カルチャー・アイ「Madman Anime Festival」

カルチャー・アイ

もっと知りたいオーストラリアの歴史や楽しみ方を、気になるイベントや、この国にまつわる文化作品を通してご紹介。毎日見る景色とは違った視点から、今まで知らなかったオーストラリアの魅力や奥深さに出合えるかも。
(取材・文=高坂信也)

今回のピック・アップ▶▶▶ Madman Anime Festival

オーストラリア国内最大手の日本のアニメーション流通・配給会社、マッドマン・エンターテインメントが主催する漫画・アニメの祭典「Madman Anime Festival(マッドマン・アニメ・フェスティバル=通称MadFest)」が3月16日・17日、シドニー市内中心部のICCシドニーで開催された。2016年からメルボルンで始まった同祭典は、ブリスベンやパースでの開催などその規模を毎年拡大してきたが、シドニーでの開催は今回が初めて。コスプレをする人びとなど2日間を通じて1万人を超える来場者を動員した。

会場内展示会場では、漫画・アニメのグッズ、コスプレ用品を始め、クリエイターが創作するファン・アートなどを販売するブースが設置され、車体にアニメ・キャラクターが描かれた痛車(いたしゃ)も展示された。また、特設ステージ上ではコスプレ・コンペティション、アイドルやアニメ・ソング歌手によるコンサートなどが行われた。他にも、プラモデルの組み立てなどのクラフト・エリア、テレビ・ゲーム体験コーナーなどに多くのファンらが詰め掛けた。

ICCシドニー内にあるピアモント・シアター近くではメイド喫茶が開かれ、にぎわいを見せた。同シアターではゲストによるパネル・ディスカッションやQ&Aセッションの他、劇場版アニメの放映なども行われた。

今回、日本からもゲストとして、声優や歌手、アニメーション監督などが多数来豪。サイン会やトーク・ショー、ライブ・イベントなどに参加し、オーストラリアの日本の漫画・アニメファンを沸かせた。

今回のMadFest開催に当たり、来豪された声優の諸星すみれさんと松岡禎丞さんにインタビューを敢行。今年1月から放送が開始された大人気漫画が原作のテレビ・アニメ『約束のネバーランド』の主人公・エマ役を務めた諸星さん、大ヒット・テレビ・アニメ作品『ソードアート・オンライン』で主人公のキリト(桐ヶ谷和人)役を務める松岡さんに話を伺った。

諸星すみれさん

――『約束のネバーランド』の主人公・エマ役が決まった時の心境を聞かせてください。

オーディションではあまり自信がなかったので、合格の連絡を頂いた時は本当にびっくりしました。以前から電車の中吊り広告などで『約束のネバーランド』(以下、『約ネバ』)のことは知っていました。同作を好きな人が事務所内にもいて合格したことを喜んでくれ、私もすごくうれしかったです。同時に、それだけ人気のある作品に関わるからには責任感を持って取り組まなければならないと思いました。

――配役が決まってから収録までの間に、どのようにエマや同作の世界観を自身の中に構築していったのでしょうか。

役が決まったのは2018年3月ごろで、12月には収録が終わっていたのですが、まずは原作を読むことから始めました。エマは11歳ということで最初は“子どもらしさ”を大切にしようかと考えたのですが、原作を読み進めていくうちに現実にいる11歳とは能力や精神面で全く違ったので、子どもらしさを意識しすぎると印象が変わるのかなと思い、エマの感情の動きや気持ちの変化を大事にするお芝居ができたら良いなと考えました。

そうしたことから私の中で、あまり(役を)作り込まず、自然体で演じられるように現場で他のキャストの方々との掛け合いを通してキャラクター像を練っていきました。

――原作が漫画の場合、キャラクターを演じる上でどのような点に気を付けていますか。

既にいる原作ファンの人たちが持つイメージを、どのように表現するかは毎回すごく悩みます。『約ネバ』の場合、エマの声のイメージが自分の中で何となく決まらず、どの声が良いのだろうか最後まで悩みました。そのため、声でイメージを作るのではなく、お芝居でキャラクターや作品の世界観を表現できれば良いなと。

原作ではモノローグ(※)が多用されているのですが、アニメではそれらが一切使われていません。モノローグがないシーンは表情だけなので、私たちは息づかいやアドリブでキャラクターの気持ちを表現します。そうした部分も大切にしましたね。
※直訳で独白を意味する。演劇や映画において登場人物が1人で話すせりふのこと。

