編集部イチ押し! 7月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ウナ
UNA
ドラマ/PG 6月22日公開予定 満足度★★★

隊長が観た!

オーストラリアの映画やテレビ・ドラマでよく見る、メルボルン出身のベン・メンデルソーン。アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたジャッキー・ウィーヴァー同様、ベンもまた2010年のオーストラリアの犯罪ドラマ映画『アニマル・キングダム』によって、ハリウッド・スターの一員となった。ジャッキーほどではないが、遅咲きの感じが無きにしも非ず。素でいると、ネズミ顔で精悍(せいかん)さなどは全く感じないのだが、いつキレるか分からないような危ない役を演じると、大変身!

マジで怖い!そういう意味でも『アニマル・キングダム』は、ハマリ役だった。そのベン・メンデルソーンと、『キャロル』で絶賛されたルーニー・マーラが共演した映画が、今回紹介する『ウナ』だ。

ある若い女性が、ベン演じるレイの職場を訪ねてくる。彼女の名前はウナ。レイとは15年前に関係のあった女性だった。当時、ウナは10代前半とまだ少女だったこともあり、関係が発覚後、レイは裁判で有罪となり刑務所暮らしを送った。出所した後は、名前を変え別の街で新しい生活を送っていた。年月が経ち、とある雑誌でレイの写真を見たウナが訪れたというわけだったが、レイは彼女の訪問に戸惑いを隠せない……。ウナは同じ街に住み、今でも好奇の目に晒され、その出来事を乗り越えられずにいた。


『キャロル』で見せた、芯があって落ち着きがありながらもキラキラした人物を演じたルーニー・マーラだが、今回は一転、心に傷を負った女性を冷たい表情で、これまたうまく演じている。対するベン・メンデルソーンも、あの『アニマル・キングダム』で見せた不気味さはみじんも感じさせず、冴えないオッサンを淡々と演じている。しかし、後半、実際のところはどうなんだろうか?本当にただのオッサンか?と映画の進行につれ観客に思わせるところはさすがだ。

ただ、過去のシーンは明るいウォームトーンだが、性的虐待という題材で、全体的には重く暗く、不快感をかなり強く感じてしまった。もともとは舞台であるため、舞台上での緊迫した二人芝居は想像出来るが、映画としてもっと息の抜ける部分があっても良かったと思う。

オリジナルの舞台劇『Blackbird』は、05年にエジンバラで初演され、07年度ローレンス・オリビエ賞で最優秀作品賞を受賞した話題作だ。シドニーでは同年にケイト・ブランシェットが監督し、シドニー・シアター・カンパニーで上演されている。今回の映画版は、同カンパニーで多くの作品の舞台監督を務めるアデレード出身のベネディクト・アンドリューズが映画初監督を務めた。脚本もオリジナルを手がけたデヴィッド・ハロワーが担当し、舞台劇を見た人でもがっかりすることはないだろう。俳優の演技もよく、映画的にも完成度は高いが、自分にとっては生理的に受け付けない作品だった。


スパイダーマン:ホームカミング
Spider-Man: Homecoming
アクション、アドベンチャー/TBC 7月6日公開予定 期待度★★★★

2002年から14年に公開されたトビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』、アンドリュー・ガーフィールド主演の『アメイジング・スパイダーマン』に続き、3度目の映画化となる新たな『スパイダーマン』。今作で主人公ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じるのは『インポッシブル』のトム・ホランド。16年に公開された『シビル・ウォー・キャプテン・アメリカ』にスパイダーマンとして初登場した。『アベンジャーズ』シリーズを始めとした、マーベル・コミック原作の作品内で世界観を共有している『マーベル・シネマティック・ユニバース』に参戦。部活のノリで街を救い、ヒーローを気取る高校生のピーターが、ロバート・ダウニー・Jrが演じるアイアンマンことトニー・スタークに導かれて成長していく姿を描く。


