編集部イチ押し! 10月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

マイ・インターン
The Intern

ドラマ/M 公開中 満足度★★★★

隊長が観た!

アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロが主演で、タイトルは『マイ・インターン』。てっきりアン・ハサウェイがインターンだと思ってたら、逆でした。ま、アン・ハサウェイもインターンって歳でもないし、今回は家庭を持ちながら何百人もの社員が働く、ファッション・サイトを運営する会社のCEO。何となく彼女の出世作の『プラダを着た悪魔』のその後っぽい設定で、さらに、ファッション業界ってことで、またまたニューヨークのお洒落な衣装でバンバン登場!

ストーリーは、そのアン・ハサウェイ演じるジュールズの会社で“シニア”インターンを募集するというもので、そこへ応募してきたのがリタイアした人生経験豊富なベン。めでたく採用されジュールズのアシスタントとなるが…。

今時、ロバート・デ・ニーロと聞いても「ユルいコメディーに出てくるジイさん」程度の認識しかない人が多いと思うけど、往年の映画ファンにとっては忘れることのできない偉大な俳優の1人だ。『ゴッドファーザー PART II』で、アカデミー助演男優賞、そして『レイジング・ブル』で主演男優賞を授賞し、その『レイジング・ブル』では体重を20キロ増やしたりと徹底した役作りで有名だった。「あなたの好きな俳優は?」と聞かれて「ロバート・デ・ニーロ」と答えるだけで、この人映画のことを分かってる!と思われた時代もありました>昔を知ってるだけに、鏡に向かって瞬きの練習をするデ・ニーロとか、。

ただ、主人公の設定から話の展開まで、でき過ぎな感じは否めない。アン・ハサウェイのクルクル変わる衣装とか、アジア・マーケットを意識した太極拳や、別れ際の日本語の「さよなら」、マンハッタンではなく今注目を集めているブルックリンが舞台だったり、何がウケるのかしっかりリサーチしてますって感じが、ちょっと鼻についたかもしれない。でも、まあ2013年のアカデミー賞でわざとらしいスピーチなど大バッシングされていたアン・ハサウェイは素直に可愛いと思ったし、アンとデ・ニーロのケミストリーも良く、女の子の気持ちを鷲づかみのハートフル・コメディに仕上がっている。特に働いている女性には共感できる部分が多いと思う。また、これを見ていったいどのぐらいの男性がきれいに折り畳んだハンカチを持ち歩くようになるのだろうか?ってのも興味アリ。

ちなみに、ベンがコーヒーを買ったのはブルックリンの「トビーズ・エステート・コーヒー」。そう、シドニーでも超有名なカフェのブルックリン店です。


エベレスト
EVEREST

アドベンチャー/M 公開中 満足度★★★

編集部員が観た!

1996年に実際に起きた遭難事故を、バルタザール・コルマウクル監督が映画化。過酷な条件の中、決死の登頂を敢行したロブ(ジェイソン・クラーク)率いる登山家集団。長く留まれば命を落とすリスクが極めて高い頂上付近で、メンバーの中から体調不良を訴える者が続出。さらに猛烈な吹雪と人為的ミスなどのトラブルが重なって下山が大幅に遅れてしまう。酸欠の中、自然の猛威が彼らを襲うが――。リアルさを徹底的に追求するため、危険を冒してでもできるだけ多くのシーンでネパールの現地ロケを敢行したというだけあって、キャストたちの緊迫感あふれる演技は見もの。どんどん極限状況へと追い込まれていく中でも、最後まで生きることを諦めない挑戦者たちの気迫とその光景を、3D技術も駆使して圧倒的な迫力で描く。


ミス・ユー・オールレディー
Miss You Already

ドラマ/M 10月8日公開予定 満足度★★★★

編集部員が観た!

