編集部イチ押し! 7月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ラブ&マーシー 終わらないメロディー
Love & Mercy

ドラマ/M 公開中 満足度★★★★

隊長が観た!

今月のムービー・レビュー

アメリカのカリフォルニアの青い空、日差しが降り注ぐ青い海、そこに流れるキャッチーなロック・ミュージック――。まさに古き良き時代のアメリカを彷彿とさせるイメージのザ・ビーチ・ボーイズ。今回紹介するのは、その中心的存在だったブライアン・ウィルソンの伝記映画だ。

ファンの間では有名な話だが、天才と言われたブライアンは1960年代にヒットを飛ばした後、精神疾患や薬物乱用に苦しみ、一時は廃人のようになっていた。その彼が、ふと立ち寄った車の販売店でメリンダという女性に出会うところから映画はスタート。

映画は、バンドとしてヒットを連発していた60年代と、その後の精神に疾患を抱えた80年代との2つの時代を交錯させて描いてゆく。一石二鳥な展開!過去と現在を描く映画は多いけど、時代背景が60~80年代という点もユニーク。そのファッションの変遷などは見ていて懐かしさを覚えると同時に、改めて新鮮に感じることも多かった。特に、80年代のメリンダの化粧や衣装が、もう笑っちゃうほど。“今からアメフトの試合ですか?”ってほどの肩パッドの入りようで、目に痛い真っ青なドレスなどを着たりしている。さらに、すっかりナチュラル・メイクが主流の今から見ると、“歌舞伎俳優ですか?”っていうほどのばっちりメイク!メリンダがザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンだと知って、気合いを入れまくってデートに望んだことを示す演出の1つだとは思うけど、80年代ってこんな時代だったなーと懐かしく思ってしまった。

さて、その2つの時代でブライアンを演じるのは、60年代が『リトル・ミス・サンシャイン』のポール・ダノ。そして、80年代は『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザック。このところの特殊メイクやCGの技術革新で、同じ俳優がその20年後を不自然なく演じることはできるだろうけど、きっぱり俳優を分けたのは正解だと思う。天才なんだけど横暴ではなく、薄いガラスでできたグラスのように、ちょっとの衝撃で壊れてしまいようなナイーブな少年をうまく演じているポール・ダノが良かった。さらに『サイドウェイ』など、人の良い役の多かったポール・ジアマッティが嫌な役で出ていて、これもキャスティング成功。そして、今回の見所は、やはりメリンダを演じたエリザベス・バンクス。元モデルのカー・セールス・ウーマンということで、ブロンドの見た目もそうだけど、内面から出てくる自然な優しさをさりげない演技で表現していて、誰もが共感できるキャラクターを作り上げている。


彼らの演技もいいが、ブライアンがいろいろなアイデアを駆使して行うレコーディングの様子や、メンバーとの諍いなど、曲はよく聞いたことがあるけど、実際のザ・ビーチ・ボーイズをよく知らない自分としては、そういった裏話的なところも面白かった。

心の問題を持ったミュージシャンの話で、決してザ・ビーチ・ボーイズの音楽のような底抜けに明るい映画ではないけど、遠い夏の日を思い起こさせ、ちょっとノスタルジックで優しい気持ちになる映画。お薦めです。


マダム・ボヴァリー
Madame Bovary

ドラマ/M 公開中 満足度★★★★

編集部員が観た!

今月のムービー・レビュー

古典仏文学『ボヴァリー夫人』が原作。タイトルロールにもなっているボヴァリー夫人を、豪州出身のミア・ワシコウスカが演じる。平凡な結婚生活に退屈した主人公は、次第に不埒な恋にうつつを抜かし、物欲に溺れ、ついには奈落の底へと落ちていく――。原作同様、ロマン主義的な憧れも凡庸な現実の前では無残に敗れ去るというリアリズムを、付随する繊細な心情とともに衝撃的に描く。「欲深く愚かな女たちへの警告」としては時代を超えたメッセージ性があるだけに、現代女性も必見!


ミニオンズ
Minions

アニメ/PG 公開中 期待度★★★

今月のムービー・レビュー

ユニバーサル・ピクチャーズ史上No.1を記録し、世界中で大ヒットしたアニメ映画『怪盗グルーのミニオン危機一発』に登場する謎の生物、ミニオンを主役にしたスピンオフ。独特の存在感を誇っていてとにかく可愛らしい彼らだが、その実態の多くは謎に包まれたまま。そんなミニオンたちに滅亡の危機が迫り、ケビンとスチュ、そしてボブの3人(匹?! )のミニオンたちは仲間たちを救うべく立ち上がるが――。とにかく愛らしい姿と変な声(言語)で癒し効果抜群と早くも話題。


テッド2
Ted2

コメディ/MA+15 公開中 期待度★★★★

今月のムービー・レビュー

『テッド』は、自堕落な日々を送る中年男ジョンと、見た目は愛くるしいのに中身は親父(しかも下品)のテディベア・テッドの一風変わった友情物語。続編となる今作でも、マーク・ウォールバーグがジョン役、そしてセス・マクファーレン監督本人がテッド役(声)を演じる。テッドが結婚をし、子ども欲しさにいざ精子バンクへ!――という現代人の心をつかむストーリー設定で、またも2人は我が道を大爆走。新たなヒロイン役には現在人気急上昇のアマンダ・セイフライドを起用。


ミスター・ホームズ
Mr. Holmes

ドキュメンタリー/CTC 7月23日公開予定 満足度★★

編集部員が観た!

今月のムービー・レビュー

『ホビット』でお馴染のイアン・マッケランが、93歳のシャーロック・ホームズ役に挑戦。この役は数多くの俳優たちによって演じられてきたが、今作に限っては、隠居生活中の年老いたシャーロック・バージョンということで少し異色の展開に。探偵業を引退はしたものの、50年前の未解決事件が忘れられないこのホームズが今回向かった先は、なんと日本。そこで出会う、梅崎という男性を真田広之が好演する。情緒あふれる奥深い1作だが、展開が単調過ぎて好き嫌いが分かれるかも。

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