編集部イチ押し! 12月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

オリエント急行殺人事件
Murder on the Orient Express
ミステリー/M 公開中 満足度★★★

隊長が観た!

本当に時が経つのは早いもので、もう12月。街にはクリスマス・ツリーが立ち並び、既に年末の気分だが、その昔子どものころのお正月映画といえば、007かアガサ・クリスティー原作の映画だった。特に、人気映画スター大集合のアガサ・クリスティーのミステリー映画は、豪華なおせち料理のようで、毎回楽しみにしていた。そして、1974年に公開された『オリエント急行殺人事件』は、公開当時大ヒットを記録。第47回アカデミー賞では、6部門でノミネートされ、イングリッド・バーグマンが助演女優賞を獲得して、3度目のオスカー女優賞に輝いた。

その『オリエント急行殺人事件』が再映画化。前作も、イングリッド・バーグマン始め、ショーン・コネリー、ローレン・バコール、ジャクリーン・ビセットなど当時話題の俳優たちの共演となっているが、今作も、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、ミシェル・ファイファーなど豪華な出演陣。

ストーリーは、イスタンブール発フランス行きの寝台列車オリエント急行が舞台。世界的な名探偵エルキュール・ポアロは、車内で富豪ラチェットから身辺警護の依頼を受けるが、彼の態度からそれを断る。雪で列車が立ち往生した翌朝、そのラチェットが刺殺されていた。乗り合わせた乗客たちは容疑者となるが、全員に完璧なアリバイがあった……。

アガサ・クリスティーといえば名探偵ポアロであるが、今回はイギリスの名優ケネス・ブラナーが演じている。同時に監督もこなしており、まさに大活躍! その彼が出演した『ダンケルク』などフィルムを使わないデジタル撮影の映画が増えている中で、あえてフィルム撮影、それも通常の35ミリ・フィルムではなく、65ミリ・フィルムで撮影されたことで話題になったが、その影響か、この『オリエント急行殺人事件』も65ミリ・フィルムで撮影されている。

そのお陰でハイビジョン並の映像となり、まさに劇場で観るべき映画となった。豪華絢爛なオリエント急行が舞台、更に“全員名優”とも言われる俳優陣。また、列車内ということでどうしてもカメラは平行移動しがちだが、俯瞰(ふかん)のアングルや窓の外から垂直にカメラを動かしたりと、飽きさせないような工夫もしてあるし、何と言ってもケレン味たっぷりで大いに楽しんだ。


しかし個人的には、肝心なオリエント急行の描き方に不満が……。イニシャル入りのハンカチーフとか、アガサ・クリスティー定番の小物にワクワクしたが、例えば、超おいしそうな料理が出てくるとか、もう少し豪華な旅情をかき立ててくれるようなシーンが欲しかった。チンケなあまりおいしそうにも見えないケーキくらいしか記憶にないのは寂しい。また、名探偵ポアロもケネス・ブラナーではかっこよすぎるのでは? ポアロって、変なヒゲを生やして、小太りでうさんくさいオッサンで、それが実は頭脳明晰で難事件をズバズバ解決していくというギャップが面白いと思う。ケネス・ブラナーは、今までのポアロの中でも最大というぐらいのヒゲをたたえ、チャーミングに演じていて、それも1つの解釈ではあるが、自分のイメージとは離れていた。

とは言っても、今作がヒットして来年の年末には、これまた大好きだった『ナイル殺人事件』の再映画化が観たいな、と。かつてミア・ファローの役を誰が演じるのか、マギー・スミスに再度出演してもらって、今度は富豪役をオファーして欲しいとか、今回はデイジー・リドリーだったけど、布施明の元嫁・オリビア・ハッセー枠は絶対フレッシュな新人で、とか注文はいっぱいあるけど、やはり最後はサンディーの『ミステリーナイル』で締めて欲しいな、と。


グッバイ・クリストファー・ロビン
Goodbye Christopher Robin
バイオグラフィー、ドラマ/PG 11月23日公開予定 期待度★★★

『クマのプーさん』の作者であるA・A・ミルンと、息子・クリストファー・ロビンとの絆を描いた伝記映画。第1次世界大戦後のイギリスを舞台に、精神的後遺症に苦しむミルンが名作児童小説を誕生させるまでの物語を描いている。クリストファー・ロビンと彼のぬいぐるみからインスピレーションを得て執筆した作品は世界的な成功を収め、多くの人びとに希望を届けるが、それは家族に代償を支払わせることにもつながった。ミルンを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのビル・ウィーズリー役や『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』で知られるドーナル・グリーソン。その妻役を『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビーが務める。監督は『マリリン 7日間の恋』のサイモン・カーティス。