アメリカ人のジェス(ドリュー・バリモア)は幼いころにイギリスの学校へ転校し、そこで親友のミリ―(トニ・コレット)に出会う。以降は青春のすべてをともにし、半生をかけて友情を深めてきた2人。しかしジェスが念願の妊娠に至ったのとほぼ同時に、ミリーの乳がんが発覚してしまう。親友としてつらい闘病生活を献身的に支えるジェスだったが、ある事件をきっかけに2人は絶交状態に。ミリーの命の終わりがどんどん近づく一方で、ジェスのお腹はどんどんと大きくなっていき……。破天荒な性格のミリーに振り回されながらも、どっしりと構えるジェス役をバリモアが魅力たっぷりに好演! この役、一時はレイチェル・ワイズに決定していたが、彼女が降板したためにドリュー・バリモアがその座に就いたのが功を奏した形に。


ア・ウォーク・イン・ザ・ウッズ
A Walk In The Woods

ドラマ/M 公開中 満足度★★

20年間イギリスで暮らした後、母国アメリカへ戻ってきた旅行専門ライターのビルを演じるのは、『愛と哀しみの果て』などで一世を風靡したベテラン俳優のロバート・レッドフォード。老いたビルは、帰国後はそのままリタイアするわけでもなく、代わりにジョージアからメイン州まで2,200マイルにわたるアパラチア山脈の過酷なトレールに挑む決心をする。そんな彼の挑戦に賛同して加わることになったのが、旧友のカッツ(ニック・ノルト)。コミュニケーションがチグハグになってしまうほどお互いにマイペース過ぎる2人は、珍道中とも言えるアドベンチャーを大自然の中で繰り広げることになるのだが――。淡々としたロード・ムービーなだけに、主演の熟年俳優コンビが個性勝負でどこまで良い味を出してくれているかに期待。


ミストレス・アメリカ
Mistress America

ドラマ/MA+15 10月29日公開予定 満足度★★★

編集部員が観た!

ニューヨークでの都会生活になじめずに孤独な毎日を送る、大学新入生のトレイシー(ローラ・カーク)はある日、ひょんなことからグラマラスなメトロポリタン・ライフを送る冒険好きな義姉のブルーク(グレタ・ガーウィグ)に出会う。2人はとたんに意気投合し、トレイシーのそれまでの地味な生活は一変。同時にさまざまな騒動に巻き込まれていく――。地味で人生を謳歌できていないけど洞察力は鋭い女子大生と、派手好きでやりたい放題だけど大人気ない三十路女子との妙な友情関係。これを、ちょっぴりダークでウィットに富んだセリフの数々を散りばめながら、地味に笑えるシニカルなコメディーに落とし込んでいるあたりは、ノア・バームバック監督ならではのアプローチと言えそう。


★今月の気になるDVD★

The History of Glamour
ヒストリー・オブ・グラマー
アニメーション/CTC 米国、39分、形式:DVD

渋谷のファイヤー通りに昔(編注:現在は宇田川町に移転)、さまざまなカルチャーのインディーズ・シーンをリードする、情報発信基地とも言えるような前衛的空間があった。その名も「アップリンクファクトリー」。映画配給会社の「アップリンク」が運営するいわば単館系のミニ・シアターで、心地良い空間や作品のセレクションが絶妙なのだ。今回取り上げるDVDもここで出合った作品から。本作は、オハイオの田舎から飛び出し、一から自らの力で人生を切り開いていく女の子の青春を描いた短編アニメーション。大都会で夢を叶え、ロック・スターになって華やかな日々を送る主人公が、そんな毎日の中で「真の魅力(グラマー)とは何か」という永遠の謎に答えを見い出そうとするのだが……。まず、ジェレミー・ブレイクによるアニメーションの完成度が高く、これには当時のファッション界も絶賛。さらに、主人公のお気に入りのドリンクが「シャネルの5番(香水)のオン・ザ・ロック」などという脚本/監督を手がけたテリサ・ダンカンによるぶっ飛んだ設定もファッショニスタたちの感性を大いに刺激した。ある意味かなり純度の高い作品に仕上がっていて、特定の人たちのハートにはダイレクトに刺さってしまうはず。しかし、こういった類の逸品がいつも興行として大衆に受け入れられるかどうかというと難しく、本作もアップリンクのような配給会社がなかったら、私は一生知らないままでいたかもしれない作品。もし少しでも興味の湧いた人は、ぜひ。(編集Y)

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