グレッグのダメ日記:とんでもないよ
DIARY OF A WIMPY KID: THE LONG HAUL
コメディー/PG 6月22日公開予定 期待度★★★

アメリカの作家ジェフ・キニー原作のベストセラーとなった児童書シリーズ『グレッグのダメ日記』を実写化した第4弾。中学生になった主人公グレッグが家族と共に曾祖母の90歳の誕生日を祝いに行く中で繰り広げられるどたばたロード・トリップが今回の舞台。旅の計画をするものの、失敗ばかり。旅の途中で、ひょんなことから子豚がへフリー家の新しい仲間になり、ドライブはますます大騒ぎ! 果たして、ファミリーは無事にバースデー・パーティーにたどり着けるのか……。このシリーズの映画化は2010年にスタート。3作目から実に5年ぶりにキャストを一新しての今作品となる。監督はシリーズの2作目・3作目のデヴィッド・バワーズ、脚本は『近距離恋愛』のアダム・スズティキールが手がけた。


ゴースト・ストーリー
A GHOST STORY
ファンタジー、ドラマ/M 7月27日公開予定 期待度★★★★

タイトルからはホラーを連想させるが、そのジャンルに属さない作品だ。サンダンス映画祭にて高い評価を得た。交通事故で亡くなった夫、ゴーストを演じるのは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞を受賞したケイシー・アフレック。妻は『ライオン―25年目のただいま』のルーニー・マーラが務める。郊外に暮らす夫婦だったが、夫は突如死去する。ゴーストとなった夫は悲しむ妻に寄り添うが、妻がそれに気付くことはない。ついに妻は引っ越しを決意し、紙切れにある言葉を残す。そこに残された言葉とは……。愛と悲しみに深く思いを巡らせるゴーストの存在と、超現実な展開に、クレジット・ロール後も余韻が残るユニークな作品。監督は、2016年公開の『ピートと秘密の友達』の監督・脚本を務めたデヴィッド・ロウリー。


ベイビー・ドライバー
BABY DRIVER
アクション、コメディー、クライム/TBC 7月13日公開予定 期待度★★★★

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』を手がけたエドガー・ライト監督の、車好きをうならせる新作カー・アクション・ムービー。耳鳴りの後遺症を抱えた凄腕ドライバーのベイビー(アンセル・エルゴート)は犯罪者の逃亡を手伝う「逃がし屋」。ある日デボラ(リリー・ジェームズ)と出会い犯罪から足を洗おうとするが、組織のボス(ケビン・スペイシー)に勝算の無い強盗計画への参加を強要されて人生最大のピンチに。激しいカット割りと軽快なロック・ミュージックと共に、疾走感溢れるアクションは見ものだ。スバル「インプレッサ・WRX」やシボレー「カプリス」による迫力のカーチェイス、ドリフト技術を楽しめる他、ジェイミー・フォックスやジョン・ハムら、豪華キャストも出演する。


★今月の気になるDVD★

最強のふたり
Untouchable(Intouchables)
ドラマ、ノン・フィクション 112分(2011年)

パリに住む体が不自由な富豪フィリップと、その介護人となった貧困層の若者ドリスの生活をコミカルなタッチで描いた実話に基づく1本。クラシックとソウル、スーツとスエットといった真逆の世界を生きる2人が友情を築いていく様は見ものだ。

フィリップは趣味のパラグライダー転落事故が原因で頸髄(けいずい)を損傷し、介護人無しでは体を動かすことの出来ない生活を送っていた。新たな介護人を雇うための面接会場に現れたのは、出所したての男ドリス。失業保険目当てで来たものの、他の応募者と違う風貌の男に興味を抱いたフィリップが、ドリスを採用するところから2人の生活はスタートする。立場の違いや障害に対する同情を取り払い、1人の人間として接するドリスに対して、徐々に心を開いていくフィリップであったが……。

印象的なのは、障害があることで自信が持てず恋愛を諦めていたフィリップに対してドリスが背中を押すシーン。またそのドリスの言葉を信じてデートに臨むフィリップの姿は、2人の信頼関係が計り知れないものであることを象徴している。ハードなテーマを用いながらも、ユーモアたっぷりの掛け合いは笑いと元気を与えてくれる。またストーリーに加え、パリの街並みや音楽も見どころの1つだ。

制作国フランスでは、2011年11月2日に公開され、週間観客動員数で初登場から10週連続1位となった今作品、手に取ってみてはいかがだろうか。(編集=KK)

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