編集部イチ押し! 12月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

スペクター
SPECTRE
アクション/M 公開中 満足度★★

隊長が観た!

毎回007の新作公開と聞くと「今年も終わるなぁ」と、季節の風物詩のような存在になっているが、今年もまたその季節がやってきた。シリーズとして24作目、ジェームズ・ボンド役は今作で4度目となるダニエル・クレイグ。『007』シリーズの史上最高の制作費を投じ、上映時間もシリーズ史上最長。主題歌はグラミー賞受賞者のサム・スミス……などなど、相変わらず話題満載の007だ。

タイトルになっている“スペクター”とは、”Special Executive for Counterintelligence, Terrorism, Revenge and Extortion”の省略形ということで、過去のシリーズにも何回も登場している国際犯罪組織。でもこれは、大人の事情で(名前の使用の権利とか、訴訟なんかが起きてゴタゴタ……)登場することがなかったけど、ようやく解決(ま、お金ね)。晴れて天下の悪役として007に再登場となったけど、うーん、なんだろうこの小物感。前作の悪役、ハビエル・バルデム演じるラウルが、単純な悪役ではなく、複雑なキャラクター設定で多くの人を魅了したが、今作の「そこらのオッサン?」みたいな悪役で、テンション下がりっぱなし。

さらに、ボンド役のダニエル・クレイグ、もうボンドはやりたくないんじゃないの?というオーラが出まくっているのか、過去の作品と比べて魅力が全く無し!せっかく彼が主演するようになってからシリアス・リアル路線になったのに、葬式が終わったばかりの未亡人と関係を持ってしまうのは、いくら相手がモニカ・ベルッチとはいっても、ちょっとね。寡黙でニヒルなキャラだったのに、昔のキャグ路線の007テイストが復活していて、戸惑ってしまった。

あと、『ミッション:インポッシブル』の5作目『ローグ・ネイション』と公開年が重なってしまったため、頭の中で2作品がゴッチャになってしまったのも、楽しめなかった大きな原因。

続けてもう1つ。これは、『ミッション:インポッシブル』にも言えるけど、オープニングのシーンを派手にしてしまったため、後が追いついてこないのも問題。古くは『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』なんかが、オープニングで一気に観客の心をつかんで展開していくパターンだけど、それは本編がオープニング以上に面白いから成立しているのであって、オープニングで無駄にハードルを上げてしまうと、後の展開がスカスカに見えてくる。


前作の『007 スカイフォール』が予想以上の大ヒットで、批評家からのウケもよく、同じ監督で前作以上のヒットを狙ったけど、そんなわけで今作は残念ながら失敗作だと思う。ダニエル・クレイグが主演してからの路線の変更は大正解だし、新たなファンも獲得しているが、4作目にして息切れしている感が強い。やはり監督のサム・メンデスは、アクションよりもドラマだと思う。前作は、ドラマ部分を充実させたことで作品にグッと厚みがでたけど、今作はどちらかと言うとアクション主体で、この内容にはサム・メンデスは合わない気がした。ここまでくると過去の作品のオマージュとか、お約束の台詞とか、すべてが鼻についてしまって、しかも上映時間は長く、正直かなり退屈だった。


PHOENIX
あの日のように抱きしめて

サスペンス/M 12月3日公開予定 満足度★★★★

1945年、アウシュビッツで生き残ったものの顔にひどい傷を負い、再生手術を受けたネリー。故郷のベルリンに戻り、最愛の夫ジョニーを探し始める。そしてついにジョニーと再会するものの、彼は自分の妻は既に死んだものと固く信じ込んでおり、手術で顔が変わった彼女をネリーとは認めず、たださまざまな面がかつての妻にそっくりなことに驚くだけだった。それでもネリーは新しい関係を築き始めようとするが、なんとジョニーは、ネリーの遺産を確保しようと、彼女に、自分の死んだ妻のふりをすることを提案する。この人は本当に私のことを愛していたのか、私が捕まったのはなぜか……。クリスティアン・ペッツォルト監督、ニーナ・ホス主演。人間の優しさ、悲しさをサスペンス感たっぷりに描くドイツ映画。


