・ソースとは和食で言うと「だし」みたいなものだと思う。シンプルな素材を丁寧に使い、旨みを引き立たせる。その店、その家の代々秘伝の味があり、この「だし」がうまければ、当然それを使った料理全般がおいしい。

この店の定番メニューの1つ「Spaghetti Don Giovanni」($19.90)は、このソースをベースにムール貝、アサリ、ほうれん草が入り、オレガノと少々のチリが全体を引き締める。同じナポリ・ソースがベースで自家製パスタを使った「Maccheroni della Zia」($17.50)は、出されて間もなくあっという間に胃袋の中へと消えて行く。

食事の後は、ジェラートを食べながら裏道を散策するのも楽しい。美しいファサードで飾られた古いタウン・ハウスを見ながら、移民たちが運んだイタリア文化を満喫できる。「マンジャーレ・カンターレ・アモーレ(食べて、歌って、愛する)」人生を謳歌するには、これで十分だと思わせてくれる。

■Tiamo Cuccina, 303-307 Lygon St., Carlton VIC
営業時間:7AM〜11PM(月〜土)、7AM〜9:30PM(日)
Tel: (03)9347-0911
Web: www.tiamo.com.au

泣いたり、笑ったり、怒ったり、異国で暮らす毎日はいろんなことがあるけれど、日々発見することがたくさん。「この街に恋するように暮らしたい」がモットーの2児のママ・エディターが綴る、メルボルンのライフスタイル、美味しいもの情報。(文=大木和香)

 

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