――3歳で劇団に所属されたとお伺いしました。その当時から現在までにどのような変化がありましたか。

変化はたくさんあるのですが、1つはマイクの高さが自分の身長に合わせてどんどん高くなってきたことでしょうか(笑)。小さいころは自分専用マイクを作ってもらったり、大人のキャストの方々と別録りしたりしていました。

身長が伸びるにつれ、皆と同じマイクで収録ができるようになり、より他のキャストの方々とのコミュニケーションが取れるようになりました。収録時、隣でちゃんと息づかいなどを感じながらお芝居をできるようになったことが、私にとってはうれしい変化ですね。

約束のネバーランド◎原作・白井カイウ、作画・出水ぽすかにより2016年8月から『週刊少年ジャンプ』で連載開始。孤児院・グレイス=フィールドハウスで子どもたちが数々の困難に挑んでいく。彼らを待ち受ける数奇な運命とは――。「このマンガがすごい!2018」オトコ編第1位の他、受賞多数。19年1月よりテレビ・アニメがスタート

もろほしすみれ
1999年4月23日生まれ。劇団ひまわり所属。声優、女優。出演作に、テレビ・アニメ『アイカツ!』星宮いちご役、『ハイキュー!!』谷地仁花役、映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』ヴァネロペ役など多数


松岡禎丞さん

――テレビ・アニメ『ソードアート・オンライン』第1期(2012年)での配役のきっかけを教えてください。

第1期のキリト(同作・主人公)の2次選考のスタジオ・オーディションで待合室に入った瞬間、名だたる先輩たちがいたのを見て「落ちたな」と思ったんです。けれど、そのことが自分の力を抜けさせてくれる好要因になり、すごくリラックスしてオーディションを受けることができました。

当時の伊藤智彦監督(日本のアニメーション演出家、監督)が「あの瞬間、たぶんコイツかもな……」と語られたという話を聞きました。

――7年続く同作の主人公を演じられて、松岡さんの中で何か変化などはありますか。

どの現場でも得るものはあるのですが、『ソードアート・オンライン』(以下、『ソードアート』)に関しては、キリトと一緒に成長してこられたという思いがあります。テレビ・アニメやゲームなどで『ソードアート』はずっと続いていました。キリトが作中でどんどん成長していくのと同じように、僕もさまざまな現場を通してたくさんのことを学びながら、共に成長してこられたキャラクターだなという思いです。

――そんな松岡さんにとって、キリトはどういう存在でしょうか。

僕の中では「バディ」(相棒)ですね。このひと言に集約されていると思います。

――『ソードアート』は原作がライトノベルなので、キャラクターの声を想像する必要があると思います。その際、気を付けていることは何ですか。

キリトであれば、「キリトと僕の感覚の共有がどれくらいできているのか」なんですよね。キリトたちは2次元、平面の世界の中のキャラクターですが、僕は彼らを自分たちと同じ場所にいる3次元の世界にいるように捉えています。物語が進んでいく中で、キリトたちは次に何が起こるのかは分からないけれども、僕らは(その先を)知っています。その点において、いかにそのキャラクターの心情や動きなどを、自分とどれだけ同化できるかが大事だなと感じています。

毎回思うのですが、我々声優や役者の職業では、何をしても正解になるし、何をやっても不正解になると思うんですよ。ある意味、やった者勝ちの部分はありますが、それを自分の方向に7~8割持っていくとそれはただの僕なんですよね。その割合をいかに保つかということを常に考えています。

――MadFestやオーストラリアのファンの印象について教えてください。

これほどまでに『ソードアート』を愛してくれているのだと、ありがたくなりました。サインを描いている時も「松岡さんの出ている作品、全て好きです」という感想をもらうと共に「オーストラリアに来てくれてありがとう」と言われ、こちらこそ“ありがとう”という気持ちになりました。

ソードアート・オンライン◎原作・川原礫によるライトノベル作品。テレビ・アニメ、映画、ゲームなど関連作品多数。VR(仮想現実)ゲームにログインした主人公・キリトは、1万人のプレイヤーと共にゲーム内に捕らわれる。ゲーム・オーバーが現実の死となる中、ゲーム・クリアを目指す物語。テレビ・アニメは2012年7月から第1期が始まり、現在第3期を放送中

まつおかよしつぐ
1986年9月17日生まれ。声優。出演作に、テレビ・アニメ『食戟のソーマ』幸平創真役、『銃皇無尽のファフニール』物部悠役、『アブソリュート・デュオ』九重透流役など多数。2011年、第6回声優アワード新人男優賞受賞などの受賞歴を持つ

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