第60回シドニー・フィルム・フェスティバル

第60回シドニー・フィルム・フェスティバル

60回目を迎え、ますます多彩となる国際映画祭

 冬の到来とともに毎年開催されるシドニー・フィルム・フェスティバル。1954年に始まったこの国際映画祭は、今回でちょうど60回目となる。
 開催期間は例年通り12日間で、55カ国から出品された長編、短編、ドキュメンタリー、アニメなど190本の映画が市内の映画館や劇場で上映される。このうち12本は、国際映画製作者連盟公認のコンペティション参加作品で、審査員によって大賞に選ばれた作品は最終日に発表される予定だ。
 映画祭で何よりも楽しみなのは、ここシドニーで日本映画が見られること。今年は北野武監督の作品や小泉今日子主演作品、そして原発事故で被災した家族を描いたドラマが登場する。
 公式ウェブサイトにアップされている映画の予告編を見るだけでも、多彩なストーリーや映像、世界各地の文化を垣間見ることができて面白い。また、期間中、市内はマーティン・プレイスの特設スクリーンで予告編や過去の短編映画などが1日中上映されるので、立ち寄ってみよう。構成・文=大倉弥生

INFORMATION 公式ウェブサイト: www.sff.org.au

Sydney Film Festival

期間: 6月5日(水)〜16日(日)
時間: 上映プログラムはウェブを参照。
会場: イベント・シネマ(ジョージ・ストリート)、ステート・シアター、デンディー・オペラ・キー、NSW州立美術館、ヘイデン・オピューム(クレモーン)
料金: シングル・チケット大人$19.50、コンセッション$15、10枚綴り(Flexi10)$140、20枚綴り(Flixi20)$260、30枚綴り(Flixi30)$350、オープニング・ナイトなど特別イベントは別料金
購入: オンライン(下記サイトから)または電話(1300-733-733、9AM〜6PM)
※ほとんどの映画が18歳以上指定

 

★始まりと締めはコレ★

Mystery Roadオープニング・ナイト

豪、Ivan Sen監督

今年のオープニングを飾るのは、アウトバックを舞台にした地元オーストラリアの映画。故郷に戻ったアボリジニの警官ジェイは少女殺人事件の捜査に乗り出すが、都会生活の長かった彼に対して周囲の対応は冷たかった。やがて彼は小さな町に巣食う犯罪網を暴き出す。見応えあるアクションに加え、鋭い社会批評が込められた作品。

▼Opening Night Gala
5日(水)7:30PM ステート・シアター $125(映画+パーティー)

 

Twenty Feet from Stardomクロージング・ナイト

米、Morgan Neville監督

フェスティバルを締めくくる作品は、実力がありながらスポットライトの当たらないコーラス・ガールの姿を追ったドキュメンタリー。ミック・ジャガーやスティービー・ワンダー、スティングなど大物歌手のステージを彩ったバックアップ・シンガーたちが登場する。抜群の歌のうまさとパワフルさで、音楽ファンにとっても見逃せない作品。

▼Closing Night Gala
16日(日)8PM ステート・シアター $28(映画+授賞式)

 

 

★日本映画★

希望の国(The Land of Hope)

園子温監督

大地震による原発事故で、つつましくも平穏な暮らしを奪われた酪農一家の苦しみを描く。道路1本を隔てて強制避難地域外となった小野一家は、見えない放射能を避けて避難すべきかどうか苦渋の選択を迫られる。地名など架空の設定だが、東日本大震災を題材にした作品。この映画で主演男優賞を受賞した夏八木勲は、5月11日に73歳で他界。

6日10AM イベント・シネマ(George St.)
16日4:05PM デンディー・オペラ・キー

 

アウトレイジ ビヨンド(Outrage Beyond)

北野武監督

同監督による2010年公開の『アウトレイジ』の続編。関東最大のヤクザ組織内の抗争を北野流の暴力描写で描く。死んだと思われていた大友組組長(北野武)は実は獄中で生きていた。暴力団対策担当の刑事や政界も巻き込んで“悪い奴ら”の駆け引きが始まる。北野武が監督と主演を務めるほか、三浦友和、加瀬亮、西田敏行、高橋克典などが脇を固める。

5日8PM デンディー・オペラ・キー
7日8:30PM デンディー・オペラ・キー

 

贖罪(しょくざい)(Penance)

黒沢清監督

15年前に起きた少女殺人事件。遺体を見つけたのは被害者のエミリと一緒に遊んでいた女の子4人。贖罪を求めるエミリの母親は成長した少女たちを訪ねるが、それぞれの運命も狂っていたのだった。犯人は分かるのか !? 黒沢監督ならではのスリルとサスペンスがあふれる。WOWOWで放映された5回連続ドラマを270分に再編集した作品。

14日6PM デンディー・オペラ・キー $30

 

リコレクションズ(Recollections)

Nathanael Carton監督

東日本大震災の津波ですべてを失った人たちが、過去を取り戻すべくがれきの中から必死で探し出す写真の数々。そんな思い出の詰まった写真を題材にした、日本育ちのフランス人監督、ナサナエル・カートンによる短編ドキュメンタリー。上映時間は13分で、中国映画『Fallen City』と併映される。

8日2:30PM イベント・シネマ(George St.)
15日12:30PM イベント・シネマ(George St.)

