編集部イチ押し! 2月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

キャロル
carol
ドラマ/M 公開中 満足度★★★★

隊長が観た!

昨年のアカデミー賞で主演女優賞を射止めたのが『ブルー・ジャスミン』のケイト・ブランシェット。オーストラリア出身ということもあって、大好きなの女優さんの1人だ。今でも、受賞した『ブルー・ジャスミン』の怪演が頭を離れない。ハイソなニューヨークのマダムから、眉間にしわを寄せて独り言をつぶやくかなり痛いオバハンまでの変化を一瞬にして見せてくれて、もう絶対嫌いなキャラだけど、それを親近感が沸いてしまうほどの女性にしてしまったのは、やはり彼女の演技力の賜物。そのケイトの新作が、今回紹介する『キャロル』。

1952年、クリスマスを間近に控えたニューヨーク。高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトとして働くテレーズは、フォトグラファーになることを夢見ている。そんなある日、彼女の売り場に、娘のクリスマス・プレゼントを探しにきたキャロルが現れる。彼女と共にプレゼントを選び、発送の手続きを終えたテレーズは、キャロルが手袋を忘れたことに気付く。そして、その手袋を自宅宛に送り、後日、キャロルからお礼の電話がかかってくる。そして、ランチを共にし、キャロルの離婚話を聞かされる……。

時代設定が50年代ということもあって、作品の始まりからすでにクラシック映画でも見ているような気分。多くの映画がデジタル撮影されている現在、あえて昔のスーパー16ミリ・フィルムで撮影された画面は、ちょっと荒いけどノスタルジックな雰囲気で、映画のストーリーと相まっていい効果を上げている。さらに、おもちゃ売り場の看板のデザインから、衣装や音楽まで、時代考証がしっかりしているので、50年代のアメリカをドップリと堪能できる。

そして、ケイト・ブランシェット!あたかも50年代の貫禄ある女優のように、見事に溶け込んでいる。彼女の旦那さんを、カイル・チャンドラーが演じているけど、彼も正統派のハンサム顔で、これまたその時代の俳優のよう。この辺りのキャスティングもうまい。

ただ、最近のテンポの速いストーリー展開に慣れていると、この映画の悪く言えばスローな進み方にまどろっこしさを感じる人もいると思う。自分は、それを含めて十分堪能できた。2人の出会いのシーン、お互いが何かに惹かれてゆくケミストみたいなものを、視線やカット割りで非常にうまく表現しており、その後も、2人の気持ちが近付いていくのを、これまた丁寧に描き出している。このゆったりとした展開が、心地良かった。


また、夏の太陽さんさんのクリスマスを過ごす自分にとって、雪景色の寒いクリスマス風景は、昔の日本に住んでいた頃を思い出させて、センチメンタルな気分にもなった。

原作は、『太陽がいっぱい』や『見知らぬ乗客』など、多くの作品が映画化されている女性作家パトリシア・ハイスミスの『The price of salt』。発表された当時は、女性同士のラブ・ストーリーとうことで、クレア・モーガンという別名義で発行され、1984年になって、ようやく本人名義で『Carol』と改題されて出版された。

最後に、タイトルは『キャロル』となっているけど、物語の中心はテレーズ。『ドラゴン・タトゥーの女』で、アカデミー主演女優賞にノミネートされたルーニ・マーラが演じているけど、まだまだ幼いテレーズが、キャロルと出会うことで大人の女性に変化していくのも見どころの1つ。確実に人生のワン・ステップを上がった、ラストの彼女の表情に注目。


ブルックリン
BROOKLYN
ドラマ/M 2月11日公開予定 満足度★★★★

アメリカに渡った若きアイルランド人移民、エイリス・レイシー(演じるのはアカデミー賞にノミネートされたシアーシャ・ローナン)が、1950年代のブルックリンを舞台に生きる様を描く恋愛映画。希望にあふれるように見えるアメリカに憧れ、エイリスはやすらぎに満ちた故郷アイルランドを離れ、大都会ニューヨークに向かう。最初はホームシックに気持ちが萎えたが、それもすぐに消え去る。新しい恋に夢中になってしまうからだ。しかしすぐに、さまざまな障害によって彼女は苦悩に追い込まれる。どの国を選ぶか、どの生活を選ぶか、決断を迫られるエイリス。半世紀以上前の時代の美しさと苛酷さを描いた、深く心動かされるストーリー。原作はコルム・トビーンの小説。監督はジョン・クロウリー。


