編集部イチ押し! 5月の新作映画をチェック

cinema check シネマ・チェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじと共に注目の新作を紹介!レーティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ラブレス
Loveless隊長が観た!

ドラマ/TBC 4月25日公開予定 満足度★★★★

今の時期の楽しみは、先の映画祭の賞シーズンで外国語映画にノミネートされた映画を見ること。ここ最近、ハリウッドのドンパチ大作物より(今まではなかった黒人のヒーロー物とか、確かに面白いのだけど)、行ったことのないような国の映画を見ることの方が好み。ということで、今月もゴールデン・グローブ賞、そしてアカデミー賞の外国語映画賞にダブル・ノミネートされ、カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞したロシアの映画監督アンドレイ・ズビャギンツェフの『ラブレス』を紹介。

一流企業で働くボリスと美容院を経営するジェーニャの夫婦。彼らには12歳の一人息子アレクセイがいるが、それぞれ新しいパートナーがいて、離婚に向けての話し合いの真っ只中。2人とも新しい生活には息子は必要なく、ある日、お互いに息子を押し付け合い、口論が始まってしまった。そして、翌日。学校に出掛けた息子は行方不明になり、彼らは息子を探すのだが……。

この夫婦の毒親ぶりが、とにかくすごい! 日本でもすっかりおなじみとなったデキ婚カップル。気持ちはすっかり離れてしまって、更に新しい相手もそれぞれにいるから、とにかく今の関係を早くに終わらせて、次のステップへと思っている。そこで問題となるのが、一人息子の存在。旦那の方には既に妊娠中の彼女がいて、当然、息子を引き取りつもりもない。しかも、会社の上司が厳格なキリスト教徒で、離婚しても仕事が続けられるか、そんな自分のことしか心配していない。更に、母親もこれに輪を掛けたように「産むんじゃなかった」「中絶しておくべきだった」「自分の母親から逃げるために結婚した」とか、とにかく耳を塞ぎたくなるような暴言の連続。することと言ったら、スマホ片手にSNSでリア充アピール。そして、息子が行方不明で呼んだ警察の態度もひどいもの。結局、民間のボランティアに相談に行くのだが、これがロシアの現実か、非常に組織立って行動もテキパキ。どんだけ行方不明がいるんだろう? という感じ。

監督は、現代のロシアの人びとを描いたと言っているが、本当にこんな愛情のない人だらけなのだろうか? ただ、子どもが食事中でも会話すらなく母親がスマホしか見ていないシーンを見て、ここ最近の映画館のマナーに思い至ってしまった。最近増えているのが映画上映中のスマホの明かり。まあ、上映中1回ぐらいスマホをチェックするのは許せるのだが、ほぼ20分おきぐらいにチェックするのはどうなんだろう。そんな頻繁に確認の必要があるのなら、映画なんて見ているどころではないだろう。更に、他の観客からも注意されてるのに、それでも続けているのは、ちょっと異常。スマホでつながっているのではなく、スマホにつながされているだけだとは思わないのだろうか。まあ、その人がこの映画の主人公のようなキャラだとは言わないが、この映画の両親は、ロシアだけでなく全世界的に多くの人びとに響くものがあると思う。

全体を通しての画面の色調がブルー・トーンで、寒々しく、胸クソ悪い映画だけど、同じ監督の『父、帰る』『裁かれるは善人のみ』など、ドーンと重い映画が好きな自分にとっては、ホントに楽しめた1本。人によっていろいろと捉え方が変わる結末も良かった。意味ありげに沼のシーンを延々と映して、それに突き刺さるようなピアノの旋律が流れたラストは、思わず「今作もどストライク!」と気分が高揚してしまうほどだった。

タイトル通り“ラブレス”な人ばかりの映画だけど、唯一、愛があり愛を必要としていた息子アレクセイ。彼が、両親の言い争いを影で聞きながら、気付かれないよう声を押し殺して泣くシーンは心が痛かった。そんな我が子にすら愛をそそげない両親が求めた幸せとは、一体何だったのか? 結局、彼らは幸せをつかめたのか?