 

★コンペティション部門出品作品★

Child’s Pose

ルーマニア、Călin Peter Netzer監督

今年のベルリン国際映画祭で最高賞を受賞した作品。一見裕福で満たされた生活を送る60歳のコーネリアは、息子の愛情を取り戻そうと、死傷事故を起こして収監された彼のために奔走するが…。ルーマニア社会の階級や世代間のあつれきが描かれる。

10日6:30PM ステート・シアター
11日12PM イベント・シネマ(George St.)

 

The Rocket

豪、Kim Mordaunt監督

オーストラリア人監督がラオスで全編ロケした珍しい作品。双子で生まれた少年アーロ。双子を忌み嫌う迷信のために村人から疎まれていた彼は、大人を見返してやろうと竹製ロケットの競技大会に乗り込む。ベルリン国際映画祭「初監督作品賞」受賞作品。

8日6:45PM ステート・シアター
9日12PM ステート・シアター

 

Wadjda

サウジアラビア、Haifaa Al Mansour監督

映画館のない国サウジアラビアで初めて全編撮影された映画。少女ワジダは母に自転車をねだるが「女の子なのに、はしたない」と買ってもらえない。そこでコーラン大会の賞金を手に入れようと暗誦に励むが…。監督はシドニー大学出身のサウジ女性。

7日6PM ステート・シアター
8日12PM ステート・シアター

 

Grigris

仏、Mahamat-Saleh Haroun監督

舞台は内戦の傷跡が残るアフリカのチャド。片足に麻痺がありながらダンスのうまい25歳のグリグリはナイトクラブの人気者。明るい未来を夢見ていたが、病に倒れたおじを助けるために違法な運び屋の仕事をする破目に。カンヌ国際映画祭出品の人間ドラマ。

9日2:15PM ステート・シアター
11日12PM イベント・シネマ(George St.)

 

★注目作品あれこれ★
モンスターの青春時代

Monsters University

米、Dan Scanlon監督

2001年公開の大ヒット作『モンスターズ・インク』の主人公、サリーとマイクの出会いを描いた最新アニメ。マイクは“怖がらせ屋”になるべく希望に満ちてモンスター大学に入学するが、サリーに出会ったことで思わぬ道へ。ロードショーに先駆けて上映。

10日6PM イベント・シネマ(George St.)$20

 

「僕はセックス中毒者です」

Thanks for Sharing

米、Stuart Blumberg監督

セックス中毒者の自助グループに参加している面々を描いた、おかしくて心温まるドラマ。セックス中毒から立ち直りかけているアダムは、美しいフィービーに出会って次のステップへ進もうとするが…。出演はグウィネス・パルトロウ、ピンクほか。

15日8:45PM ヘイデン・オピューム(Cremorne)
16日5:30PM ステート・シアター

 

あの国の映画!

Comrade Kim Goes Flying

北朝鮮、Kim Gwang-Hun、Nicholas Bonnerほか監督

炭鉱で働く若いキムは空中ブランコの曲芸師になることを夢見ていた。サーカス団のパクはそんな彼女の夢を最初は鼻で笑っていたが、やがて彼女に惹かれていく。平壌サーカスの本物のアクロバット師が主人公キムを熱演。ベルギー、イギリスとの合作。

9日8:45PM イベント・シネマ(George St.)
15日9:15PM イベント・シネマ(George St.)

 

被災者の心に迫る

Fallen City

中国、Zhao Qi監督

2008年に発生した中国・四川大地震では8万人を超える死者・行方不明者が出た。このドキュメンタリーでは、家族を失い今も苦しみの中にいる3組の日常を追う。政府はモダンな新都市の建設に躍起だが、被災者の心はそれで救われるのか。映像も印象的。

8日2:30PM イベント・シネマ(George St.)
15日12:30PM イベント・シネマ(George St.)

 

動物ショーの裏側

Blackfish

米、Gabriela Cowperthwaite監督

2010年フロリダのシーワールドで、ショーの最中に5トンのシャチに振り回されて調教師が死亡する事故があった。これは偶然起きた単発の事故なのか? 巨大なシャチを狭いプールで飼育し見世物にするエンタメ世界の裏側を追ったドキュメンタリー。

7日8:45PM イベント・シネマ(George St.)
8日12:30PM イベント・シネマ(George St.)

 

インドの大河ドラマ

Midnight’s Children

カナダ、Deepa Mehta監督

1947年8月15日、インド独立の日に生まれた裕福な家庭のサレームと極貧のシバには不思議なパワーが備わっていた。2人の成長の軌跡とともにインド現代史の光と闇を描く。有名なサルマン・ラシュディ著『真夜中の子供たち』を脚色した作品。

9日4:30PM ステート・シアター
16日6:30PM ヘイデン・オピューム(Cremorne)

 

生死を賭けたスノボの世界 !

The Crash Reel

米、Lucy Walker監督

アメリカのスノーボード選手ケビン・ピアースは、2009年末、オリンピックを目の前にして練習中の事故で頭部を強打し脳障害を負う。再起不能と思われたケビンが再びボードに乗るまでの奇跡に近い記録。驚異的なスノボのアクション映像もたっぷり。

10日2PM イベント・シネマ(George St.)
16日5:05PM イベント・シネマ(George St.)

 

ラブ・ストーリーは永遠に

Before Sunrise

米、Janus Metz監督

1995年公開の作品(邦題『恋人までの距離』)。ヨーロッパを旅行中、汽車の中で出会ったアメリカ人とフランス人の男女がウィーンの街を歩きながら語り合う。限られた時間の中で芽生える恋。よくある設定だが、2人の会話が光り、魅力があふれている。

8日12PM NSW州立美術館

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