お1人様が似合うカフェ

それでも するメルボルン

お1人様が似合うカフェ

2年ぶりに訪れた日本の春は本当に美しかった。一番の楽しみはやはり「食」で、菜の花、金目鯛、鱧(はも)など旬の味わいは、日本人の繊細な味覚をよみがえらせてくれた。「何でもあって、安くて美味しい」と思いながら過ごした日本だが、1つだけ満足いかなかったものが、コーヒーだ。「バリスタが淹れるうまいコーヒーが飲みたい」と滞在中の私の舌は訴えて続けていた。


天井からぶら下がるイスがこのカフェの顔。適度な狭さも心地良い

メルボルンでは近所の何気ないカフェでもちゃんとしたコーヒーが出てくるが、格別に美味しいコーヒーが飲める「とっておきカフェ」も知っておきたい。そんな人にお薦めなのがシティのど真ん中、リトル・バーク・ストリートにある「Brother Baba Budan」だ。ひっそりとした店構えだが、お昼時や土日ともなれば人がひっきりなしに出入りする人気のカフェ。中に入るとすぐ目に留まるのが天井からぶら下がる無数の木製のイス。日本の飲み屋を彷彿とさせるような狭い店内の一角で、バリスタが忙しくコーヒーを作っている。このカフェの良さはこの「こぢんまりした空間」で飲む1杯にある。

Flat White($4)は柔らかく仕上げたミルクの泡と、ほんのりとキャラメルの風味を感じさせるエスプレッソ、その苦味、酸味、甘味のバランスがとても良い。このカフェはノース・カールトンにある有名なカフェ「Seven Seeds」の直営店で、そこと同じ独自のロースト豆を使っている。世界各地の異なる個性を持つ数種類の豆を季節ごとにブレンドするため、シーズンごとに新しい味を楽しめる。

なんだか気になる「Brother Baba Budan」という店名だが、16世紀にイエメンで門外不出だったコーヒーを、こっそり7粒持ち帰ったインド人僧侶・ババ・ブーダンに由来する。この7粒を苗木にして栽培したのがインド・コーヒーの始まりと言われており、「Baba Budan」と「Seven Seeds」にはこんなつながりがあった。

いつもは子連れで行けるカフェを探しているが、このカフェは1人でゆっくりコーヒーを味わうために行きたい場所。こぢんまりと落ち着いた色合いの店内であれこれ思いを巡らしながら、ちびりちびりと飲むコーヒーは最高だ。ババ・ブーダンが危険を冒してまで持ち帰りたかったコーヒーの魅力、私にはそれがよく分かる。

■ Brother Baba Budan
359 Little Bourke St, Melbourne
営業時間:月~土7AM~5PM、日9AM~5PM
Tel: (03)9606-0449
Web:www.sevenseeds.com.au

泣いたり、笑ったり、怒ったり、異国で暮らす毎日はいろんなことがあるけれど、日々発見することがたくさん。「この街に恋するように暮らしたい」がモットーの2児のママ・エディターが綴る、メルボルンのライフスタイル、美味しいもの情報。(文=大木和香)

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る