編集部イチ押し! 10月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ピートとドラゴン
Pete’s Dragon
ファンタジー、アドベンチャー/PG 公開中 満足度★★

隊長が観た!

古くは『101』、近年では『マレフィセント』『シンデレラ』とディズニーではアニメーションを実写映画化した作品が続いている。今後も、ロバート・ダウニー・Jrが『ピノキオ』、クロエ・グレース・モレッツが『リトル・マーメイド』、リース・ウィザースプーンが『ティンカー・ベル』と、企画中の実写作品も多く、もうほとんどのアニメーションが実写になってしまうのではという勢いだ。特に、今話題になっているのは『ハリー・ポッター』シリーズで有名になったエマ・ワトソンが主演する『美女と野獣』(2017年公開予定)。

そして、今回紹介するのは、1977年のディズニー作品を実写にした『ピートとドラゴン』。オリジナルはフル・アニメではなく、昔の映画でよく観たアニメと実写をミックスさせたもの。当時、実写が難しかったドラゴンをアニメで表現したのだ。当然、今の時代はCGでなんでも描いてしまえるので、リアルなドラゴンが登場。ただ、どう見ても、ドラゴンっていうより“犬”!絵本などの伏線があるので、かなり意識しているとは思うが、どうも中途半端なビジュアル。でも、まあそれなりに可愛くはなっているけれど……。


ストーリーは、孤児のピート少年とエリオットというドラゴンとの友情物語で、オリジナルの77年の映画とはストーリーが多少違って、リメイクではなく『ゴーストバスターズ』のような、これまた最近流行りのリブートもの。まあ、ストーリーは潔いくらいストレート。いくらディズニーといえどももう少しひねりを効かせても良かったのではと思ってしまうほど、全て先の読める展開。うーん、今時の子どもはどう感じるんだろうか?ちょっと『ターザン』も入っているし。

個人的に「やはりディズニー」と感じてしまったのは、オープニングの事故シーン。いつものことながら血が1滴も出ない!しかもいきなりのスローモーションで、なんだか突然ファンタジーの世界にでも入ったよう。両親2人が亡くなっているのだから、擦り傷の1つでも欲しいところ。血まみれの両親を見ながら事故車からはいずり出るとか、そんなシーンは一切なし。これが、ディズニーの事故シーンかと、妙に感心してしまった。

まあ、かなりけなしているけれど、作品自体は王道のディズニー映画で、家族みんなで安心して観られる1本。すっかりおじいちゃんになったロバート・レッドフォードもイメージ通りのキャラだし、ロケを行ったニュージーランド(映画の設定はアメリカ)の大自然は『ロード・オブ・ザ・リング』とはまた違った美しさで堪能したし、悪くはない。しかし、ガツンとくる悪人が出てくるわけではなく、全てが甘ったるいケーキのようで、何かピリっとするようなスパイスが欲しかった。お汁粉に塩、みたいな。最初は森林伐採などの今風のテーマが隠れているかな?とも思ったけれど、そこまでもなく。やはり、ここ最近異様に多い、続編やリメイク、リブートではなく、オリジナルの作品が観たいかな?


スノーデン
Snowden
ドラマ、スリラー/M 9月22日公開予定 期待度★★★★

アメリカの国家機密を暴いた男、エドワード・スノーデンの物語。強い愛国心を持ち、自身の生まれ育ったアメリカのために生涯を捧げるべく中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)のエージェントとして働く中で、彼はNSAが全国民の個人情報を違法に収集している事実を知ってしまう。命を懸けた告発を実行するが、それを受け政府は彼に逮捕状を発行。今なお逃亡生活を続けノーベル平和賞候補にもなったスノーデンの衝撃の実話を映画化したのは、政府の陰謀、腐敗をテーマにした作品を多く手掛けるオリバー・ストーン監督。個人の自由を侵害する監視社会で、正義を追求し戦うスノーデンを『インセプション』『ダークナイト ライジング』などで好演したジョゼフ・ゴードン=レビットが演じる。


ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち
Miss Peregrine’s Home for Peculiar Children
ファンタジー、アドベンチャー/CTC 9月29日公開予定 期待度★★★★