ザ・ナイト・ビフォア
The Night Before

コメディ/MA 12月3日公開予定 満足度★★★

幼なじみの3人組、イーサン、アイザック、クリスは、この10年間、毎年クリスマス・イブに再会して一夜の放蕩を楽しむという“伝統”を守ってきた。しかし今やもう彼らも、それぞれの生活を持つ「いい大人」に。もう今年で最後と決めたクリスマス・イブを最高の思い出にするために、彼らは、ある宝物探しを開始する。3人を演じるのは、ジョゼフ・ゴードン・レヴィット、セス・ローゲン、アンソニー・マッキー。監督はジョナサン・レヴィン。ジョゼフ、セス、そしてジョナサン監督は話題作『50/50 フィフティ・フィフティ』でもタッグを組んだ仲間だ。ほかに、ジョゼフの恋人役にリジー・キャプラン、セスの妻役にジリアン・ベルらが共演。クリスマスをモチーフにした大人のためのコメディー映画である。


ジ・エンド・オブ・ザ・ツアー
The End of the Tour

ドラマ/M 12月3日公開予定 満足度★★★★

米国の著名な雑誌『ローリング・ストーン』誌の記者、デビッド・リプスキーが著した回想録『Although Of Course You End Up Becoming Yourse lf: A Road Trip With David Foster Wallace』を映画化。1996年、米国の作家、デビッド・フォスター・ウォレスがヒット作『Infinite Jest』を出版した際のサイン会ツアーにリプスキーが同行し、彼にインタビュー。幅広いテーマについて2人が語り合った記録である。映画では、ツアー最後の5日間に、2人の関係がどう変化していくか、互いが互いにどのような影響を与えていくかが描かれていく。この2人を演じるのは、ジェシー・アイゼンバーグとジェイソン・シーゲル。監督はジェームズ・ポンソルト。まずは予告編でその雰囲気をつかんでほしい。


白鯨との戦い
In the Heart of the Sea

ドラマ/M 12月3日公開予定 満足度★★★★

19世紀初頭、捕鯨船エセックス号は、航海中に怒り狂った巨大なマッコウクジラに襲われて沈没してしまう。生き残った乗組員たちは90日間、陸地の影すら見えない海上を漂流し続ける。次第に食料が底をつき、極限の状態に陥った乗組員たちを、鯨は情け容赦なく襲ってくる。果たして乗組員たちは無事に帰還できるのか……。『ダ・ヴィンチ・コード』、『ビューティフル・マインド』を手がけた巨匠ロン・ハワード監督作品。主演は同監督の『ラッシュ/プライドと友情』に引き続きクリス・ヘムズワース。原作はナサニエル・フィルブリックの『復讐する海 エセックス号の悲劇』で、アメリカ捕鯨史上最悪といわれる海難事故を基にしているという。最新技術を駆使して描かれる白鯨の迫力ある映像が観る者を震え上がらせる。


★編集部員の気になるDVD★

あなたが寝てる間に
While You Were Sleeping

ラブ・コメディー、103分、形式:DVD

クリスマスが近づくと思い出す映画がある。1995年公開の『あなたが寝てる間に・・・』(原題:While You Were Sleeping)は、アメリカのシカゴを舞台に、運命のいたずらから真実の愛を掴むまでを描いたラブ・コメディーだ。

サンドラ・ブロックが演じる主人公ルーシーは、鉄道駅の改札口で働く孤独なシングル・ウーマン。彼女のささやかな楽しみは、名前も知らない乗客ピーター(ピーター・ギャラガー)を改札ブースの中から毎日見つめることだった。

奇跡はクリスマス・イブに訪れる。イブの朝、不良にからまれ線路に転落し気絶したピーターを助けたルーシーは、病院でのささいな行き違いから、ピーターの家族から彼の婚約者に間違われてしまう。

意識の戻らぬピーターをよそに、真実を言い出せぬまま彼の家族と親密になっていくルーシー。初めは彼女を不信に思っていたピーターの弟ジャック(ビル・プルマン)も、次第にルーシーに魅かれ始めていた。それは彼女も同じだったが……。

『スピード』で注目を浴び、今やアカデミー賞女優のサンドラ・ブロックが同作品で大ブレイク。地味で堅実な役どころを、明るく気さくな笑顔で好演し観客の心をつかんだ。ピーターの家族内で交わされるユーモアやウイットに富んだ会話にも注目。

クリスマス・シーズンのみならず、元気が出ない日に観るのもお勧め。愛情あふれる家族の物語に心が芯から温まるだろう。(編集H)

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