ザ・33
The 33
伝記・ドラマ・歴史/M 2月4日公開予定 満足度★★★

2010年、世界の人々の目はチリに向けられた。33人の鉱夫が100年前にできた鉱山の爆発・倒壊により生き埋めになってしまったのだ。69日間、地下700メートルの暗闇の中で、十分な空気も食べ物もなくなりながらも、あきらめることなく生き抜こうとする作業員たち。そして、国際的な救助隊が、生き埋めになった男たちを救うために昼夜を問わず懸命な努力を行う。その状況を、家族や友人たち、そして何百万人もの世界の人々が、悲痛な思いで見守った。過酷な状況の中でもユーモアで仲間を勇気づける主人公マリオを、アントニオ・バンデラスが熱演。記憶に新しい、真のサバイバル事件に基づいた作品である。監督はパトリシア・リゲン、そのほかの出演は、ロドリゴ・サントロ、ジュリエット・ビノシュなど。


グレースを探して
LOOKING FOR GRACE
ドラマ/M 1月26日公開予定 満足度★★★★

『ジャパニーズ・ストーリー』などを手がけ、数々の受賞歴を持つスー・ブルックス監督の久々の新作『グレースを探して』は、家族というものの複雑さを描く映画。反抗期まっただ中の16歳のグレース(オデッサ・ヤング)が家出、腹を立てた両親(ラダ・ミッチェルとリチャード・ロクスバーグ)は、娘を探すために、西オーストラリアの小麦地帯を縫う長いドライブを始める。旅の中でさまざまな秘密が明らかになり、2人は互いの関係が、そして娘との関係が変化しているという現実に直面する。1つの出来事を、登場人物ごとに複数の視点から繰り返し描くという、革新的な手法を採用。人生は貴重なものであり、そして一瞬のうちに変わってしまう可能性があるものだということを思い出させてくれる映画だ。


ひとりな理由はきかないで
HOW TO BE SINGLE
コメディ・ロマンス/未定 2月18日公開予定 満足度★★★★

アリス、ロビン、ルーシー、メグ、トム、デイビッド……ニューヨークの街は寂しい独身の若者たちでいっぱいだ。みんな素敵な出会いを求めている。しかしそれは、愛なのか、一夜限りの付き合いなのか、はたまたその中間か。愛とは何か、その定義が絶え間なく進化するこの世界で、誰もが“正しいシングルのあり方”を探している。決して眠らない街でいろんな人と寝るのは、いったい楽しいことなのか。主演は『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』で人気を集めたダコタ・ジョンソンと『ピッチパーフェクト』のレベル・ウィルソン。監督は『あと1センチの恋』のクリスチャン・ディッター。『そんな彼なら捨てちゃえば』に続き、ドリュー・バリモアが製作総指揮を務めるロマンチック・コメディー。


★編集部員の気になるDVD★

The Secret Life of Walter Mitty
LIFE! /ライフ
ドラマ 米国、115 分、形式:DVD

2013年公開の映画『LIFE!』は、1939年に刊行されたジェームズ・サーバーの小説『虹をつかむ男』を原作とする1947年に公開された映画『虹を掴む男』のリメイク作品。監督・主演はベン・スティラー。

空想癖を持つさえない男、ウォルター(ベン・スティラー)は廃刊予定のフォトグラフ雑誌『LIFE』のネガ・フィルム管理部門に所属する42歳。最終号作成にあたり、同誌を代表する写真家・冒険家のショーン(ショーン・ペン)からネガ・フィルムが送られてきたが、表紙を飾る予定の25番目のネガが見当たらない。上司にフィルムの提出を急かされるウォルターは、同封されたほかのフィルムを手がかりに彼を探す旅へと出る。グリーンランド、アイスランド、アフガニスタン……。知らない土地を無我夢中で冒険するウォルター。空想にも劣らないスリリングな旅をくぐり抜けた彼に起きる変化は?そして25番目のネガの所在と中身は?

雄大な自然を臨場感たっぷりに視聴者に伝えるカメラ・ワークが最高の作品。アイスランドの大自然の中をスケートボードで疾走するシーンは高揚感たっぷりだ。また、作品冒頭と終盤でのウォルターの表情の違いにも注目。勇気と元気をくれ、思わず旅に出たくなる映画だ。

『LIFE』誌のスローガン“世界を見よう。困難に立ち向かおう。壁の裏側を見よう。そして、感じよう。それが人生の目的だから”は、この映画の主題でもある。気になる人はぜひ観てほしい。(編集Y)

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