『チャーリーとチョコレート工場』などでおなじみの鬼才、ティム・バートン監督の最新作は、中高生向けのベストセラー小説が原作。悲惨な死をとげた祖父は、不可思議な遺言と写真を孫のジェイコブに託した。その謎を解くべく彼が訪れた屋敷には、鉄の靴を脱ぐと宙に浮いてしまう少女、透明な体を持つ少年、布をかぶった奇妙な双子など、特異な性質を持つ子どもたちが。ジェイコブは不思議な屋敷を守る女性ミス・ペレグリンと共に、子どもたちの暮らしを脅かす怪物に立ち向かうことに……。バートン監督らしいダーク&クラシカルな色彩と世界観は、観る者を一気にファンタジーの世界へと誘ってくれそう。ミス・ペレグリンを演じるエバ・グリーンなど、独特の雰囲気を持つキャストにも期待大。


マグニフィセント・セブン
The Magnificent Seven
クライム・アクション/M 9月29日公開予定 期待度★★★

日本映画界の巨匠・黒澤明監督の『七人の侍』、そしてそれを翻案した西部劇の名作『荒野の七人』を元にした、新たな7人のアウトローによる「悪への裁き」が炸裂。舞台は西部開拓時代のメキシコ、華麗な銃さばきで魅せるサムを演じるデンゼル・ワシントンの他、クリス・プラット、イーサン・ホーク、ビンセント・ドノフリオ、イ・ビョンホンなど国際色豊かなキャストが集結した。町を支配する独裁者への復讐のために雇われた7人は、賞金稼ぎ、ギャンブラー、スナイパー、ハンター、暗殺者、流れ者、戦士という異端児たち。銃、拳、ナイフ、弓矢などを武器に男たちが熱い戦いを繰り広げる。監督のアントワーン・フークアと主演デンゼル・ワシントンのタッグは『トレーニング デイ』以来15年ぶり。


コウノトリ大作戦!
Storks (3D)
ファンタジー、コメディー/G 9月22日公開予定 期待度★★★

コウノトリが赤ちゃんを運んでいた時代は過ぎ、今ではインターネットを駆使した宅配便業界大手のスタッフとして働くコウノトリたち。しかし会社社長の息子が誤って古い赤ちゃん製造機(!)を稼働させてしまったことから、可愛い女の子の赤ちゃんが生み出されてしまう。ボスに知られる前に赤ちゃんを欲しがる家庭に配達して証拠隠滅を図ろうとするが、旅の道中でさまざまなトラブルに巻き込まれ……。一風変わったストーリーのドタバタ・コメディーでワーナー作品らしく、ディズニー・アニメなどには登場しないような少々ブラックなギャグも満載なので、大人が観ても楽しめそう。監督は『イエスマン』の脚本家ニコラス・ストーラーと、ディズニーのアニメーター経験も持つダグ・スウィートランド。


★今月の気になるDVD★

フリーダ
Frida
ドラマ、ロマンス 123分(2002年)

「情熱」という言葉がぴったりのメキシコの画家、フリーダ・カーロの生涯を描いた伝記的映画。眉のつながった、強い目線の自画像の数々が有名だ(現在シドニーのNSW州立美術館では絵画展が開催中)。フリーダは毒気のあるユーモアたっぷりに、まだ封建的だった時代の女性像に縛られることなく、理想をしっかり持ちながら地に足を付けてメキシコ革命の時代を生きた1人の女性。

映画の中で描かれる彼女の人生には、大きな2つのアクシデントがあった。1つは学生時代のバス事故で後遺症の残る大けがを負ったこと。これが彼女をより深く絵の世界にのめり込ませた。もう1つは同時代の偉大な画家、ディエゴ・リベラと出会ったこと。芸術を通して情熱を感じ合った2人は21歳という年齢差を超えて結婚、しかし燃えるように激しい両者の気性故にしばしば火花を散らすほどに衝突もする。

夫婦関係や事故による身体障害、それにより子どもを生めない体になったことなどを自身の作品で表現したフリーダは、女性の体や性のタブーを打ち破った存在とも評されている。愛や時代の波に翻弄されながらもそれを力に変えていく彼女のたくましさは、スクリーンからこぼれ落ちそうなほどにまばゆい。

メキシコらしいカラフルな家々や衣装の美しさ、台詞の小粋さも楽しい同作。フリーダとディエゴの結婚式での友人からの祝辞がかっこいい。(編集=MS)

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