アベンジャーズ:インフィニティー・ウォー
Avengers: Infinity War

アクション、アドベンチャー/TBC 4月25日公開予定 満足度★★★★

©Marvel Studios 2018
©Marvel Studios 2018

『アイマンマン』『ハルク』『キャプテン・アメリカ』『マイティ・ソー』などマーベル・コミックのスーパー・ヒーローたちが集結する『アベンジャーズ』シリーズの第3作目。同作では、第1作目からのヒーローたちに加え『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ドクター・ストレンジ』『スパイダーマン:ホームカミング』などからも主要ヒーローが参戦。6つ全てがそろうと世界を滅ぼすほどの無限大の力を秘めたインフィニティー・ストーン。その究極の力を持つ石を狙う最強の敵サノスに対し、アベンジャーズは人類の命運を懸けた壮絶なバトルを強いられる。監督は『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』のアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟。

アンセイン
Unsane

ドラマ、スリラー/M 4月25日公開予定 満足度★★★

ストーカーの存在に悩まされる銀行員のソイヤーは、精神を病んだと診断され、強制的に精神保健施設に入所させられてしまう。そして、同施設内で雑用係として働く男が、彼女を長年ストーカーしていた人物だと気付く。ストーカーは現実に存在するのか、それとも全てはソイヤーの妄想なのか……。疑心暗鬼に陥る主人公の恐怖を描いたサイコ・スリラー。全編がiPhone 7Plusの4K動画撮影機能を使って撮影されたことでも話題となった注目の作品だ。メガホンを取ったのは、『オーシャンズ』シリーズ、『チェ:28歳の革命』『ローガン・ラッキー』のスティーブン・ソダーバーグ。主演は『ザ・クラウン』『ブリーズ』『ウルフ・ホール』のクレア・フォイが務める。

ライフ・オブ・ザ・パーティー
Life of the Party

コメディー/M 5月10日公開予定 満足度★★★

娘・マディの大学進学を機に、夫から突然別れ話を持ち掛けられたディアナ。しかも、夫はディアナと離婚した後、近所に住む別の女性との再婚を望んでいる。このままでは家も財産も全て夫に取られてしまうと考えたディアナは心機一転、大学で勉強し直すことを決意。そして、長年専業主婦だった彼女が、娘と同じ大学に入学することに。主演をメリッサ・マッカーシー、監督を夫のベン・ファルコーンが務める『The Boss』『タミー/Tammy』に続く、夫婦共同脚本のコメディー作品の第3弾。脇を固めるキャストは、『LOVEラブ』『コミ・カレ!! 』のジリアン・ジェイコブス、『ブライズ・メイズ史上最悪のウェディング・プラン』のマーヤ・ルドルフ、アメリカのコメディー・ドラマ『モダン・ファミリー』のジュリー・ボーウェンなど。

チャパキディック
CHAPPAQUIDDICK

バイオグラフィー、ドラマ/TBC 5月10日公開予定 満足度★★★★

ジョン・F・ケネディ元大統領の弟で、米マサチューセッツ州の上院議員エドワード・ケネディは、チャパキディック島で行われた友人のホーム・パーティーに出席。パーティーの途中で、マリーという女性と共に車で会場を抜け出したが、帰り道に橋から転落。この事故により、彼自身は一命を取り止めたものの、同乗していたマリーは死亡してしまう……。飲酒運転や不倫疑惑を含めケネディ家のスキャンダルとなった実話に基づく作品。主演を『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『エベレスト 3D』のジェイソン・クラーク、マリー役を『オデッセイ』のケイト・マーラが務める。また、エドワードの父・ジョセフ・P・ケネディを『ヘイトフル・エイト』のブルース・ダーンが演じる。

★今月の気になるDVD★

96時間 TAKEN
サスペンス・アクション 93分(2008年)

リーアム・ニーソン演じる主人公・元CIA捜査官のブライアンは疎遠になっている17歳の一人娘キムを溺愛している。ある日、その娘から友達と一緒にパリへ行きたいとせがまれ、娘に寸分でも危険が及ぶことを許さないブライアンは一度は止めたものの、娘が喜ぶのならという親心から行くことを許す。しかし、非道なことにパリで娘たちは人身売買組織に拉致されてしまう。娘たちを救うために告げられた猶予は96時間だった……。

ここからのブライアンの猛追は凄まじいの一言に尽きる。娘を取り返すべく単身パリに乗り込み、自身の経験を頼りに徐々に犯人組織へと近付いていく。「家族を守るためなら、何でもする」非情さと、その裏に潜む愛の深さをパワフルでクレイジーな父親の姿から感じられるはずだ。

同作を観ていると、「これほどまでに娘を愛する父親がいるのだろうか」と圧倒される一方で、「もしかすると行き過ぎた親バカなのでは?」とシニカルにも思えてしまう。いずれにしても本編93分の中で、スピード感溢れる展開には否応なく惹き込まれるはずだ。公開当時の反響も良く、続編『96時間/リベンジ』、第3作『96時間/レクイエム』と続いており、既にDVDも出ているので、3作を通して鑑賞するのもお薦めだ。(編集=SK)

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