ザ•スター
The Star
アニメ、ファミリー/G 11月30日公開予定 期待度★★

イエス・キリスト降誕の物語を、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションが大胆にも動物視点のコメディー・アニメとして制作。体は小さくても勇敢なロバのボーは、単調な日々を送っていた村を抜け出し、夢だった冒険へと出掛ける。旅の途中、群れからはぐれた羊のルースと、冗談好きなハトのデイブと仲間になる。更に3頭の辛口なラクダや風変わりな動物たちと出会い、夜空に輝く「あの星」を目指して進んで行くと、ひょんなことからイエス・キリスト降誕の物語『初めてのクリスマス』の知られざるヒーローになってしまう。主人公ボーの声はAMCのテレビ・ドラマ『ウォーキング・デッド』のスティーブン・ユァンが務める。また、挿入歌のフィフス・ハーモニー、主題歌のマライア・キャリーなど音楽界のスターが映画を彩る。


ローズの秘密の頁
The Secret Scripture
ドラマ/M 12月7日公開予定 期待度★★★

セバスチャン・バリーが2008年に発表したブッカー賞最終候補のベスト・セラー小説を、ジム・シェリダン監督が実写化したアイルランド映画。もうすぐ100歳になるローズは、50年以上にわたって精神病院に収容されていた。なぜローズがその病院に入院することになったのか疑問を持ったグリーン医師は、彼女との親密な対話を試みる。物語は交互に綴られるローズの回顧録とグリーン医師の事務的な備忘録を基に進み、次第に彼女の過去が明らかになっていく。そこには故郷のアイルランドで世界的混乱と激動の時代を生きたローズと、彼女を愛した男たちの悲しい思いが隠されていた。100歳のヒロインをバネッサ・レッドグレイブが、そして彼女の若いころを『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラが演じる。


ワンダーストラック
Wonderstruck
ドラマ、ミステリー/PG 12月14日公開予定 期待度★★★★

1977年ミネソタ州、12歳の少年ベンは、母親の遺品のしおりに彼女が一切語ろうとしなかった父親の名前を見つける。父親に会いたいと願うベンは、しおりに記されたニューヨークの本屋に電話を掛けるが、落雷により電話線に電流が流れ、耳が聞こえなくなってしまう。病院で意識を取り戻したベンは、父親に会いにニューヨークに行くことを決意する。一方で50年前のニュージャージー州、両親が離婚し厳格な父の下で育てられた耳の聞こえない少女ローズは、当時の人気女優リリアン・メイヒューに夢中だった。父親との生活にどこか孤独感を感じていた彼女は、メイヒューに会うためニューヨークに向かう。異なる時代を生きた、交わるはずのない2人の物語は、謎めいた因縁で結びつくことになる。


★今月の気になるDVD★

ミーン・ガールズ
Mean Girls
コメディー 97分(2004年)

13年前に初公開され、今や大物となった豪華キャストが顔をそろえる青春学園コメディー『ミーン・ガールズ』。若い世代に人気を誇るリンジー・ローハンが主演を務め、脇を固めるのは『きみに読む物語』でブレイクしたレイチェル・アクアダムス、『マンマ・ミーア!』でヒロインを演じるアマンダ・サイフリッドなど、もう2度と同じ作品内では見られないような、トップ女優たちの共演も見どころだ。

物語の舞台はアメリカの高校。両親が動物学者のケイディは、15歳までアフリカで過ごし、16歳にして初めてアメリカに帰国し高校生活を送ることに。それまで全く違う環境で過ごしてきた彼女にとって、新生活は戸惑うことばかりで、登校初日のランチ場所はトイレの個室だった。そして翌日に友人になったジャニスに、その学校には特別なルールや派閥があると教えられる。その派閥の筆頭が高校のアイドルと騒がれる派手な女子グループ「プラスチックス」だった。ある時、ケイディはそのグループのボスに気に入られ、「プラスチックス」に入ることになるが……。

映画の中だけでなく、現実の高校生活でもよくある女子同士のゴタゴタを描き、その中でもキャスト陣が個性的で面白く、彼女らのおバカな演技から目が外せない。女性なら1度は体験したことがあるだろう女子のやっかみを、「あるある」と共感しながら懐かしくも感じられる作品だ。(編集=HF)

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