編集部イチ押し! 4月の新作映画をチェック

 辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
 

少女は自転車にのって
Wadjda
    ドラマ/G

今月のムービー・レビュー

公開中★★★

隊長が観た !

映画を観る時、サウジアラビアの保守的なイスラム社会で虐げられる女性の悲しい物語と、自転車を買って隣の男の子と競争することを楽しみにしている女の子の物語、どちらを観に行きたいだろうか?

たぶん、多くの人が悲壮な映画より、自転車を買うのに奮闘する女の子の映画を選ぶと思う。今回紹介するのは、サウジアラビア初の女性監督ハイファ・アル=マンスールの作品。なんと、サウジアラビアには映画館がなく、同国俳優を起用し、国内で撮影したサウジアラビア初の長編映画となる。

主人公は、サウジアラビアの首都リアドに暮らす10歳の少女ワジダ。彼女は幼なじみの男の子アブダラと自転車競争がしたくて、自転車を買ってほしいと母親にお願いする。しかし、女性の地位が低いサウジアラビアでは女の子が自転車に乗ることはもってのほか、すぐに反対されてしまう。そこで、なんとか自分で自転車を買おうとがんばるのだが…。

最初のシーンで、学生の足下のアップ映像が続く。みんな黒色の運動靴をはいている中で、1人コンバースのバスケット・シューズをはいている少女、それがワジダだ。手作りのミサンガをほかの生徒に売ったり、ラブレター渡しを引き受けたり、自転車を買うためのお金を貯める彼女。しかし、とても自転車代の800リヤルには届かない。そんな時、学校でコーランの暗唱コンテストが行わることになり、その優勝賞金は1,000リヤル。ワジダは、自転車のため必死にコーランを覚える。

アメリカの音楽を聞いて、学校でも女性校長から「髪を見せないように、スカーフを被りなさい」などと叱られてばかり。黒い靴を履きなさいと注意された時は、バスケット・シューズを黒く塗りつぶしてしまったその彼女が、自転車のためにコーランを覚えるのが逆説的でおもしろい。プレイステーションで勉強するところもアメリカナイズされたワジダをうまく表現している。

一方、サウジアラビアでの女性の立場も描かれており、女性が車の運転をしてはいけなかったり、外出の際は黒ずくめで体すべてを隠さなくてはいけなかったり、男性には声も聞こえないように注意したり、さらに、一夫多妻制など、さまざまな問題をさらりと扱ってゆく。このあたりのバランス感覚が絶妙だ。監督のハイファ・アル=マンスールは、サウジアラビア出身だが、米国人外交官の夫とともにオーストラリアに移住し、シドニー大学で映画学を学び、現在はバーレーン在住ということで、サウジアラビアという国を内部からも外部からも見ている。あくまでも表向きは少女の自転車をめぐる話になっているが、裏にはサウジアラビアでの女性地位の向上への願いも込められているのだ。

しかし、それを決して大袈裟に描かないところに、この監督の頭の良さがうかがえる。やはり、イスラム社会で虐げられる女性の姿を描くより、かわいい女の子の奮闘記の方が、多くの人の共感を呼ぶと考えたのだろう。ワジダ中心の話になっているが、男の子を産めなかった母親にスポットを当ててみると、男の子が欲しいため第2夫人を捜す夫や、夫の気を引くために真っ赤なドレスを買おうとする母親など、サウジアラビアを知らない人には興味深いエピソードが描かれている。実際の街頭撮影では、人前で女性が男性に指示することはもってのほかなので、この女性監督は車に隠れて無線で指示を行っていたそうだ。


ノア 約束の舟
Noah
     アクション/レーティング未定

今月のムービー・レビュー

3月27日公開予定 ★3.5

「ノアの箱舟」伝説が壮大なスケールで映画化。神聖な予知能力で、世界の終末を予言したラッセル・クロウ演じるノアは民衆に邪悪な心を捨て、手遅れになる前に身を改めて神に救いを求めることを忠告しようとする。しかし彼の忠告に耳を向ける者は誰1人おらず、ノアと家族は世界を飲み込む大洪水から助かろうと箱舟を建てる。『ブラック・スワン』で話題を集めたダーレン・アロノフスキー監督作。娘役を演じるエマ・ワトソンなど豪華キャストにも注目だ。


レゴ・ムービー
The Lego Movie
     コメディー/レーティング未定

今月のムービー・レビュー

4月3日公開予定 ★★

世界中で親しまれているデンマーク生まれのブロッグ玩具“レゴ”を題材にした3Dアニメーション映画。平凡なレゴ・フィギュアのエメットは、世界を救う伝説のヒーローと間違われてしまう。レゴ・ワールドの支配を企む、悪の大王の野望を阻止するために見知らぬ集団と大冒険に出るはめに。ヒーローになる覚悟のないエメットだったが、世界を救うため個性的な仲間や人気ヒーローたちと悪に立ち向かっていく。子どもだけでなく家族で楽しめる作品。


フィルス
Filth
     コメディー/R18+

今月のムービー・レビュー

4月4日公開予定 ★★★★

英国小説家アーヴィン・ウェルシュの作品を実写化したクライム・コメディー映画。頭脳明晰ながらも、酒や麻薬に溺れ、さまざまな不正行為を働く刑事ブルースが、日本人留学生殺人事件の捜査に乗り出したことから思わぬ事態に遭遇する。この難事件を解決すれば出世コースに乗れると張り切るが、捜査を進めるほど自身の過去も噴出するようになり、精神的に追い詰められていく。下劣を絵に描いたような主人公を怪演するジェームズ・マカヴォイに釘付けになること間違いなし。


ダイバージェント
Divergent
     SFアクション/レーティング未定

今月のムービー・レビュー

4月10日公開予定 ★4.5

人類を「公正・克己・勇敢・友好・博識」の5つの性質にグループ分けをし行政する未来の世界を描いた物語。主人公の少女ベアトリスは、自身がどのグループにも属さない異端児であることに気付くが、そのことを永遠に隠して生きないと命が危ないと警告される。しかし彼女は人類存亡の危機を止めるため、自らを公表しないといけない人生最大の決断に迫られる。原作の小説『Divergent』は、発売から2年足らずで130万部突破。映画も期待大だ。

 

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